映画「いつか読書する日」〜田中裕子の静かな演技
現在、Youtubeに上がっている映画は、緒方明監督で田中裕子主演の「いつか読書する日」。
田中裕子といえば、NHK連続TV小説「おしん」だろう。僕はNHK-BSで再放送された時、全編を録画しているし、放送された時は毎回、2ch/5chの実況板にいたw 子供の時も晩年も一貫して「おしん」はじっと耐え忍ぶのではなく、自己主張する時はちゃんとする「しん」の強い女性で好感が持てた。でも、放送後何年も過ぎてTVで特集が組まれても、田中がその特集番組に出演したことはない。原作脚本を書いた橋田壽賀子とは何か確執があるのではないかと憶測される。
自分の出演作品で一番の自信作はと問われ、「おしん」ではなく、日中合作ドラマの「蒼穹の昴」を挙げている。このドラマはダイジェストしか見ていないけれど、「西太后」の実人物の雰囲気を実によく醸し出していた。

他に日テレで放送された「MATHER」も印象深い。あのドラマで注目を集めたのは、何と言っても、天才子役ぶりを発揮した芦田愛菜だった。
でも、芦田の熱演とは違う田中の大人の静かな演技も光った。(この作品でも助演女優賞を受賞している。)
僕の大好きなドラマの「深夜食堂」(NETFLIX配信だけれどYoutubeで全編無料で観られた)でも、振り込め詐欺にまんまと騙されてあげる哀しい母親の役を演じていた。(注記) 軽いコメディタッチのドラマだと脚本を読み違えていた節はあったけれど、こっちも泣かせた(映画の方は観ていない)。
(注記)いかん、記憶がいかれている。渡辺美佐子と勘違いしてしまった。彼女は「いつか読書する日」で、元英文学者で認知症を患う夫を持つ小説家役でも出演している。

映画では、珍しく劇場に足を運んで観た「天城越え」がある。モントリオール映画祭最優秀女優賞を受賞しているが、ピンとこない。妖艶で、その女性に淡い恋心を抱く少年の映画だったという印象しかない。松本清張の原作でもっと暗い感じに仕上げれば良いものを、田中裕子が極彩色のように派手に目立ち過ぎていて、あの演出は違うと思った。
彼女の映画出演第一作の、今村昌平監督の「ええじゃないか」も劇場で観たけれど、女郎役を演ってたかなぁというかすかな記憶以外、何も印象に残っていない、日本アカデミー新人女優賞を獲っているのに。この映画自体は、目の付け所は良かったが、今村監督にしては失敗作だった。
ドラマもそうだけれど、映画も語れる程、僕は観ているわけではないけれど、とにかく、ドラマはともあれ、映画ではあまり適役に恵まれていなかったのではないか…。(最近出演した是枝裕和監督の「怪物」も観ていない。特記)
けれども、彼女の、激しく泣き叫ぶのではない静かな演技にピッタリと合っていたのが、この映画「いつか読書する日」だと思う。なるべくネタバレしないで紹介したいが、この映画で唯一、彼女が大きな声で叫ぶシーン、そこがまさにポイントになる所だった。呼びかけられるその相手の男優が岸部一徳。彼は市の児童相談課に勤務する公務員になっているのだけれど、高校の時の同級生だった。普段は静かなんだけれど、彼が感情を露わにして叫ぶシーンが唯一あり、そこは誰もが、胸が締め付けられ涙が出てしまうだろう。
例によってこの映画を初めて観たのはWOWOWだった。その時、観終わった後に映画の感想をノートに書いたのだけれど、今回と同じく、「岸部一徳は完全にミスキャストだった!」佐藤浩市だったら納得したのにと思っている。岸部さん以外w、他のキャストも全員良い。脚本も素晴らしかった。
キネマ旬報主演女優賞
第15回日本映画プロフェッショナル大賞 作品賞/主演女優賞
第30回報知映画賞 最優秀主演女優賞
モントリオール世界映画祭 審査員特別賞
芸術選奨新人賞映画部
第27回ヨコハマ映画祭 脚本賞
Youtubeで観られるということで紹介したけれど、動画のアップ主が無用のBGMを挿れ、コメント欄で顰蹙を買っている。この静かな映画にBGMは神経を疑うが、そうしなければYoutube事務局にバンされることを恐れてなのだろう。頻繁に広告が入るのも、苛つかせる。規制がかかる前、Braveブラウザで広告なしでYouTubeが観られた時は良かった。(動画主が削除して、一時見れなかったが、中国人?が違法にアップしている動画が見つかったので差し替えた。)
ネタバレ予告編?
8分であらすじ紹介動画
緒方明監督の他の映画で観ているのは、「のんちゃん のり弁」しかない。親が子供の前で口喧嘩するシーンがあって、それだけでこの映画が嫌いになった。
(ナウシカみたいな格好をしてフジTVの夜のヒットスタジオに出演した時の動画が見つからなかったのが残念。)
なお、返す返すも残念なのは、田中裕子が沢田研二と結婚してしまったことである(異論は許す)。
未見
特記:

