非エンジニアがCoworkの2週間エラー地獄を抜けた話
Coworkを試したくて課金したのに辛いです。
チャット欄にそう打ち込んだのは、課金した当日の話だ。
月20ドル。コマンドプロンプトまで使って、それでもインストールすらまともにできない。原因が自分のPCにあるのか相手にあるのかもわからない。あの宙ぶらりんの感覚は、虚しさに近かった。
ここから2週間、エラーと格闘することになる。
2月16日、別アカウントに入るまでの半日
2月16日、午前10時か11時頃。Claude Desktop(Proプラン・月20ドル)に課金して、claude.comから Claude Setup.exe をダウンロードした。ダブルクリックすると、ダウンロードゲージが100%になった瞬間、ウィンドウが音もなく消える。エラーメッセージは出ない。ただ閉じる。
何回試しても同じだった。マジかぁ、ここで躓くかぁ、と思いながら、ブラウザでチャットに聞けばええやん、とClaude.aiを開いた。
状況を伝えると、Claude.aiがまず尋ねてきたのは「ファイルの容量は?」。プロパティで確認して、6.39MBと返した。
ファイルサイズが異常に小さいです。正しいClaudeデスクトップアプリは通常100MB以上あるはずです。
ん?そうなん? よくあるダウンロード展開型のアプリだと思ったが、その会社のAIが言ってるんやから、本当はもっと大きいというのが正しいんだろうと考え、少し違和感があったけど先に進むことにした。
念のためChromeとEdgeでも落とし直した。出るのは同じ6.39MB。3回とも壊れたファイルが落ちる確率は低いやろ、と思って、そのまま伝えた。ついでに聞いた。バーが伸びているのは、そこでダウンロードしているからではないか、と。
あっ、そうですね!私の説明が不足していました。Claude Setup.exeはインストーラーの本体ではなく、本体をダウンロードするための小さなプログラムなんですね。
説明が不足していました。とはどういうこと?さっき自信満々に「ファイルサイズが異常に小さいです」と言ってたやん。知っていたなら最初から言ってくれればいいのに。
何をしれっと流してんねん、というのが本心だった。ただ、文面は丁寧だったし、こちらの指摘で修正してくれたのも事実ではある。
ひとつこの時点でClaude.aiに言わなかったことがある。うちのPCはBTOフルカスタム、ショップで中身を一つ一つ選んで組んだマシンだ。これを伝えたら「PCの相性が原因かも」で話が止まって、調べてもらえなくなるかもしれない、という思いがあったから黙ってた。
そこからはClaude.aiが本腰で調べてくれた。コマンドプロンプトからダウンロードフォルダに cd(フォルダを移動するコマンド)で移動して、exeを指定して起動する手順まで試した。
私にとってコマンドプロンプトは、何でも出来るとそう思える魔法のアプリだ。でもあの画面は流石に敷居が高い。どうしても出来ないときに使う最後の手段。それでもインストール出来なかった。
もう何をやってもダメで、チャットにこう打ち込んだ。
Coworkを試したくて課金したのに辛いです。
最後の手段まで使って、金だけ払ってインストールすらまともにできない。どうしたらいいのか分からない。そんな虚しさだった。
Claude.aiが次に出してきたのは、Windowsの別アカウント作戦だった。アカウントをもう一つ作って、そちらでインストールを試してみては、と。
なんかとっちらかった気がするのでアカウントを増やしたくはないんだけど、この際仕方ないとしぶしぶ従った。ローカルアカウントを新しく作って、そこでインストールすると、何事もなかったかのように通った。午後2時か3時頃だったと思う。
元アカウントにサインインし直すと、Claude Desktopが普通に立ち上がった。原因は今でも分からない。
とにかく、ようやく触れる状態になった。お礼を返すより先に、動いているClaude Desktopを触りたかった。
エラー文をそのまま貼ったら、日本語で返ってきた
2月16日の残り時間、Coworkは触れるには触れていた。ただ、自分が何を頼んだらいいか分からない。普通の仕事もあり、触りたいけどしたいことが決まらない。
インストールに疲れたこともあり、これと言った作業はせずにその日は終わった。
エラーが来たのは翌日だった。2月17日の昼前、Coworkに戻ると白いウィンドウだけ出て動かない。
sandbox-helper: host share not mounted at /mnt/.virtiofs-root/shared: not a mount point
Google検索にこの文字列を貼っても、出てくるのは英語のホームページばかり。日本語の情報はほとんどなかった。
Claude.aiにそのまま貼って、これはどんなエラーか教えてくださいと尋ねた。返ってきたのは、丁寧な日本語の解説だった。
Coworkが内部で使用しているサンドボックス(仮想環境)の起動に失敗したエラーです。Coworkがファイルやタスクを安全に処理するために使う仮想Linux環境が、Windowsのファイルシステムとの共有フォルダのマウントに失敗しています。
つまり自分のWindowsの中に、Coworkが軽量なLinux仮想マシンを連れてきて住まわせていた、ということだった。WindowsでLinuxベースの技術を使っているとは思わなかった。流石にびっくりした。

もうひとつ、この時調べてくれたことがあった。sandbox-helper 関連のエラーは、英語圏では仮想空間系のバグとして広く知られているらしい。公式にも認識されている、とClaude.aiが教えてくれた。
自分だけが引いている不具合じゃない。そのうち修正が入るかもしれない。少しホッとした。
そしてこの一件で、英語のエラー文を貼ればいい、という手応えがはっきりした。
従来ならググって英語のホームページを見て、Googleのページ翻訳を使って意味が理解できず諦めていた。それが、そのまま貼れば日本語で返ってくる。英語だからと怖がることはもうない、と実感した。
エラーの出方にも、少しずつ理屈が見えてきた。しばらく席を外してCoworkに戻るとこのエラーが出る。タイムアウト的な症状で、再接続に失敗したまま復旧しない。
再現性がある。Claude.aiとの相談で、2月18日の昼には「そんなことある?」と質問している、らしい(当時のログに残っていた)。
再現性があるなら、と公式にバグ報告も送った。デバッグ送信画面は英語だったが、項目をClaude.aiに翻訳してもらって、日本語で本文を書いて送った。
送ることで同じエラーの母数が増え、優先的にバグフィックスをしてもらえるかもしれない。選挙の投票のような気持ちで送ったバグ報告だった。
その日の終盤、対処も一段進んだ。最初は、アプリ・バックグラウンドタスク・サービスを終了してから立ち上げ直す、という手順をClaude.aiから教わった。それでもPC再起動は外せない。
さらに調べた結果、アプリ終了 → サービス停止 → サービス開始 → アプリ再起動、という4手順なら、PC再起動なしで戻せることが分かった。
再起動の手間は減ったが、まだめんどくさい、と思った。
その場で今度は復旧方法をフィードバックに送った。
直っては壊れ、また直った
2月18日以降も、状態は安定しなかった。
アプリ終了 → サービス停止 → サービス開始 → アプリ再起動。この4手順で復旧できる、と分かってからも、Coworkはまた同じ症状で止まった。席を外した後、戻ると動かない。4手順で戻す。しばらくしたらまた止まる。慣れた。ベータテスターだから仕方ない、と割り切っていた。ただ、面倒くさくはあった。

少し時は流れて、2月25日。今度は別のエラーが出た。
RPC error -1: failed to ensure virtiofs mount: Plan9 mount failed: bad address
Plan9という、また新しい単語だった。あら、いつものとは違う。ただ、同じ系統だろうと高をくくってClaude.aiに貼った。
返ってきたのは、WindowsとLinuxのファイル共有に使われているプロトコルの名前だという説明で、ちょっと違う感じだった。bad address はHyper-Vまたはカーネルレベルの問題で発生しやすい、とのこと。
どうしたら良いのか、とは思った。でも、とりあえずClaude.aiに教えてもらったとおりに対応してみよう。不安には思っていなかった。
解決策を順番に並べてもらった。Hyper-Vの有効化、Windowsハイパーバイザープラットフォームの有効化、BIOSでVT-xの確認、Windows Update、WSL2カーネルの更新。自分の知識では、こんなところのチェックは思いつきもしない。
コードに強いAIは頼りになるなぁ、と多少の不安を感じながらも、そのうち原因が見つかるかなと思って一つずつ確認していった。それでもダメで、最終手段としてCoworkの再インストールに進んだ。
そうしたら今度は、古いClaude Desktopのフォルダが削除できない。
C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Claude というフォルダが残っていて、管理者権限でも消えない。アンインストールしたのに、なぜ削除されないのか。不安は少し大きくなった。
ただ、仕事でファイルサーバーのファイルが消せない症状は経験していたので、何かが悪さしてるんだろうな、とは思った。
Claude.aiにそう伝えると、バックグラウンドで Claude.exe が動いている可能性が高い、タスクマネージャーで全部終了してから試してほしい、と返ってきた。
タスクマネージャーを開いてClaude関連のプロセスを一つずつ終了した。それでもフォルダは消えなかった。
結局、PCを再起動したら消せた。そこから管理者権限でインストーラーを起動して、ようやく再インストールが通った。
ホッとした。が、再起動で直るのは基本やん、と自分に少し呆れた。慌てていたのだと思う。

この週も同じようなエラーは続いていたけど、立ち止まりながらもCoworkと作業を続けていた。Claude.aiが横にいて、今起きているのはこれです、原因はここで、次はこれをやってみましょう、と順番を作ってくれる。
自分では間違っても思いつかない色々な方法で、原因を見つけるところまで持っていってくれた。
エンジニアの方にとっては大した話ではないのかもしれない。ただ、Claude.aiに相談できていなかったら、あきらめるしかなかったかもしれない。少なくとも自分はそう思っている。
PC再起動が面倒だから、ツールを作ることにした
3月の頭。
ここまでで、Coworkがおかしくなった時の対処手順は、ほぼ決まっていた。
Claude Desktopを終了
タスクマネージャーで残プロセスを強制終了
サービスのClaudeを停止 → 再起動
Claude Desktopを起動
同じ4ステップを毎回手でやるのは、さすがにしんどい。根本的に直らないか相談するついでに、直らないなら一連の作業をクリック一つで出来ないか、とClaude.aiに聞いた。
以前、Windows 10の頃にネットで調べてダブルクリックでシステム終了するバッチファイルを作ったことがあった。バッチという名前は覚えていなかったが、同じようなことが出来るんじゃないか、と思って付け足した。
処理の順番を話したら、Claude.aiが対応するWindowsコマンドを書き出してくれた。それをデスクトップに移動するだけ。強制終了は不安だと言えば、通常終了のコマンドを間に入れてくれる。
ほんと何でも答えてくれる。小学校の頃そう思い込んでいた先生像そのものだった。
そのファイル名は Cowork_VM復旧.bat。 ダブルクリックしてみた、、
動かなかった。
文字化けで動かないCowork_VM復旧.bat
変わらずです。
とClaude.aiに打った。ん、AIも失敗するのか。exeファイルの容量の件もあって、完璧な先生像にちょっと疑念が出てきた最初かもしれない。
返ってきた候補の中に「日本語の文字コードでバッチファイルが化けている可能性」があった。中身を日本語でコメントアウトしていたのが原因かもしれない、と。
日本語はこういうシステム自体を動かすことにはやっぱり向いていないんだな、と思いつつ、あれ、それって基本的なことでは、ともちょっと思った。
メモ帳の文字コード設定を変えて保存し直した。それでも動かない。
Claude.aiから次の提案があった。日本語を全部英語に置き換えて、最初に「何かキーを押してください」で一時停止を入れたバージョンを作ろう、と。止めれば何が起きているか見える。そう言われて、確かに、と思った。
名前は CoworkFix2.bat にした。動いた。
最後に残ったのはタスクバーへのピン留めだった。Windows 11は .bat をそのままピン留めできない仕様らしく、素直には収まらない。
Claude.aiの案で、ショートカット経由でピン留めする方法を取った。デスクトップで右クリックして新規作成からショートカットを作り、項目の場所に cmd.exe /c "C:\Users\...\CoworkFix2.bat" を入力。名前を CoworkFix にして、できたショートカットをタスクバーにピン留めした。

これで、Coworkがまたおかしくなっても、タスクバーのアイコンを1回押すだけで復旧する状態になった。1〜2分で作業再開できるから素直に助かる、と思った。バグは早く直してくれたらいいけど、めんどくささはなくなった。
静かなホッと
派手なガッツポーズはなかった。静かなホッと、というのが正直なところだ。
この2週間、散々な目に遭った自覚はあるんだけど、一度も辞めようと思わなかった。
なぜかと振り返ると、インストール出来なかったとき・エラー地獄に陥ったとき・そしてバッチスクリプトを作って貰ったとき、そのどれもが不具合への対処だった。でも、Claude.aiに相談することで解決への糸口が見つかったり、知らないことを知れる喜びがあった。それを楽しめたからだと思う。
自分の気づきがClaude.aiより早かった時には、ちょっと得意気になれたりもした。そんな感情がほとんどだったので、辞めるという発想がなかった。
この当時、まだチャットで成果物が作れるということも知らなかった。Claude.aiは正に、知らないことを教えてくれる先生だった。たまのポカはご愛敬といったところで、信奉し始めた感じがあったかもしれない。
少しでも早く情報が欲しくなって、Xもまた使い始めた。
その先生が、いつ相棒になったか。それは、もう少し先の話になる。
この2週間でわかったことが3つある。
英語のエラー文は、意味が分からなくてもAIにそのまま貼れば日本語で返ってくる。ググって英語サイトを翻訳して諦める、あの手順はもう要らない
AIも間違える。でも「それ違うやん」と指摘すれば直してくれる。完璧じゃないからこそ、こちらの観察にも意味がある
同じ手順を毎回やるのが面倒なら「これ自動化できない?」と聞けばいい。バッチファイルという名前を知らなくても、やりたいことを言葉にすれば作ってくれる
エラーが出て手が止まったら、画面のスクリーンショットを撮ってAIに貼るだけでいい。
少なくとも自分は、それだけで2週間のエラー地獄を抜けられた。
