素人のための法学入門 #8

どうも。第8回目です。この記事読んでくれてる人いるんかな?ビューはそれなりに伸びているけど・・・。呼びかけても全く反応がないと不安になるときの先生のような心理なり。

というわけで、気にせず行ってみましょうか。

第8回目ですよ~!

前回のお話はこちら!

犯罪を消す自然権の行使
 
先生 「ロシアのことで、一つ触れておきたいことがあります。それは、彼らの囚人の扱いです。刑を免除する交換条件として、囚人を戦場へ送り出していることはご存じですか?」
 
学生A 「はい。囚人と一緒に戦場に立つって、想像するだけで怖いです。」
 
先生 「今回お話したいのは、そういうことではありません。戦争に参加した場合にその刑を免除するというのは、どういうことだと思いますか?」
 
学生B 「戦争に参加するっていうのは、刑罰のように辛いことだからじゃないんですか?」
 
先生 「私は少しでも戦力が欲しいからなのだと思います。結局はその場の緊急性で犯罪も犯罪じゃなくなってしまうということです。くどいようですが、これも自然権の行使です。犯罪を都合のいいときに犯罪ではなくす権利の行使です。」

学生A 「囚人を戦争に参加させれば、自分達が手を下さなくても相手が死刑と同じ結果を与えてくれるし、こちらの戦力にもなる。ロシアにとって損はないっていうことなんですね。管理費も浮くし・・・。」
 
先生 「はい。囚人はほとんど軍の訓練などは受けたことがないでしょうから、体のいい事実上の死刑執行です。ただ、生き残る可能性もあります。逃亡すれば生き残ることは可能でしょう。しかし、そういうことがないようにされてしまっているでしょうし、戦争に参加して生き残ることはめったにないでしょう。たいていこういう立場の人間は、都合よく使い捨てされるのです。例えば地雷が埋まっているところを先頭で歩かされるとか、砲弾の盾にされるとかね。」
 
学生A 「ひどい・・・。」
 
学生B 「犯罪は法律が作っているんでしたよね。そして、その法律は自然権があるから作られる。ということは、自然権の方が法律に優先しているロシアでは、法律で定めた犯罪も直ぐに取り消せるっていうことですね。」
 
先生 「はい。自然権は何でもしてもいい権利ですからね。プーチンは、死刑囚全員分以上の罪を犯しているのに、犯罪者だとされていません。法律なんて結局はそういうものなのです。国が法律を定める、プーチンは国側の人間であり、法律を守る側ではなく、守らせる側にいるから、罰を受けないので安全なのです。これが法律の抜け穴の一つですね。結局法律というのは、人が扱うものですから・・・。
 自然権の考えは、どの国にも通用するものですから、ロシアでも法律は国民の自然権の行使により作られたと言えます。そして、法律とは国の内部のルールなのです。ということは、自分達の自然権により、プーチンの所業をいいことだと認めてしまえば、許されてしまうのですよ。実際に、ロシア人の中にはプーチンが正しいと信じている多数の国民がいるのです。」
 
学生A 「そ…それで許されるっておかしくないですか?」
 

先生 「許されるのですよ。法律は自然権の行使主体である国民一人一人が作ったものであり、犯罪は法律があるからこそ生まれる。ですが、そもそもの自然権の担い手である国民たちが、プーチンを許すという気分になっていけば、それがその国の事実上のルールになってしまうのですから。これは自然権の理論と何ら抵触することはありません。」
 
学生B 「本当に・・・何でもありなんですね。」
 
先生 「はい。自然権は、作ったルールを好きな時に反故にできる権利でもあるのです。何でもありですからね。
 
学生A 「例えロシア国民がプーチンを許しても、ウクライナや他の国の人たちは許さないのではないでしょうか。誰か彼に罰を与えることはできないのでしょうか。」
 

先生 「彼に罰を与えることができるとすれば、ウクライナがロシアに勝つことでしょうね。それが彼にとって今のところの最大の罰になります。Aさんがおっしゃりたいのは、例えばアメリカ人とか、ウクライナ以外の人がっていうことでしょうか。彼自身を殺すという意味で罰を下すというのであれば、その自然権を行使するというのは、それは自分が信託として国に預けた権利を、個人的に取り戻すこと。例えば殺人を行う権利ですね。それを取って、ロシアへ行き、殺害するということです。でも、勝手にそういうことはできません。それは、社会契約違反になるのです。なぜかというと、個人が信託をやめるのは、あくまでもアメリカ人がアメリカに信託することはできないと判断するからこそなのです。ロシアではなく。それに、普通はそういうことを個人がすることはありません。とすれば、どこかの国自体が動くしかない。でもね、ある国が他の国の人間を殺しに行くということは、規模がどれほど小さくとも、目立たなくとも、それは戦争なのですよ。だからこそ、皆傍観するほかないのです。そして、肝心の当事者であるウクライナですが、彼らは単にロシア軍と戦っているのではなく、自分達はロシアとは違い、誇りを守りながらも戦っているのです。だから、目の前の敵をほっといて、ロシアに攻め入った方がいいんじゃないかと思うのですが、そういうことはしないようですね。」

(この文章を書いたのは随分前です。今ではロシア領土に侵攻しています。)

学生A 「国が他の国の少数の人間を殺すに行くのも戦争。戦争っていったいなんなんでしょうか?」
 
先生 「死刑を学んだ時、殺人の権利さえも人が国に信託をしたということを勉強しましたね?」
 
学生B 「はい。」
 
先生 「殺人だけではなく、強盗、強姦、放火、武器の使用、誘拐、証拠隠滅、そういった戦争犯罪を犯す権利も国に信託してあるのですよ。ということは、ある国が他の国に戦争を起こすということはね、『一定の期間、自国の一定の範囲の人間たちを対象として(例えばロシアでいえばロシア軍兵士)、他国の人間たちや物に対して(ウクライナ人とその国の中にある様々な物に対して)、国に信託された殺人、強盗、強姦、放火、誘拐、証拠隠滅、武器の使用、戦争犯罪を犯すもろもろの権利を返し、行使することを命令して実行させることですよ。』」
 
学生A 「そ・・・それが戦争なんですか。」
 

先生 「はい。だからロシア軍はウクライナの人を殺すのです。殺人の権利は、戦争のために行使することを許可されたのです。」
 
この章のまとめ
① 自然権はなんでもやっていい権利なので、犯罪を好きな時に免除できる。
② 自然権が法律を作り、法律があるからこそ犯罪があるから、戦争を起こした指導者でも、自然権の担い手である国民が許してしまえば、その決断は許される。
③ 例え一個人を殺すためであったとしても、国の自然権の行使によって、他の国の人間を殺すことは、それだけで戦争である。
④ 戦争とは、『一定の期間、自国の一定の範囲の人間たちを対象として(例えばロシアでいえばロシア軍兵士)、他国の人間たちや物に対して(ウクライナ人とその国の中にある様々な物)、国に信託された殺人、強盗、強姦、放火、誘拐、証拠隠滅、不法侵入、不動産収奪、建造物破壊、武器の使用、戦争犯罪を犯すもろもろの権利を返し、行使することを命令して実行させること』である。簡単に言えば、限定的に他国の人間を攻撃する自然権を国民に返還し、行使するように命令して実行させることである。

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