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外国人材業界に足りないのはノウハウより横のつながりかもしれない。

Voice Jam #1で見えた定着率100%の現場のリアル

外国人材の業界って、実はけっこう孤独やったりします。

受入企業は現場で起きている悩みをどこまで誰に相談するのかわからん。
外国人本人は困っていても本音をどこまで言っていいのかわからへん。
登録支援機関、紹介会社、日本語教育に関わる方、
それぞれの現場で悩みながらも意外と横につながれていない。

これは僕が前からずっと言い続けてきたことでもあります。

制度の情報はある。
行政の資料もある。
セミナーもある。
SNSを開けばそれっぽい情報も山ほど流れてきます。

でも現場でほんまに起きていること。
盛大に失敗したこと。
うまくいかなかったこと。
泥くさく工夫してうまく回していること。

そういう“生の知見”を立場を越えて持ち寄れる場って実は少ない。

今回お誘いいただいて参加させていただいた
「Voice Jam #1 — 声が生まれ、つながる場 —」
僕にとってかなり意味のある時間でした。

このVoice Jamを主催されたのは、
株式会社barca代表取締役の末光フェレイラ伊芙季さん。

伊芙季さんが大事にされていたのは単なる情報共有ではなく、外国人材に関わる人たちが横につながり、それぞれの現場で感じていることを言葉にする場づくりでした。

外国人材はこれからさらに増えていく。
その中で問われるのは、採用数だけではありません。

日々どう関わるか。
不安をどう受け止めるか。
人と人がちゃんとつながれるか。

Voice Jamはそこを考える場所として開かれたのだと思います。
僕はその主催意図に強く共感しました。

今回のテーマは「外国人材の3年定着率100%の現場から学ぶリアル」

初回ゲストで登壇されたのは、
有限会社マルフクメディカルフーズ 執行役員のオコーリ淳子さん。

外国人材の3年定着率100%。

数字だけ見ても十分すごいんですが、
僕が本当に知りたかったのは数字そのものではありません。

その数字の裏側で毎日どんな関わりが積み重なっているのか。
どんな工夫をしているのか。
何を大事にしているのか。

そこでした。

イベントの運営の伊芙季さんも登壇されたオコーリさんも以前の交流会でお会いして、たくさんお話しさせていただいたご縁があり、今回お声がけをいただきました。

しかもありがたいことに僕のnoteも見てくださっていたそうで。

これは素直にうれしいですね。
うれしいんですが同時にちょっと緊張もします。

これでおかしなこと書かれへんな。笑
……いや、たぶん過去を振り返るとすでに何本か怪しいテンションのやつはある気がしますがそこはどうか味として受け取っていただければ幸いです。

うまくいっている会社は支援を作業にしていなかった

外国人材支援って、制度の話になると急に四角四面になりがちです。

支援計画。
定期面談。
生活オリエンテーション。
相談対応。
行政手続き。
記録保存。

もちろん全部大事です。
本当に効いてくるのはその実施の有無だけやないんですよね。

やったかどうかではなく届いているかどうか

オコーリさんのお話を聞いていてずっと感じていたのはここでした。

マルフクメディカルフーズさんでは、
2024年7月から本格的にミャンマー人材の雇用をスタート。
新しく入国した方たちは配属前の約1か月間をオコーリさんご夫婦のご自宅で衣食住を共にするそうです。

これね、さらっと聞くとすごいですねで終わりそうなんですが、
実はめちゃくちゃ大変で大事なことやと思うんです。

来日直後って不安の塊やと思います。

住む場所も変わる。
言葉も違う。
食べ物も違う。
電車もわからん。
自転車のルールもわからん。
ゴミ出しもわからん。
仕事の空気感なんてなおさらわからん。

このタイミングで孤立したらそら不安になります。

逆にこのタイミングで
「困ったら聞いていい」
「見てくれている人がいる」
「ここにいて大丈夫や」
と感じられたとしたら…
その後の定着は大きく変わります。

41名の特定技能の方から「ママ・パパ」と呼ばれている、
というお話もありました。

これは単なる美談ではなくて、
定着率って結局は関係性の蓄積なんやなと感じた場面でした。

生活支援ではなく日本で生きる力を育てる支援

印象に残ったのは支援内容の幅なんです。

消防・防災教育。(堺市総合防災センターでの防災体験)
お金の教育。(ジェイフレックの講師派遣による講習)
性教育。(マザーツリージャパンとの連携。)
電車の乗り方。自転車の実践。
同期生の合同休日の設定。
ミャンマーのダディンジュ祭りを大切にする関わり。
産休・育休の整備。

正直、ここまで聞いて思いました。
完全に生活オリエンテーションのレベルをだいぶ超えとるな、と。

逆に言うとここまで見ているから定着するんやと思います。

外国人材支援ってどうしても働けるようにするに寄りがちです。

でも日本で働くということは日本で暮らすということでもある。

お金のことがわからなければ不安になる。
防災知識がなければ命に関わる。
交通ルールがわからなければ事故につながる。
身体や性に関する知識が不足していれば、誰にも相談できずに抱え込むこともある。

これは生活支援というより、もはやリテラシー教育。
日本で安心して働き、暮らしていくための土台づくりなんですよね。

その土台づくりを会社がここまで本気でやっている。
ここに数字の裏側があるんやなと思いました。

定着100%の本質は辞めていないことではない

ここも大事やと思っています。

定着率と聞くと辞めていないという結果だけで見てしまいがちです。

もちろんそれは大事。
でも本当の定着ってたぶんそれだけではない。

職場で役割ができている。
相談できる人がいる。
少しずつ仕事ができるようになっている。
周囲との関係性がある。
将来を考えられる。
本人がここで頑張っていこうと思えている。

そこまであって定着と言えるんちゃうかなと思います。

ただ会社に在籍しているだけなら、
もしかしたら我慢しているだけかもしれない。

お話から見えてきたのは居るではなくつながっている状態

ここがほんまに大きい。

こういう場に価値がある

僕が感じたのはやっぱりここです。

外国人材業界は横のつながりがまだまだ少ない。

前からずっと言い続けてきたことです。

紹介会社は採用前のミスマッチの芽を見ています。
登録支援機関は支援現場の景色を見ています。
受入企業は職場のリアルと向き合っています。
日本語教育の現場は教室と職場のズレを見ています。
行政書士は制度と手続きのリスクを見ています。

スタート地点の紹介会社が“決まれば終わり”で動くとそのズレは入社後に企業と本人へ返ってきます。

みんな違う景色を見ている。
その景色がちゃんとつながる場が少ない。

「うちもそれで困ったことあります」
「それ先に知ってたら防げたかもしれません」
「その工夫、明日から真似できます」
みたいな会話が生まれにくい。

これ、ほんまにもったいないんですよね。

横のつながりが弱いと各社がそれぞれ同じところで悩み、それぞれ同じところで転び、それぞれ必死に立て直すことになる。

いやもう全体で一回メモ共有しません?って
思うことがほんまによくあります。笑

もちろん各社に事情もありますし競争もあります。

少なくとも外国人材の受け入れをより良くするという部分では、
もっと知見を持ち寄れる余地があると思っています。

Voice Jamはその入口になる可能性を秘めている場でした。

聞いて終わりじゃなかったのが良かった

伊芙季さんのイベントの場づくりで特にいいなと思ったのは、
勉強会=インプットの場で終わっていないことです。

知識を聞いて、「なるほど、勉強になりました」
で終わる会って、正直けっこうあります。

それだけやと変わらないことがほとんどですよね。

聞いたことを自分の言葉で咀嚼して、
自社に置き換えて、じゃあ何を持ち帰るかまで考えないと意味がない。

今回のイベントはそこがちゃんと設計されていました。

ただの情報共有でもない。
ただの交流会でもない。
まだ言葉になっていない声を持ち寄って少しずつ言葉にしていく場。

だから僕も早速こうしてアウトプットしています。

オコーリさん、ネタバレすみません。笑

こうやって聞いたことを自分の現場に引き寄せて考える。
それがこの場の価値やと思います。

すべてを真似する必要はない。でも考え方は真似できる

マルフクメディカルフーズさんの取り組みは本当にすごいんです。

ただ全部の会社が同じことをそのままできるかと言われたら、
正直に現実的ではないと思います。

1か月の受け入れ体制。
多角的な教育。
同期生の合同休日。
文化的背景への理解。
人生まで見据えた制度設計。

どれも簡単なことではない。

大事なのは“そのままそっくり真似すること”ではなく、
なぜそれをやっているのかを学ぶことやと思います。

定着を偶然に任せない。
孤立を本人任せにしない。
生活と仕事を切り離しすぎない。
文化を一方的に押しつけない。
支援をイベントではなく日常にする。
つながりを設計する。

この考え方はどの会社でも取り入れられるはずです。

入社後1週間は毎日5分だけ声をかける。
最初の1か月は定期的に面談する。
同国籍の先輩や相談相手をつなぐ。
給与明細の見方を丁寧に説明する。
交通ルールを実地で確認する。
母国の文化や行事を少し知ろうとする。

こういう小さな関わり方の積み重ねでも定着の質は変わります。

定着は気合いではなく設計。
ここは改めて強く感じました。

96.7%で満足していたら次の壁は越えられない

今回、マルフクメディカルフーズさんのお話を聞いていて、
弊社とも重なる部分が多いと感じました。

私たちクリエも外国人材紹介と登録支援機関として、
特定技能人材の支援に日々向き合っています。

直近3年間で自社支援の特定技能人材は60名。
そのうち離職は2名です。

数字だけで見れば定着率は約96.7%。

ありがたいことに一定の定着率は出せていると思います。
でも僕はこの数字に満足してはいけないと思っています。

なぜなら残りの約3.3%には実際に離職した人がいるからです。

数字で見れば小さいかもしれません。
そこには一人ひとりの生活があり、仕事があり、期待があり、不安があり、企業側の受け入れの努力もあります。

96.7%を高い定着率でしょ?で終わらせたらあかんと思うんです。
僕たちが見ないといけないのは残りの3.3%です。

なぜ離職に至ったのか。
どこで不安を拾いきれなかったのか。
本人の本音を聞けていたのか。
企業側との認識のズレはなかったのか。
入国前にもっとできることはなかったのか。
配属後の関係性づくりに改善できる余地はなかったのか。

そういう問いを持ち続けないと質は上がらないと思っています。

今回、定着率100%の現場の話を聞けると知ったとき、
僕は正直かなり前のめりでした。

良い意味で学べるものは全部持ち帰らせてもらうつもりでした。
財布とかカバンの話ではありません。
そこを持ち帰ったらただの事件です。笑

持ち帰りたいのは考え方です。
関わり方です。
仕組みです。
声のかけ方です。
孤立させない工夫です。
本人たちとの距離感です。
会社がどこまで本気で外国人材と向き合っているのかという姿勢です。

マルフクメディカルフーズさんの取り組みは、
簡単にそのまま真似できるものではありません。

でも学べることは必ずある。

私たちも自社支援体制をもっと磨いていかなければならない。

特定技能人材の人数が増えれば増えるほど、
支援は属人的な頑張りだけでは回らなくなります。

誰が、いつ、どのタイミングで声をかけるのか。
本人の不安をどう拾うのか。
企業側の違和感をどう言語化するのか。
入国前に何を伝えておくのか。
配属後にどこでつまずきやすいのか。
日本語教育と現場理解をどうつなげるのか。

ここを設計しないと定着は偶然頼みになります。

96.7%という数字は私たちにとって大切な実績です。
でも同時に100%ではないという現実でもあります。

今回の勉強会は僕にとって単なる勉強会ではありませんでした。

自社支援の現在地を確認し、
足りない部分を見つめ直し、
次の3.3%をどう埋めていくかを考える時間でした。

定着率100%の会社を見て、
すごいですねで終わるのは簡単です。

僕はそこで終わりたくない。
「何を持ち帰れるか」
「どこを変えられるか」
「明日から何を試せるか」
まで考えたい。

オコーリさんのお話にはそのヒントがたくさんありました。

自社支援を見つめ直す時間になった

外国人材紹介と登録支援に携わる中で、採用前のヒアリングから事前面談、面接、入国前教育、配属後支援、日本語教育、定着支援まで、日々さまざまな場面に向き合っています。

改めて思ったのは“やって終わり”ではあかんということです。

説明した。
面談した。
同行した。
翻訳した。
資料を渡した。
記録を残した。

もちろん必要です。
それが本人に届いているか。
現場に活かされているか。
安心につながっているか。
定着の土台になっているか。

ここまで見てこそ、ほんまの意味での支援なんやと思います。

そしてそのためには制度理解だけでは足りない。

人を見ること。
違和感を拾うこと。
言葉にならない不安を察知すること。
必要なときにきちんと伝えること。

支援って優しさだけでも手続きだけでも成り立たないんですよね。
現場を見る目と向き合い続ける覚悟が必要やと思います。

正直、聞きながら何回か思いました。

これ、うちでも言うてるやつやんと。
同時にいやいや、まだまだうちもやれることあるやんとも思いました。

こういう気づきがあるから横のつながりって大事なんですよね。

褒め合うだけの会ではなくちゃんと自分たちの現場に返ってくる。
これが一番ありがたかったです。

外国人材支援は関係性の総力戦になっていく

これから外国人材を取り巻く環境はもっと変わっていくはずです。

制度も変わる。
厳格化が進む。
受入人数も増える。
企業側に求められることも増える。
本人たちのキャリア意識も高まる。
支援の質もますます問われる。

その中で受入企業だけで抱えるのも難しい。
登録支援機関だけでも難しい。
紹介会社だけでも難しい。
日本語教育だけでも難しい。

これから必要になるのは横のつながりです。

それぞれが見ている景色を持ち寄って、現場知を共有して、より良い受け入れの形を一緒に考えていく。

外国人材支援はこれから関係性の総力戦になっていくんやと思います。

定着率100%に特別な魔法があったわけではない。

あったのは人を人として見る姿勢。
孤立させない仕組み。
生活まで含めた支援。
文化を尊重する関わり方。
日々の小さな声かけ。
人と人をつなぐ設計。

結局、外国人材の定着は制度だけではつくれません。
人と人がつながることで少しずつ育っていく。

こういう“声が生まれてつながる場”が、
この業界にはもっと必要なんやと思います。

僕もこれからインプット→考えて→アウトプットしていきます。
もっと自分自身を磨いていきたいと思います。

業界に足りないのはノウハウより横のつながりかもしれない。

今回のVoice Jamでの出来事はそのことを教えてくれる時間でした。
ご縁をいただいた皆さんに感謝いたします。

──外国人材、現場からは以上です。

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