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夫婦別姓導入への高市早苗氏の慎重論


高市早苗氏、選択的夫婦別姓制度導入に慎重の論拠:戸籍制度の維持と旧姓通称使用の推進

緒論

高市早苗氏は、安倍晋三元総理の「遺言」とも言える夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度)導入に対して一貫して慎重な姿勢を示している。氏の反対論は、単に伝統的な家族観の保持に留まらず日本独自の優れた公的システムである戸籍制度の崩壊への懸念子どもの福祉と安定性、そして代替案による社会的な実利性の確保という明確な論拠に基づいている。本稿では、高市氏の主張を構成する主要な論点について、具体的な事例と詳細な懸念事項を加えて分析する。

第1章:戸籍制度の優位性の擁護と制度崩壊の懸念

高市氏が選択的夫婦別姓に反対する最大の理由の一つは、現行の夫婦親子同氏を原則とする日本の戸籍制度を守り抜くという強い信念である。

1.1. 戸籍制度の持つ公証力と具体的な利点

高市氏は、日本の戸籍制度を「世界に例を見ない見事なシステム」「他国に誇れる優れた制度」と評価し、守るべき根幹として位置づける。具体的な利点は以下の事例に見て取れる。

  • 無限の親族関係の証明(公証力): 新しい戸籍と古い戸籍が相互に特定・表示されることで、血族・姻族・配偶関係を明確にし、隠れた法定相続人の確認を可能にする。これは、遺産相続の分割協議手続きにおいて不可欠な機能である。

  • 公的給付・法的手続きの基礎:

    • 福祉・年金: 母子家庭の児童扶養手当、特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金の貸付など、公的福祉制度の手続きの基礎となる。

    • 税制優遇: 20年以上婚姻関係にある夫婦間で居住用不動産を贈与した際の配偶者控除の特例(2,000万円控除)適用において、戸籍は20年間の婚姻継続を証明する公的な根拠となる。

    • 倫理的規制: 近親婚や重婚の防止にも戸籍情報が不可欠である。

1.2. 制度崩壊への危機感

高市氏は、選択的夫婦別氏制度の推進派の一部から「そもそも戸籍制度をなくしちゃえ」「最終的に個人席(個人単位の戸籍)を目指している」という声が聞かれることを最も懸念している。別姓導入は、夫婦親子同氏を基盤とする現行制度を崩壊させ、結果として上記の行政・司法の基盤を揺るがす事態につながると危惧している。

第2章:子の氏の安定性を巡る深刻な懸念と第三者への負担 

高市氏は、選択的夫婦別氏制度がもたらす子の氏の不安定性と、その影響が当事者以外の第三者にも及ぶことを反対理由として挙げる。

2.1. 子の氏の決定を巡る紛争の可能性

過去に国会に提出された選択的夫婦別氏の民法改正案では、別氏夫婦の子は、出生時に協議で氏を決め、協議が整わない場合は家庭裁判所が審判できると規定されていた。

  • 審判基準の欠如: 出生直後の子の氏を決定する際に、家庭裁判所が「一体何を基準に」審判を下すのか、その明確な判断基準が事実上存在しないことが最大の懸念点である。

  • 無籍事態への懸念: 協議不調や裁判所の審判が長期化した場合、子どもが無籍になってしまうという最悪の事態を懸念している。

2.2. 第三者(公私の団体)への負担増大

選択的夫婦別姓の導入は、制度を選択した夫婦だけでなく、社会全般、特に教育現場や企業に事務的・精神的な負担を強いると指摘する。

  • 教育現場の混乱: 兄弟姉妹で氏が異なる場合(例:田中と山田)、「田中君を迎えに来た親御さんが山田さん」といった状況が頻発し、教職員の事務負担と精神的負担が大変になる。

  • 社会生活上の不愉快な状況: 教職員や病院関係者が、子の氏で親を判断し、「山田君の親御さんだから」とうっかり戸籍上の氏ではない氏で親を呼んでしまい、呼ばれた側が不愉快になるという状況が発生しうる。

  • 企業・団体での事務負担: 法律施行後、ダイレクトメールを送るような企業団体は、少なくとも2年3ヶ月は、夫婦や子どもの名前がどう変わったかを常に変更し続けなければならない入力負担が生じると予測している。

  • 医療機関での負担: 「家族しか面会できない」医療機関において、戸籍上の氏ではない名前で対応することに、現場で混乱が生じる可能性がある。

第3章:代替法案による社会生活上の不便の解消と具体的な実績

高市氏は、選択的夫婦別姓制度を導入せずとも、自身の提案する「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」の推進と徹底的な行政措置によって、実社会での不便の大部分は解消できると主張する。

3.1. 旧姓通称使用を推進する法案の概要

高市氏が提出した法案は、戸籍上の氏は夫婦同氏を維持したまま、婚姻前の氏を「通称」として使用するための届け出制度を設け、国、地方公共団体、事業者、公私の団体に、通称使用のために必要な措置を講じる責務を負わせることを目的とする。

3.2. 広範な不便の解消実績と具体的な対応事例

通称使用拡大が、すでに社会生活上の不便の解消に大きく貢献している具体的な事例を多数挙げている。

  • 行政手続きの改善:

    • 総務省での実績: 高市氏が総務大臣時代に、住民基本台帳法、公職選挙法、消防法など総務省所管の全法令をチェックし、法律改正なしに合計1,142件の事務手続き等を旧姓対応可能に改善した。

    • 国家資格: 内閣府の調査により、各省庁所管の314の国家資格全てで旧姓使用が可能となっている。

  • 公的書類での併記: 住民票、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、印鑑登録証明書といった主要な公的書類での旧姓併記がすでに可能。

  • 財産・契約関連の進展: 不動産登記においても、既に婚姻前の氏(旧姓)のまま所有者名義登記が行えるように変更されている。

  • 残存する不便の解消可能性: 現在なお不便が残るとされる金融機関(一部の銀行・信用金庫)の通帳作成厚生労働省管轄の年金振り込みの問題も、所管大臣の通知一つで改善可能であり、法律改正は不要であると断言している。

高市氏の立場は、戸籍制度の根幹を変えるのではなく、既存の行政資源と行政措置を最大限活用し、法的・制度的な責任を公私の団体に負わせることで、社会生活上の利便性を確保することが、最も現実的かつ優れた解決策であるという点にある。

結論

高市早苗氏が選択的夫婦別姓法案に反対する論拠は、日本の戸籍制度の維持子どもの氏の安定性確保、そして旧姓通称使用の推進という三つの核心的な要素で、具体的な行政実績と将来の懸念事例に裏付けられている。氏は、戸籍制度が持つ公証力と行政・司法の基礎としての重要性を強調し、制度崩壊につながりかねない別姓導入に反対する。その上で、別姓導入がもたらしうる子の氏を巡る紛争という深刻な問題点を指摘し、社会的負担増を警告する。そして、それらの懸念を回避しつつ、実生活上の不便は、自身の提案する代替法案と広範な行政措置によって「概ね解消できる」と論じている。

参考動画:

BBCの高市sage番組に加担する者の正体

導入コストの面での懸念

選択的夫婦別姓は「強制的親子別姓」!?

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