見出し画像

171. Digital Twin Builder 再び

前回の記事                        次回の記事

はじめに

だんだん、Microsoft Fabric の無料お試し期間の残り日数が少なくなってきました。現時点(2025/12/16)でもまだ、新規項目でDigital Twin Builder が出てこない問題が解決できていません。
管理者設定で、一旦、Digital Twin Builder を無効にし、再度、有効にしたら出てくるかと、試してみましたがこれもダメ。
多分、Microsoft Fabric の有償サブスクリプション購入すれば出てくるのでしょうけれど、しがない個人事業主には、ちとお高い。この定期購読マガジンの購読者が500人ぐらいいれば、やってもいいのですがね。。。

そもそも Microsoft Fabric は、普通の無料で作成可能なマイクロソフトアカウントでは利用できなくて、Microsoft 365 で作られた職場や学校のアカウントでないと無料お試しもできません。(ちょっと不正確かもしれないです)。Microsoft 365は、個人事業主にも優しいレベルの廉価版があるので、Microsoft Fabric にも現状の価格の一桁安いエディションがあってもいい気がします。IT技術屋じゃない普通の個人事業主がAI 活用したいなら、結構便利だと思うんですけどね。。。

チュートリアルを眺めながら思考実験的に機能を検証する

まぁ、グダグダ言っていてもしょうがないので、

  1. デジタル ツイン ビルダー (プレビュー) チュートリアルの概要 - Microsoft Fabric | Microsoft Learn

    • バイオエタノール精製プラント

  2. Real-Time Intelligence チュートリアルの概要にあるデジタルツインビルダー(プレビュー) - Microsoft Fabric | Microsoft Learn

    • バス運行

この二つのチュートリアルを眺めながら、Digital Twin Builder とは何ぞやについて、私の見解、考察を述べていくことにします。Microsoft Fabric が提供する似たようなセマンティックモデルも一応使って見れたのでね。

Digital Twin Builder の対象

マイクロソフトによれば、Digital Twin Builder が扱うモデルは、オントロジのモデルだということになっています。二つのチュートリアルで作るオントロジモデルは、前者が”バイオエタノール精製プラント”で、後者が”バス運行”に関するモデルが例として取り上げられています。
前の記事でも書いていますが、オントロジモデルとは、

  • エンティティ

    • 名前

  • エンティティを特徴づけるプロパティ

    • 時系列プロパティ

    • 非時系列プロパティ

  • リレーションシップ

    • 名前と多重度

から構成されるモデルです。この道具立ては、Microsoft Fabric のセマンティックモデルと同等で、異なるのは、プロパティに時系列・非時系列の区別があるだけです。Digital Twin Builder を実際作って試せていないので、何とも言えないのですが、察するに、リアルタイムハブのイベントストリーム系から入ってくる時系列データは、セマンティックモデルではプロパティとして使えないのかもしれません。素朴な私の印象ですが、セマンティックモデルにこの機能を付け加えれば、Digital Twin Builder という別の道具立てはいらないように思えます。

オントロジモデル・セマンティックモデル

こちらも前から言及していますが、この道具立ては、概念モデリング と基本的に同じです。対応関係は、

  • エンティティ ☜ 概念クラス

  • プロパティ ☜ 概念クラスの特徴値

    • 概念モデリングでは、時系列・非時系列の区別はない

  • リレーションシップ ☜ リレーションシップ

    • Digital Twin Builder にはリレーションシップの両端に”述語”が無い

    • 概念モデリングでは、多重度を、0..1、1、1..*、* だけに制限している

となります。オントロジモデルだけでなくセマンティックモデルについても、リレーションシップの両端に述語が無いと、存在の意味を定義することはできないので、記述できる機能を両方のモデルに入れたほうが良いと思われます。
また、この道具立てで意味論的な構造を定義できるのは、モデル作成の対象が、一つの意味の場に限定されていなければならない、というのが、言語哲学、論理学、数学的な観点からの私の結論です。なので、オントロジモデル、セマンティックモデルともに、概念モデリングで言うところの、”意味の場”を明確に意識しないと、そもそもモデルを作ることはできないことになります。結果として、Microsoft Fabric を使いこなすには、概念モデリングを習得したほうが良いというサジェスチョンになります。

二つのチュートリアルで作成するオントロジモデルのエンティティを書き出してみます。

  • バイオエタノール精製プラント

    • Distiller(蒸留器)

    • Condenser(圧縮器?)

    • Reboilder(再沸器)

    • Process

    • Technician(技術者)

    • MaintenanceRequest(保守リクエスト)

  • バス運行

    • Bus

    • Stop(停留所)

バイオエタノール精製プラントのエンティティで、太文字で表したものは、時系列データのプロパティを持っていません。この3つのエンティティは、セマンティックモデルのそれと違いはないでしょう。
以前、何かの折に、「Digital Twin のモデル化するべきは機器とか実際に存在するモノだけだ」と指導されたという話をお客様から聞いたことがありますが、この考え方が妥当ではないことは、このチュートリアルを見れば明らかです。これも、セマンティックモデルのプロパティに時系列・非時系列の区別を入れればよいのでは?と考える大きな理由です。

意味の場から考える、時系列・非時系列の区別

概念モデリングにおいて、特徴値に対して、時系列・非時系列の区別を導入するべきか否かは、一応検討してみました。検討結果は否です。

オントロジモデル、セマンティックモデルに相当する概念モデリングの道具立ては、概念情報モデルです。概念情報モデルが表すのは、意味の場がどういう意味的な構造なのか、についてであり、そのモデルに記述された概念クラスをひな型にした概念インスタンスの生成・消滅、特徴値の更新、リレーションシップをひな型とした意味的リンクの生成・消滅については、一切記述しません。それらを一括して状態更新と呼ぶことにします。
概念モデリングにおいては、この状態更新を、そもそものモデル化対象である、バイオエタノール精製プラントやバス運行とは、異なる別の意味の場であると、考えます。この意味の場において、特徴値(プロパティ)の更新形態については、

  • 特徴値という概念クラスがあって、その is-a のリレーションシップでつながるサブ側の概念クラスに以下の二つが存在

    • 時系列特徴値

    • 非時系列特徴値

ここから先は

1,141字
説明では、Microsoft Azure 中心‼…になっていますが、最近は、Azure に限らず、IoT・Digital Twins、加えて、AI、DX 等のシステム構築に関するもっと本質的な話題を書いています。なんちゃってから卒業したい技術者の皆さんぜひ、ご購読くださいませー

IoT・Digital Twins を極めよう!

¥200 / 月 初月無料

2022年3月にマイクロソフトの中の人から外の人になった Embedded D. George が、現時点で持っている知識に加えて、頻繁に…

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?