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オランダ視察 × h-MBA的視点から見えた次の挑戦―理学療法士のキャリア戦略

8月の後半。猛暑の中、特大のスーツケースを持ちオランダのフローニンゲンへ向かった。

唐突に訪れる、単独医療介護視察である

全て個人手配

毎回、特に大きなテーマは決めていない。直感的に「あ、オランダ行きたい」という、驚くほどざっくりな気持ちからスタートするのである。(大丈夫?)

しかし、いざ行ってみると、これが本当に学び深く、インスピレーションの嵐である。自分のちっぽけな脳みそでは考えつかなかったアイデアや「理学療法士として今後やりたいこと」が見えてきた。

具体的には、h-MBAで医療経営を学んでいる今だからこそ、オランダの制度や仕組みがどのように人々の行動を変えているのかが見えてきた。

そしてその視点は、私自身のキャリアにも大きな問いを投げかけてきた。

忘れないうちに、一旦アウトプットしておきたい・・・!

オランダの風景が教えてくれたこと

 8月後半のオランダ。気温は12〜20度前後で、涼しい空気が心地よい。運河沿いには花があふれ、街全体がどこを切り取っても絵画のようである。

たのしそー

朝から夕方まで、ランニングをする人や、犬を連れて散歩する人が途切れることなく行き交っている。

近年の「映え」を意識した人工的な美しさがどこかしっくりこない私には、本当に心に刺さる自然と人の営みがつくりあげた街並み。

この景色を見るだけで「ここに来られてよかった」と心から思えた。
時間が許すなら、コーヒーとサンドイッチ、いや、ワイン片手に(本音)、ぼーっと眺めていたい。

初デートでも、老後でも、好きな人とこの街を歩くだけで楽しいに違いない。思わずスマホを取り出すけれど、本当はカメラ越しではなく、自分の目に焼き付けておきたい景色だった。

歩いていると、自然に深呼吸をしたくなる。腹の底まで空気が入り、肩の力が抜ける感覚がある。

東京で働いていると、つい呼吸が浅くなっていたなと気づく瞬間である。
空気の汚れもそうだが、忙しなさが呼吸を浅くしているのだ。

常に何かに急かされ、次の予定を考えて行動してしまう。(せっかちさん)

そんな自分と比べ、オランダの日常は正反対だった。日中から日光浴をしている人があちこちにいて、「この人たちは仕事をしているのだろうか?」と思ってしまうほど。毎日がまるでピクニックのような風景が広がっていた。


“外に出るのが危険”になりつつある国

同じ8月、日本では30度を超える猛暑が続いていた。外に出れば、熱中症警戒アラート、「今日は極力外出を控えてください」と言われる日も多かった。

ランニングをしている人は、健康意識の高い一部の人やマラソン愛好家に限られ、誰もが気軽に「歩こう」と思える環境ではない。

同じ「歩く」という行為が、オランダでは「当たり前の習慣」として街にあふれているのに、日本では「努力が必要な特別なこと」になってしまう。

その違いに、どこか切なさを覚えた。


オランダの医療はどんな感じなのか?

街並みの印象の裏側には、制度の違いもある。

オランダの医療保険は、まるでサブスクのように「年に一度、どのプランに入るか」を選ぶ仕組みだ。

例えば歯科治療が必要な年は歯科込みのプランを選び、腰痛が気になるならリハビリが含まれるパッケージを選ぶ。治療が終われば翌年はベーシックなプランに戻すなども可能

フレキシブル!

加えて、医療の入口には「家庭医(huisarts)」が立っている。
専門医に直接アクセスできる日本とは違い、まずは家庭医を受診し、必要と判断された場合にだけ紹介を受けて専門医にかかる。家庭医は一人あたり約2000〜2500人の患者を担当しており、相談窓口でありゲートキーパーのような存在だ。

最初は「不便そう」と思った。好きなときに好きな専門医へ行けないのはもどかしい。しかし、制度が人々を“予防”へと向かわせていることに気づいたとき、腑に落ちた。

「実際、医者にかかるのは大変だから、そもそもならないようにするしかないんだよね」

という現地の声もちらほら

面倒にならないように、そもそも健康を維持しようとする。そのデザインに「制度が行動を変える」という面白さを感じた。


hMBA的視点も少しだけ

さらに驚いたのは病院の数の移り変わりである。

オランダではここ数十年で病院の数を減らし、組織の統合を進めている。直近10年でみると、2014年には131あった病院サイトが、今は113に減少している。一方で、外来クリニックは増えており、病院に行かなくても身近な外来拠点で診療が受けられる体制が整えられていた。

(もっと詳しくみると・・・)
1957→1972→1980→1983の一般病院数(施設数)は、219 → 199 → 176 → 165へと減少(規模は拡大)。
→この時期から統合・集約が進んだことがわかる

「病院組織」は半世紀で大幅減。ただし“病院として診療が行われる場所”は外来拠点の増加で確保される構図。

政策の狙い:①医療費と人材制約に対応し持続可能性を確保、②重症・高難度は集約、③慢性・生活期は地域へ、④デジタル・予防の強化

集中と規模拡大で効率化を図る一方、外来拠点の分散でアクセスを維持

日本で「病院を減らす」と聞くと、多くの人は危機感を抱く。
いや、そもそも「病院が減るわけがない」と、事実そのものを認識していない人の方が多い印象だ。

現場で患者さんや家族からも「だって高齢者が増えているし、病院はこれからも増えるんじゃないの?」と何度も言われてきた

そう思ってしまうのも、わかる

しかし実際には、物価や人件費の高騰で赤字を抱える病院が増え、日本もまた“病院を減らさざるを得ない”フェーズに入っている。
こうした現実を知っているのは、経営に関わる立場や情報を積極的に取りに行っている人に限られているのが実情だ。

オランダでは「病院を減らす=不安」ではなく、「生活に近づいた安心」につながっていた印象を感じた。この対比に、医療の制度が人の感覚まで左右することを強く感じた。


日本で目指したい、今後のキャリア

オランダでは「環境」と「制度」の両方が、人々を自然に健康へと導いていた。涼しい気候もそうだが、医療制度そのものが「予防を促す仕組み」として機能している。

日本はどうだろう。
病院を自由に選べる便利さの裏側で、現場は赤字や人材不足に直面し、制度の転換点に差し掛かっている。病院が減ることを「ありえない」と思う人も多いが、実際には避けられない未来だ。

そんな事情を知りりつつある私はいま、hMBAで経営を学びながら、東京都の高齢福祉事業に力を入れている。

現場に入ってみると、地域ごとに理学療法士などリハ専門職の関与の度合いが大きく異なる。関与が深い地域では「地域で医療や介護をどう進めるか」が具体的に見え始めているが、そうでない地域では「何から手をつけていいかわからない」まま、健康イベントが単発で終わってしまうことも多い。

だからこそ思う。

もし理学療法士が経営を学び、事業として地域全体を底上げする役割を果たせるなら、世界は少しずつでも良い方向に動くのではないか。

いや、動かすべきである。

外を歩くだけで呼吸が深くなる体験して「人の行動は環境と仕組みで変えられる」と気づいたからこそ。
日本もまた、働く環境や制度をデザインすることで、キャリアや暮らしをもっと豊かにできるはずではなかろうか。

さて、これからどんな仕組みをつくり、どんな未来を描いていくべきか。そんなことを考えている今日なのでした。


そんな私が高齢者のくらしで知っておくとよいあれこれを詰め込んだ新著『高齢者のくらし図鑑』がGakkenメディカルケアサービスより2025年8月28日発売となりました。
(発売前重版となっていた話題書をぜひ・・・・!!)


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長島佳歩|理学療法士 最後まで読んでくださりありがとうございます^^! チップはいりませんので、良いと思った記事は、ぜひシェアしていただけると大変喜びます笑 理学療法士として、体のこと、心のこと、高齢者介護のこと、はたまた趣味の海外のくらしのことなど、体験からの学びをシェアしていきますね^^