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ややこしい息子の「好き」を、ソーシャルノイズから守りたい

GWの帰省中、安斎勇樹さんの『静かな時間の使い方』を読み、「もっとリフレクションしたいなぁ」と感じました。

もうひとつ、この本を読んでよかったなぁと思ったのが、「ソーシャルノイズ」と呼ばれる「外圧」の存在を意識できるようになったことです。

「ソーシャルノイズ」とは

常に何かとつながっている現代では、「正しくあれ」「ルールからはみ出すな」「もっと成長しろ」「いいねを稼げ」――そんな「他人の声」で頭がいっぱいで、自分のことを静かに考える時間がまったくない、と安斎さんは言います。

このような外圧を「ソーシャルノイズ」と本書では呼んでいるのですが、名前をつけてもらうと、その存在を認識でき、少し冷静になれるものですね。
ほら、正体のわからない「ガオーッ」と吠える怖い存在も、「あれはライオンだ」とわかるだけで、怖さが少しましになる、っていうあれです。

私はお気楽フリーランスなので、まだこのソーシャルノイズからは距離を置けているほうだとは思います。
それでも定期的に「もっとこうあるべき」の外圧(と自分が勝手に捉えてしまうもの)に、心かき乱されるときがあります。

そうか、あの感覚はソーシャルノイズに起因するものだったのか、と自覚できたのは、この本を読んでとてもよかったと思うことです。

そして、子どもたち、特に中3息子と向きあうとき、自分がソーシャルノイズにならないようにしないと、もしくは、ソーシャルノイズから守ってやらないと、と思っていることに気づきました。

アスリートとソーシャルノイズ

内気な息子が、生まれて初めて自分から「やりたい!!」と言って、スポーツクライミングを習い始めてから、気がつけば9年目に入ります。

幼稚園に行くのも泣いて嫌がっていた子がいきいきと登る様子を見て、私はそれだけで嬉しいのでした。

本気で競技を続けようとすると、いろいろな外圧がかかってくるのだな、というのは、親として見守ってきて感じることでした。

スポーツクライミングはまだまだ競技人口が少ないので、
「本気で競技に取り組む=大会で成績を出す=世界を目指す」
という公式が、根強くある気がします。

でも息子は、小さい頃から、「別にオリンピックに出たいわけじゃない」と言い続けてきました。
小学校でよく書かされる「将来の夢」には「JMSCA(日本山岳・スポーツクライミング協会)のスタッフ」と、つたない字で書いていました。

ただクライミングが好きで、強くなりたい、という息子の内発的動機が、ソーシャルノイズに惑わされないようにするのが、親である私の役目なのだろうと思うのです。

どこまで「本気」に付き合うか

息子は来週、リードユース日本選手権に出場するために、佐賀県まで行きます。
栃木から茨城空港まで車で1時間。飛行機で福岡空港へ。そこから電車で1時間、佐賀へ。
移動のために1日学校を休み、付き添いの夫も有休を取り、大会に臨みます。

スポーツクライミングのうち、ロープをつけて高いところを登るリード競技は、息子は苦手で、今回大会に出ても、下から数えたほうがはやいことは、出場する前から分かっています。

でも息子が「今の自分に、どのくらいの実力があるのか見てみたいから出たい」と言うのだから……その気持ちは、叶えてやりたいと思うのです。

そして、この1カ月は、多様な課題に触れようと、リード壁のあるいろいろなジムまで遠征しました。つくば、川口、入間、葛西……片道2時間を超える移動は、連れて行く親にとっても、時間、体力、ガソリン代がかかります。

「大会で成績を出す」をゴールとするなら、私たちがやっていることは、効率が悪いなぁとも思います。
国体に出るための予選会には出ず、ユースの大会に向けて気持ちを整えたいという息子の意向も、きっとアスリートとしては、正しくないのだとも思います。

でも、息子の「クライミングが好き」で「自分なりに強くなりたい」という思いがあって、「そのために、自分なりに考えた設計で練習したい」という内発的動機を削がないように、私はただただ、息子に付き合っています。

そうは言っても、不機嫌な息子

こう書くと、前向きで、やる気に溢れた少年のようですが、実際は思春期真っ只中の、大変ややこしい態度が続いています。

昨日も2時間以上かけて行ったジムで、全く登れない自分に嫌気がさした息子は、「リード、ムリ」「リード、いやだ」のネガティブワードを連発。

「ここまで連れてきてやったのに……」と言いたくなるところをぐっと堪え、「嫌かー。リード、別に辞めてもいいからねー」と流して、なんだかんだ、丸一日練習しました。

嫌だと言いながら、自分から登り続けるのだから、好きなんですよね。

息子が「主体的に生きる」ために、母は結構、心を砕いているのだよ。
いつの日か息子が、「あの頃は親に随分と世話をかけた」と遠い目をしてくれることを願っています。

本からもらった言葉が、息子と向きあって日々感じていることに重なった一日でした。


ココロ ツムグ研究所かげいろは、栃木県宇都宮市で「丁寧に紡いだストーリーで人との距離を縮める」をMissionとして取材・執筆活動をしています。
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