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試験に落ちる前に申込で落ちる。JLPT受験機会拡充に思うこと

昨日の7月日本語能力試験JLPTを受験された皆さん、
お疲れ様でした!

緊張した人もいると思います。
試験会場まで何度も道を確認した人もいると思います。
前日は不安でなかなか寝られなかった人もいるかもしれません。

受験された本人だけでなく、
送り出した学校の先生方、
職場でシフトを調整された企業の皆さま、
応援していた方々も本当にお疲れ様でした。

日本語能力試験はただの試験ではありません。外国人材にとっては、進学、就職、転職、在留資格、キャリアアップにつながる大切な節目です。

試験を受けることができた人はほんまに恵まれていると思います。
今回は試験を受けたくても受けられなかった人がいました。
理由は申込枠です。

試験勉強の前に試験予約の壁

こんな相談を受けることがありました。

「先生、JLPTの申し込みができませんでした」
「もう定員いっぱいでした」
「次はいつ受けられますか?」

これほんまにしんどいかった。

本人が勉強していないわけではありません。
日本語力が足りないと判断されたわけでもありません。
まだ試験すら受けていない。

でも申込枠が埋まってしまえば、そこでいったん話が止まります。

僕が支援している方の中に特定技能2号を目指している方がいます。
日本で働き続けたい。
もっと上を目指したい。
将来的には安定した在留資格でキャリアを築きたい。
そう考えて仕事をしながら日本語の勉強も続けていました。

いざJLPTを申し込もうとしたら、
すでに枠がいっぱいで申し込みができなかった。
その話を聞いたとき、もどかしかったです。

努力している。
目標もある。
職場でも頑張っている。
でも次の扉の前に立ったら、鍵がかかっていた。
しかもその鍵は本人の努力だけでは開けられない。

これが今、現場で起きています。

日本語能力を確認することは大切です。
それは間違いありません。
確認するための試験を受ける機会が足りていない。

ここが詰まると本人の努力も企業の期待も
キャリアアップの道筋も全部そこで一度止まってしまいます。

試験勉強の前に試験予約の戦いがある。
もはや人気アーティストのライブチケットみたいになっています。

いや、笑いごとではないんですけどね。
でもほんまに日本語能力を測る試験なのに、
最初の関門が「申し込み完了までたどり着けるか」になってしまうと、
それはさすがに違うやろと思うわけです。

受け入れを進めるなら受験機会の確保はセット

政府が外国人の日本語能力を確認する試験について、
運用の見直しを検討しているという報道がありました。

代表的な日本語能力試験であるJLPTの実施回数を増やすことやオンライン受験、CBT方式などを含めて検討するという内容です。

これは必要な動きやと思います。

外国人材の受け入れを進めるのであれば、
日本語能力を確認する試験の受験機会をきちんと確保することは重要です。

特にJLPTは受験したくても日程や会場、定員の関係で受けられないケースがあります。

2026年のJLPTは第1回が7月5日、第2回が12月6日と案内されています。
国内実施は基本的に年2回です。

年2回。カレンダーだけで見るとそこまで少なく見えないかもしれません。

もし不合格になれば次のチャンスは約半年後。
もし申し込みができなければそこでまた大きく遅れる。

半年って、日常生活ではまあまあ先くらいの感覚かもしれません。

でも、外国人材採用でいう半年は別世界です。

企業の採用計画も変わる。
本人の転職時期も変わる。
在留資格変更の段取りも変わる。
特定技能2号を目指す人にとってはキャリアアップの計画に影響が出る。

試験機会の拡充は、外国人本人にとっても、受け入れ企業にとっても、
支援する側にとっても前向きな動きやと思います。

受付停止はもう現実になっている

2026年第1回JLPTについては、応募者数の急増により会場確保が非常に困難になっており、会場の都合により申込受付期間内でも受付を締め切る場合があると公式に案内されています。

N4は2026年3月25日、N3は2026年3月27日9時で申込が締め切られたことも案内されています。

本人は受けたい。
企業も待っている。
でも試験の枠がない。
こうなるとかなり苦しい判断になります。

企業には「次回試験まで待つ必要があります」
と説明しなければいけない。

本人には「今回は受けられないので次に向けて準備しましょう」
と伝えなければいけない。

もちろん前向きに励まします。
心の中では思います。いや、本人はもう準備してたんやけどな、と。
もどかしいところです。

オンライン化には慎重さも必要

オンライン受験については、手放しに良かったとは言い切れません。
オンライン受験やCBT方式には大きなメリットがあります。

地域差を減らせる。
会場不足の問題を緩和できる。
受験機会を増やせる。
働きながら受験する人にとっても選択肢が広がる。

間違いなく前向きなんです。

ただ、オンライン化は不正防止と本人確認は避けて通れません。

日本語能力の証明は本人のキャリアだけでなく、
企業の採用判断や在留手続きにも関わります。

便利になることと、信頼性が下がることは、
同じ方向に進んではいけません。

JEESの案内でも別人の顔写真や本人確認ができない顔写真で申し込んだ場合、また許可なく他人の住所で申し込んだ場合は試験を受けられないとされています。

会場型の試験でも本人確認は重要です。

オンライン化するなら、なおさらです。

本人確認。
監督体制。
試験環境の公平性。
不正防止。

ここまでセットで設計してほしいと思います。

受験機会を広げること。
試験の信頼性を守ること。

この両方が必要です。

なんでJLPTだけなんやろう

ひとつ気になったことがあるんです。
そもそもなんでJLPTだけにここまで寄せるんやろう。
ほかの試験ともっと連携でけへんのかな?

もちろんJLPTが重要な試験であることは分かっています。
認知度も高いですし、進学、就職、在留手続きの場面でも広く使われています。

JLPTの実施回数が増えること自体はほんまに良いことです。

ただ、少し思うんです。
日本語能力を測る試験ってJLPTだけでやないですよね?

特定技能1号の申請ではJFT-Basicも活用されていて、日本の生活場面で必要な日本語コミュニケーション能力を測る試験として案内されています。

ほかにもNAT-TEST、J.TEST、BJTなど、
色んな日本語能力やビジネス日本語を測る試験はいくつかあります。

もちろんそれぞれの試験には目的も違いがあります。
測っている日本語能力の範囲も違います。
在留手続き上、何の試験が認められるのかも制度ごとに確認が必要です。

そこをごちゃ混ぜにして、
日本語試験なら全部同じでええやんと言いたいわけではありません。

それを理解した上でやっぱり思います。

もう少しいろんな日本語試験が連動したり、
役割分担したりできへんのかなと。

生活場面の日本語を測る試験。
就労場面の日本語を測る試験。
ビジネス日本語を測る試験。
中級以上、B1以上の力を測る試験。
現場でのコミュニケーション力を見ていく仕組み。

そういうものがもう少し線でつながれば、本人も企業も支援側も、
かなり動きやすくなるんちゃうかなと思うんです。

今はどうしても、
「この試験に受からないと次に進めない」
「でも試験の枠が取れない」
という状態が起きています。

それやったらJLPTの回数を増やすことに加えて、
ほかの試験との連携や用途ごとの使い分けも、
もっと議論されてもいいんちゃうかなと思うですよね。

ほんまに大事なのは必要な人が必要なタイミングで、
きちんと日本語能力を証明できること。

ここやと思います。

JLPTを増やす。
CBT方式を検討する。
ほかの日本語試験とも必要に応じて連携を考える。
試験の結果を現場で使える日本語につなげていく。

そんな形になれば、外国人本人にとっても、受け入れ企業にとっても、
今よりずっと現実的な制度運用になるんちゃうかなーと思っています。

日本語学校の評価軸も変わるかも?

僕がもう一つ気になっているのが日本語学校の現場です。

これまで多くの日本語学校では、
7月と12月のJLPTを大きな山として、
年間カリキュラムを組んできたと思います。

7月と12月に向けて仕上げる。
進学や就職の時期から逆算する。
この設計がありました。

もし試験機会が増えたり、
オンライン受験やCBT方式が広がったりすると、
この前提が変わりますよね。

学生にとっては受験機会が増える。
不合格でも再挑戦しやすくなる。
これは大きなメリットです。

でも、学校側の運営は簡単ではないと思います。
学生ごとに受験タイミングがばらける。
同じゴールに向かう設計が難しくなる。
個別の進捗管理が必要になる。
試験対策と通常授業のバランスも変わる。

そうなると学校側も今まで以上に、
一人ひとりの状況に合わせた指導が必要になるんちゃうかなと思います。

「この学生は次の試験でN3を狙う」
「この学生は一度不合格だったから弱点を見直す」
「この学生は進学に向けてN2が必要」

こういう個別の管理が今まで以上に大事になってくるはずです。
受験機会が増えること自体は学生にとって大きなチャンスです。

これまでは7月と12月という大きな山に向かって全体で進めやすかった。
でもこれからは学生ごとに小さな山がいくつもできるようなイメージ。

これは教育現場にとって前向きな変化でもあり、
同時に負担が増える変化でもあると思います。

日本語教師の先生方から見るとこれはありがたい変化なのか?
それとも現場の負荷が増える話なのか?
日本語教師の方はぜひコメントで教えてほしいです!

僕はどちらの側面もあると思っています。
試験機会が増えることは学生にとって間違いなくプラスです。
そのチャンスを本当に活かすためには、
学校側の指導設計もこれまで以上に大切になる。
そんな変化になる気がしています。

学べる環境もセットで考えたい

試験の機会が増えることは、ほんまに良いことやと思います。

それだけで全部うまくいくかというとたぶんそうではありません。

日本語能力を求めるならその力を確認する試験だけでなく、
そこに向かって学べる環境も必要やと思うんです。

働きながら日本語を学ぶって、そない簡単なことではありません。

仕事がある。
生活がある。
家族への仕送りがある。
その中で次の試験に向けて勉強を続ける。
これを本人の努力だけで片づけてしまうのは違うんちゃうかなと思います。

試験機会の拡充とあわせて、
企業や学校、支援機関がどう学びを支えるのか。
これからもっと大事になってくるはずです。

日本語を学ぶことは単に試験に受かるためだけのものではありません。

職場で相談できるようになること。
ミスを隠さず報告できるようになること。
日本で働き続ける選択肢を増やすこと。

その人の未来を少し広げることにつながります。

試験の回数が増えるかもしれない。
受験方法が広がるかもしれない。
誰かの未来の順番待ちが短くなるかもしれない話です。
そこに明るい兆しを感じています。

──外国人材、現場からは以上です。


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外国人材、現場からは以上です。|柏手真治 note 共感いただけた方は、応援いただけると嬉しいです。現場のリアルを伝える原動力として、大切に活用します!