中古ワークステーション4台のAI環境、総額いくら? 〜メモリ高騰前に組んでおいて本当によかった話〜
始まりは、TensorFlowでした。
機械学習を回すために、ヤフオクで中古ワークステーション(HP Z4 G4)を1台組んだのが2024年。当時はそれで十分だったのです。ところがローカルLLMの盛り上がりとともに「もっとVRAMを」「もっとメモリを」とGPUを拡張し続けた結果——気づけばZ4 G4が2台、Dell Precision 5820が1台、eGPU付きのThinkPad P51が1台。部屋の一角が小さなデータセンターのようになっていました。
この記事では、その4台に実際にいくらかかったのかを全パーツ洗い出して集計します。そして今回あらためて調べて背筋が寒くなったのが、同じ構成を2026年7月の相場で組み直したらいくらになるか。ご存じの通り、2025年末からAI需要でメモリ・SSD・HDDが歴史的な高騰を続けています。
結論から言うと——値上がり前に駆け込めたおかげで、ざっくり24万円分得をしていました。
※おことわり:本記事に出てくる金額は、購入記録と執筆時点の相場調査に基づくおおよその数字です。送料の扱い、メモリ構成の割り振り、相場の日々の変動などにより誤差を含みます。「だいたいこのくらい」という目安としてお読みください。
前回の記事になります。ご参考までに。
https://note.com/just_hare6327/n/n00bf630f379e
まず結論:総額サマリー


4台合計で実投資は約69万円。決して安くはありませんが、今同じことをやろうとすると93万円コースです。そして差額の主犯はGPUではありません。メモリとストレージです。
差がついた理由:メモリ・ストレージの高騰
2025年後半から、AIデータセンター向けメモリに生産能力が集中した結果、一般向けのDRAM・NANDの供給が細り、価格が急騰しました。私の購入記録と現在の相場を並べるとこうなります。
中古DDR4-2666 ECCメモリ:2024年6月に4,980円、2024年10月に5,730円、2025年4月に16,000円——合計約200GBを26,710円(約134円/GB)で買っていました。ところが2026年7月現在、中古のECC RDIMMは32GB 1枚で16,000円程度、つまり約500円/GB。同じ200GBなら約10万円、実に約4倍です。かつて「1枚分」だった値段が、今は「1枚」の値段です。
NVMe SSD 2TB:購入時2万円 → 現在は4〜5万円。2〜3倍。
HDD 8TB:購入時2万円 → 現在は3.4万円前後。NAS向けなら5万円近いものも。
GPU:意外にも比較的マシ。RTX 5060 Ti 16GBは新品約9万円、RTX 5070 Tiは新品15万円前後で購入時とほぼ同水準。中古RTX 3060 12GBも横ばいです。

「GPUが高いからローカルAIは無理」とよく言われますが、2026年の本当の壁はメモリとストレージなのです。
各PCの内訳
PC-01:HP Z4 G4 メイン機(実投資126,000円 → 現在相場 約207,500円)

主役はなんといってもECC RAM。値上がり直前の2025年に買い足した分を含め、112GBをわずか16,000円相当で組めています。この1台だけで差額+81,500円、そのうちメモリとストレージだけで+79,000円。もともとTensorFlow用に組んだ、すべての始まりの1台。今はRDP運用でメイン機兼ローカル共有サーバーとして、今日も静かに働いてくれています。
PC-02:HP Z4 G4 サブ機(実投資214,710円 → 現在相場 約297,000円)

ローカルAIモデルの実験とBot運用が仕事の1台。メモリ約102GB分の購入額は2024年の2回の落札で合計10,710円。今の相場の5分の1で買えていたことになります。RTX 5060 Tiの2枚挿しはロマンですが、上のGPUが下の排熱を吸って温度が上がる問題があり、電力制限85%+スロット1/3運用で落ち着けています(この話は別記事の失敗談編で詳しく書きます)。
PC-03:Dell Precision 5820(実投資250,500円 → 現在相場 約308,000円)

4台の中では最速・静音の24時間運用機。RTX 5070 Ti(16GB)でQwen系27BのQ3_K_Sあたりまでは実用になります(Q4は厳しい)。地味なポイントは、流用したRAM 32GBが「0円計上」なこと。今の相場ならこれだけで2.5万円相当の資産です。もうひとつ、筐体幅の関係でストレートの補助電源ケーブルが干渉し、数千円のL字ケーブルに救われました。このマシンでもわりとlocal llmが動きます。電源換装がいたいですが、12万前後で大体組めます。電源のことを考えると、hp z4 g4の方がお得。
PC-04:ThinkPad P51 + eGPU(実投資100,000円 → 現在相場 約118,000円)

Thunderbolt 3経由のeGPU(当時4万ほど)で延命しているモバイル機。RTX 2080 Tiは中古2万円で拾ったものですが、VRAM 11GBの中古カードとして今むしろ相場が上がっているのが面白いところです。このカードは負荷をかけるとコイルなきが酷いです。買われる方は注意。msi afterbernarで出力をおさえるとましになります。コイル鳴きは仕様とのこと。
この構成から言えること
1. 中古ワークステーションは今も有力。ただし戦い方が変わった
本体(ベアボーン)とCPUは今もほぼ横ばいで、2万円前後でXeon+大容量メモリスロットの筐体が手に入ります。問題は中身。メモリとSSDが主戦場になった今、「メモリなしの格安本体を買って後から盛る」という私の戦法は、2026年時点ではかなり割高になりました。ただし、AIPCを新品でそろえると、35万前後すると思います。どちらがいいかは人によるかと思います。
2. メモリ搭載済みの中古PCが「割安」になる逆転現象
中古市場ではメモリの価値が跳ね上がったため、大容量メモリ搭載済みの完成品のほうが、パーツをバラで集めるより安く済むケースが出てきています。今から組む人は「本体のスペック」より**「何GB載っているか」**で選ぶのが正解かもしれません。
3. 「資産」になってしまったPCパーツ
69万円の投資が相場ベースで93万円相当になった——と書くと景気のいい話ですが、売るつもりはないので、実際は「毎日使う道具が値上がりして買い替えられなくなった」だけとも言えます。HDDが1か月で故障した経験もあり(これも別記事で)、動いているうちが華。バックアップだけは、相場に関係なくしっかりと。
次回は、この4台で同一プロンプトを走らせたベンチマーク編(Qwen/Gemma、tokens/sec・VRAM・温度・消費電力)と、HDD故障・GPU排熱・ケーブル干渉の「沼の教訓編」を予定しています。
※「2026年7月相場」は執筆時点(2026年7月13日)のヤフオク落札相場・店頭価格調査・価格比較サイト等に基づく推定レンジです。実投資額・メモリ構成の割り振りにも多少の誤差を含みます。あくまで目安としてお読みください。
