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訪問介護はなぜ、需要があるのに良い人に報酬を払えないのか

みなさま、おはようございます。
アイアジアの東城です。

【1,829字】


移動時間と稼働密度を整えれば、現場は変えられる

訪問介護は、需要がある仕事です。高齢者の在宅生活を支えるために、ヘルパーの役割はこれからも必要とされます。

ところが、需要があることと、事業所に利益が残ることは別になるのです。

訪問介護で良い人に報酬を払えない原因は、利用者が少ないことだけではありません。大きな問題は、売上にならない時間を事業所が抱えすぎていることなのだと思います。

訪問介護の売上は、基本的には利用者宅でサービスを提供した時間から生まれます。

ところが、ヘルパーの仕事は訪問時間だけでは終わりません。利用者宅から次の利用者宅への移動時間、待機時間、記録、電話連絡、キャンセル対応、シフト調整があります。

サービス提供責任者には、予定変更、担当者調整、記録確認、家族やケアマネジャーとの連絡もあります。

ここに制度上の難しさがあります。
移動時間は、条件によっては労働時間として賃金を払う必要があります。

しかし、その移動時間だけを一件ごとに別で請求できるわけではありませんね。介護報酬は平均的な費用を含めて設定されているため、移動が長い訪問、待機が多い訪問、記録や調整が重い訪問を抱えすぎると、事業所の粗利は削られます。

訪問介護の移動時間は、国が一件ごとに補填してくれるものではありません。労務上は賃金を払うべき時間でありながら、介護報酬上は平均的な費用として包括されています。

離島・中山間地域には加算がありますが、すべての移動時間を埋める制度ではありません。

だから訪問介護事業所は、移動時間を「仕方ないもの」として放置してはいけない。利用者別に移動時間を見える化し、訪問エリアと時間帯を組み替え、売上にならない時間を減らす経営が必要になります。

最初に見るべきものは、事業所全体の売上ではありません。利用者別に、売上、訪問時間、移動時間、記録時間、キャンセル回数、担当者負担を分けて見ることです。

たとえば、30分の生活援助でも、片道20分の移動があり、記録と連絡に10分かかれば、実際には一件で1時間以上を使っています。

売上は30分分でも、人は1時間以上拘束されている。この差が積み重なると、時給を上げる原資は残りません。


次に、売上はあるが粗利を削っている訪問を見つけます。遠方の利用者、時間帯が飛び地になっている訪問、キャンセルが多い訪問、記録や連絡が重い訪問、サービス提供責任者の調整が多い訪問です。

これは利用者を切り捨てるためではありません。今のまま続けると、現場を支える人に払えなくなる訪問を見える化するためです。

改善の順序は、まず訪問エリアと時間帯の組み替えです。午前は同じ地区にまとめる。午後は別の地区にまとめる。同じ建物、近い地域、同じ曜日で組める訪問を近づける。一件ごとに長距離移動する状態を減らせば、売上にならない時間は減ります。


次に、キャンセル時の流れを決めます。急なキャンセルが起きたとき、誰が連絡を受け、別の訪問に振り替えられるのか、移動開始後はどう扱うのかを、契約や重要事項説明の範囲で事前に伝えておく。キャンセルを現場の我慢で吸収すると、ヘルパーの時間だけが失われます。

さらに、記録業務を短くします。記録の書き方を人によってバラバラにせず、定型文、チェック項目、スマホ記録、音声入力を使い、帰社しなくても完了できる形にします。

記録は必要です。しかし、記録に時間を取られすぎると、利用者に向き合う時間も、教育の時間も失われます。


最後に、サービス提供責任者(※サ責と呼びます)の負担を見ます。サ責が、毎日、電話、調整、欠勤対応、記録確認、クレーム対応に追われている事業所は、現場の粗利が見えなくなります。

サ責の時間も事業所の大切な原価です。予定変更、キャンセル、記録確認、担当者変更の流れを決め、サ責ひとりに抱え込ませない仕組みが必要なのです。

ここまで改善して初めて、良い人への報酬の話ができます。移動時間を減らして残った粗利、キャンセル損失を減らして残った粗利、記録時間を短縮して残った粗利、サ責の調整負担を減らして残った粗利。その一部を、時給、資格手当、移動手当、サービス提供責任者手当、教育時間に回します。


訪問介護で良い人に報酬を払える事業所は、需要が特に際立って多い事業所ではありません。

売上にならない時間を見える化し、移動、待機、記録、キャンセル、調整業務を減らし、その改善分を現場に返している事業所です。

訪問介護で人が残らない理由は、需要不足だけではありません。

良い人に払う粗利を、売上にならない時間が削っていることです。

人を大切にする経営は、気持ちだけでは残念ですが、続きません。

訪問介護では、利用者別に採算を見て、移動と記録と調整の無駄を減らし、残った粗利をヘルパーとサービス提供責任者へ返すことが、良い人に報酬を払う第一歩となるのです。


本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございます!

今日も一日、良い一日になりますように!



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