多様な視点を活用し、意思決定の質を高める仕組み(構想)
1 はじめに
本記事では、以前に構想として紹介した「多様な人々の視点を活用し、意思決定の質を高める仕組み」について述べていきます。
本構想については、現在デモ版を開発中であり、近日中に公開を予定しています。
そして、本構想では、実際の課題をもとにした検証を通じて、その有効性を確認していくことを想定しており、実証にご協力いただける企業・自治体の方々を募集しています。
以下では、はじめて本構想をご覧になる方でも理解できるように、以前の記事の内容も含め、
・ 本構想でどのような価値を提供したいのか
・ それをどのような仕組みで実現するのか
・ その結果としてどのような成果物が得られるのか
を順番に説明していきます。
2 何を提供したいのか
本構想は、企業や自治体が意思決定をする際に、「新しい可能性の発見」と「意思決定リスクの低減」を同時に実現できるようにすることを目指しています。
多くの企業や自治体において、意思決定は、
・ 限られた社内メンバー
・ 既存顧客
・ 少数の専門家
といった比較的狭い範囲の中で行われています。
しかし、実際には、
・ 想定していなかった利害関係者
・ 異なる市場の価値観
・ 生活経験や現場感
などから、重要な手がかりが見つかることも少なくありません。
このような多様な視点を取り込み、それを意思決定に活かすことができれば、「新しい可能性の発見」と「意思決定リスクの低減」につながると考えられます。
しかし、実際には、こうした多様な視点を体系的に収集し、意思決定に活用できる形で整理することは容易ではありません。
3 なぜそれが可能なのか
本構想では、多様な視点を偏りなく収集するために、企業や自治体の抱える課題に対して参加者をランダムに選出し、その参加者から結論と理由を伴った解決案を提案していただきます。
そして、集まった多様な解決案をAIを用いて整理・可視化することで、意思決定に活用できると考えています。
一般的なアイディア募集やクラウドソーシングでは、参加者は自ら応募する自発的参加が中心になります。そのため、関心の高い人や特定の立場の人に意見が偏る傾向があります。
これに対し、本構想では、参加者をランダムに選出する仕組みを採用しています。
この仕組みにより、
・ 特定の立場や利害に偏らない意見
・ 異なる経験や知識に基づく視点
・ 専門家だけでは気づきにくい感覚
などを含む、多様な解決案を集めることができます。
これは、関係者や専門家は前提知識や問題の捉え方を共有しているため発想が収束しやすいのに対し、ランダムに選ばれた参加者は、前提や視点が異なるため、発想が広がりやすいという特徴によるものです。
なお、完全に偏りがなくなるわけではありませんが、自発的な参加に比べて、より幅広い視点を取り込める可能性が高まると考えています。
4 何が得られるのか
⑴ 新しい可能性の発見
参加者がそれぞれの経験や知識に基づいて提案を行うため、社内メンバーや専門家だけでは気づきにくい発想や視点が生まれる可能性があります。
例えば、
・ 新しい発想
・ 異分野の視点
・ 潜在的なニーズ
などを得ることができると考えています。
また、本構想では単なるアイディアの一覧ではなく、解決案同士の関係を整理することで、
・ 集まった解決案の中で(相対的に)特異な解決案
・ 集まった解決案の合意点
・ 十分に検討されていない領域
などを短時間で把握することができます。
これにより、単発のアイディア以上に、
・ 新規事業のヒント
・ 新たな戦略の可能性
・ 潜在的な市場機会
といった重要な示唆を得ることができると考えています。
⑵ 意思決定リスクの低減
通常のアイディア募集では、個々のアイディアが断片的に存在するだけで、それらの関係性は分かりません。
しかし、本構想では、集められた解決案を整理し、
・ 解決案一覧と類似する解決案のまとまり
・ 支持されている解決案
・ 意見が分かれている論点
などを提示します。
その結果、
・ 他にどのような選択肢が存在するのか
・ どのような案がリスクが低いか
・ どのような論点が重要なのか
などを俯瞰して把握できます。
これは、いわば「アイディアのポートフォリオ」を実現することに近いと考えています。
こうしたことが把握できることにより、
・ 議論の整理
・ 検討の効率化
・ より合理的な意思決定
などにつながると考えています。
また、これらは、
・ 社内での意思決定の説明
・ 上司や取締役会への報告
・ 住民や顧客への説明
などの意思決定の正当性を示す材料としても活用できると考えています。
⑶ 成果物
本構想では、集まった解決案をそのまま提示するのではなく、意思決定に活用しやすい形に整理・可視化して提供します。
具体的には、どのような方向性の案があるのか、どの論点で意見が分かれているのか、どの解決案が支持されているのか、どの領域が十分に検討されていないのかといった点を把握できるようにします。
以下では、これらの内容がどのように可視化され、意思決定に活用できる形で提示されるのかを、実際の分析結果の画像をもとに説明します。
* 以下本記事で示す画像は、生成AIにより「生成AIを全社活用するにはどのような進め方が有効か」という課題に対して解決案を30件生成し、分析した結果であり、実際の企業データではありません。あくまでイメージとしてご覧ください。
ア 解決案マップ(クラスタリング)
まず、集まった解決案を散布図で可視化します。

このマップでは、各点がそれぞれの解決案を示しており(クリックしたらその解決案を内容を見ることができます)、内容が類似しているほど近くに配置されます。
これにより、全体としてどのような方向性の案が存在するのかを直感的に把握することができます。
イ まとめ
次に、集まった解決案を意思決定に有用な観点から整理します。


ここでは、集まった解決案を分析した結果として、合意と独創性のバランス、多数派と少数派の分布、さらに懸念や参考となる視点といった点を把握できるようにしています。
これにより、どの方向性の案が支持を得ているのか、どの解決案が独自性を持つ一方で慎重な検討を要するのか、また意思決定にあたって考慮すべき論点がどこにあるのかを整理することができます。
ウ 分析サマリー
さらに、集まった解決案の中から特徴的な解決案を抽出します。


ここでは、集まった解決案の中から「独創性」「支持」「議論の活発さ」といった観点から代表的な解決案を抽出しています。
これにより、多数の解決案をすべて確認しなくても、注目すべき解決案を起点として効率的に検討を進めることができます。
エ 成果物から得られるもの
これらの成果物により、意思決定に関わる立場の人(経営層・事業責任者・企画担当者など)は、
・ これまで気づかなかった発想や未検討の領域に気づくことができる(新しい可能性の発見)
・ どの方向性の案が有力で、どの論点に懸念があるのかを整理できる(意思決定リスクの低減)
・ 注目すべき解決案を起点として、追加で検討すべき論点を効率的に絞り込むことができる
といった判断を行いやすくなります。
このように、本構想は、単なるアイディア収集にとどまらず、議論の全体像を把握できる形で整理することにより、より合理的な意思決定を支援するものになると考えています。
もっとも、本構想は現在検証段階にあり、分析手法や実務における有用性については、今後の実証を通じて改善していく必要があります。
特に、実際の企業や自治体の課題に適用することで、どのような解決案が集まり、それらがどの程度意思決定に有用な示唆をもたらすのかについては、実データにもとづく検証が不可欠です。
そのため、本構想では、実証にご協力いただける企業や自治体の方々とともに、実際の課題を通じて本仕組みの有効性を検証し、継続的に改善していきたいと考えています。
5 追加:広告としての可能性
本構想は、課題解決の手段としてだけでなく、企業や自治体と社会との新しい接点を生み出す仕組みとして、広告の観点からも活用できる可能性があります。
例えば、"eBay"が行った研究では、検索広告は売上に対して大きな追加効果を持たず、既に関心を持っている顧客への接触にとどまる可能性が示されています。
この結果は、従来の広告が「新しい需要を生み出すこと」よりも、「既に存在する需要に対して接触すること」を中心としている可能性を示唆しています。
これに対して、本構想では、参加者をランダムに選出するため、企業や自治体とこれまで接点のなかった人々にも課題が提示されます。また、参加者は、単に情報を受け取るのではなく、課題に対して自ら考え、解決案を提案するという形で関与します。
このような「接点の拡張」と「関与」が組み合わさることで、これまで接点がなかった人々に、表面的な認知にとどまらない具体的なイメージを伴った理解を促すことができると考えています。
つまり、この「自ら考える」というプロセスにより、単に広告を見る場合と比べて、
・ 記憶に残りやすい
・ 自分ごととして捉えやすい
・ 具体的な場面を想起しやすい
といった特徴があります。
その結果、仮にこれまで接点がなかったとしても、関心や興味の形成につながり、従来の広告よりも深いレベルでの認知や理解を生み出すことが期待できると考えています。
【協力者・参加者の募集について】
現在、実証・立ち上げに向けて、以下の方々を募集しています。
① メンバー(運営・開発に関わる方)
本サービスの設計や改善に関わっていただける方を募集しています。
想定している関わり方:
・ 実際に触ってみての改善提案
・ ユーザー体験の整理(どこで迷うか、どうすれば分かりやすいかなど)
・ サービスの仕様やルールの検討
専門的なスキルは必須ではありませんが、「こうした方が良いのでは」と考えたり、試行錯誤することに関心がある方を歓迎しています。
② 協力者(企業・自治体など)
実証にあたって、実際の課題を提供していただける企業や自治体を募集しています。
想定している関わり方:
・ 実際の課題の提示
・ 有用な意見収集につながるための試行錯誤
・ 結果に対するフィードバック
③ ユーザー(テスト参加者)
デモ版を利用し、率直なフィードバックをいただける方を募集しています。
お願いしたいこと:
・ サービスの利用
・ どこで迷ったか、分かりにくかった点の共有
・ 率直な感想(使いたいと思うかなど)
ご関心をお持ちいただけましたら、info@weekend-innovation.com 宛てに、件名に①〜③(複数可)を記載のうえご連絡ください。
なお、募集に直接関係しないご意見やご質問も歓迎しています。
