【Beck82】(1)「語彙そのものを指導する介入法」の代表例
先日,語彙指導介入についての2023年のメタ分析を紹介しました。
メタ分析の弱点は
メタ分析の利点は,1つ1つの研究の視点から現象を見るのではなくて,飛んで上から見ることができること。つまり鳥瞰図というやつです。
そして弱点は,鳥の視点すぎて,個別の研究が豆粒のようにしか見えないこと。
あまり知らない分野のメタ分析を読んでも,深い納得というか,「分かった!」という感覚は得られにくいのではないかと思います。
上記のメタ分析の紹介でも,「語彙そのものを指導する介入法」などについては,さらっと流してしまいました。そこでは「効果なし」と言われてしまったわけですが,実際にはどんな介入をしていて,個別の研究ではどんな結果が出ているのでしょうか。メタ分析の結果と食い違うならば,それはなぜなのでしょうか。
2023年の介入研究のうち,語彙の直接指導の代表格と思われる文献を読んでみましょう。
それは1982年というずいぶん古い論文になりますが,Beckらの論文「語彙アクセスと読解力に対する長期的な語彙指導の効果」[1]です。
Beck, I. L., Perfetti, C. A., & McKeown, M. G. (1982). Effects of long-term vocabulary instruction on lexical access and reading comprehension. Journal of Educational Psychology, 74(4), 506–521.
めっちゃ良さそうな結果
ざっくりと言えば何をして,どんな結果だったのでしょうか。
◎ある小学校4年生児童に,合計104単語を学習してもらう介入を行った。
◎介入はなんと5か月間!上記の単語を用いた学習やゲームなどが行われた。
◎テストでは,単語の意味を問うだけでなく,それらの単語が含まれた文章をどれくらい記憶できるか,といった「語彙を学ぶことで文章理解力が高まるか」についても検討された。
◎テストの結果は,介入を受けたグループのほうが,受けていないグループよりも,高い成績であった。
◎したがって,介入によって語彙は増やせるし,語彙が増えれば文章理解力も高まることが示唆された。
おお~,めっちゃ良さそうな結果ですよね。しかもこの研究は1983年のMcKeownらの論文[2](Beck自身も著者で含まれている)で再現もされているとのことです。
今回の記事の主旨は,この「めっちゃ良さそうな結果」がどのように得られたものなのかを詳細に調べることです。次回以降で詳しく説明します。
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続きます。
引用文献
Beck, I. L., Perfetti, C. A., & McKeown, M. G. (1982). Effects of long-term vocabulary instruction on lexical access and reading comprehension. Journal of Educational Psychology, 74(4), 506–521. https://doi.org/10.1037/0022-0663.74.4.506
McKeown, M. G., Beck, I. L., Omanson, R. C., & Perfetti, C. A. (1983). The effects of long-term vocabulary instruction on reading comprehension: A replication. Journal of Reading Behavior, 15(1), 3-18.
