【 やさしいのに、なぜか不安 】── 介助される側から見えた景色 ──【 認知症 / 介護 / 家族 / エッセイ / 4コマ漫画 / AIイラスト / 画像生成AI / 創作日記 】
介助する側にとっては、いつもの何気ない動作。
けれど、介助される側には、同じ時間が少し違って見えることがあります。
その小さなすれ違いを、四コマで描きました。

👣「靴下を履かせるだけ」のはずだった
「靴下、履かせますね」
介護職員がそう声をかけ、利用者さんの足元にしゃがむ。
ここまでは、よくある日常の一場面です。
職員にとっては、毎日繰り返している着替えの介助。
靴下を広げ、足を持ち上げ、つま先からゆっくり通していく。
何度も経験しているからこそ、手は自然に動きます。
けれど、そのとき利用者さんの心の中では、こんな思いが浮かんでいるかもしれません。
「次は、何をされるんだろう……」
職員には「いつもの介助」
介助する側は、これから行う動作が分かっています。
靴下を履かせるために足を持ち上げる。
かかとの位置を合わせる。
最後にしわを伸ばす。
一つひとつの動作には、きちんとした理由があります。
職員の中では、最初から最後まで流れがつながっています。
しかし、介助される側にも同じ流れが見えているとは限りません。
最初に「靴下を履かせますね」と説明されても、その後に突然足を持ち上げられたり、身体に触れられたりすると、驚くことがあります。
職員にとっては予定どおりの動きでも、利用者さんにとっては予告のない出来事になることがあるのです。
見えている景色は同じではない
介助する側は、目の前の作業を見ています。
安全にできているか。
靴下がねじれていないか。
転倒の危険はないか。
一方、介助される側は、職員の手や表情を見ながら考えています。
「今から何が始まるのか」
「どこを触られるのか」
「痛いことはされないか」
身体を自分の意思どおりに動かしにくい状況では、先が分からないことそのものが不安につながります。
だからこそ大切なのは、特別な技術だけではありません。
安心をつくるのは、小さなひと言
「今から右足を持ち上げますね」
「少し膝を曲げますね」
「ゆっくり靴下を通しますね」
こうした短い声かけがあるだけで、利用者さんは次に起こることを想像できます。
心の準備ができれば、身体の緊張も和らぎます。
職員に身を任せる怖さも、少しずつ小さくなります。
声かけは、単なる動作の説明ではありません。
「あなたを置き去りにせず、一緒に進めています」
そう伝えるための、大切なコミュニケーションです。
声をかけたつもりで終わらせない
介助の最初に、一度だけ説明すればよいとは限りません。
介助が続く途中でも、
「次は腕を通しますね」
「身体を少し前に倒しますね」
と、動作ごとに言葉を添えることが安心につながります。
返事が少ない方や、言葉で気持ちを表しにくい方にも、声かけは届いています。
反応がないように見えても、表情や手の動き、身体の力の入り方には、気持ちが表れていることがあります。
声をかけることと、相手の反応を待つこと。
その両方があって、初めて相手のペースを尊重した介助になります。
🌱そのひと言が、安心と信頼を育てる
介護の現場では、時間に追われることもあります。
慣れている介助ほど、説明を省いてしまうこともあるでしょう。
けれど、ほんの数秒の声かけで、利用者さんの不安が和らぐことがあります。
同じ介助でも、介助する側とされる側では、見えている景色が違います。
だからこそ、動作の前にひと言。
介助の途中にも、もうひと言。
介助前や介助中の声かけは、利用者さんの安心につながり、職員との信頼を育てていきます。
いつもの介助を、安心できる時間に変える。
その始まりは、難しい技術ではなく、目の前の人に届ける優しいひと言なのかもしれません。
少しでも共感していただけたら、「スキ」やフォローでそっと応援してもらえると嬉しいです。
