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ばーちゃんの3年日記と、20時30分の電話。

もう、書くの、やめよぉと思ってんだ。なんだか、書くこどもねぇしよぉ。

週になんどかの電話口。93歳のばーちゃんは、最近、弱気だ。

東北の田舎。数年前に祖父が亡くなり、一人暮らしも一通り楽しんだ後。ここ数年はやっぱり弱気になりつつある。

もともと、「寂しがりや」の祖母なのだ。

祖父が亡くなった数年は、それこそ心配もあり月に一度は顔をみにいっていた。それがしたくて、会社員を辞め独立してフリーランスとなったのもある。

次第に元気を取り戻したことと、父が退職し月の半分は会いに行ける環境になったこともあり、今では2〜3ヶ月に一度会うペースになっている。

だから、電話は頻繁にする。一人暮らしの祖母の生活パターンは痛いほど染み付いているから、「いつ電話をかければ、確実に出れるか」もわかっている。

8時に起床し、山崎パンのダブルソフト(半分)と目玉焼き、サラダの朝食をゆっくり準備して食べる。そのままお昼までは庭の草むしり。昼ごはんはだいたいバナナと、頂き物のお菓子。15時には夕飯の支度に移り、17時には食べ始める。19時までテレビをみつつのんびりし、20時までにお風呂に入る。そのあと日記を書き21時半に就寝。

ばーちゃんの「なにもない日」の流れ

だから私は20時30分ころにいつも電話するようにしている。東北は寒いから、お風呂あがり30分は、部屋で温まっていて欲しい。

彼女はいつも21時30分に寝る。その寝る前に、もう何十年もつづけている習慣がある。それが「3年日記」である。

この3年日記を、ここ数年「もうやめる」と言い続けている(が、続けている)。同じ日付が同じページに3段に連なっているタイプで、書くのはほんの3〜4行。

わたしがばーちゃんちに遊びに行ったとき、こっそりそれを見せてもらう時間が好きだ。恥ずかしいならいいよ、といってもいつも見せてくれる。

⚪︎月⚪︎日:夜かほちゃんから電話がくる。ゴールデンウィークには遊びにくるとのこと。それまでに、さくらんぼが間に合うといいが。

⚪︎月⚪︎日:今日はかほちゃんの誕生日。去年は日付を間違えたので、正月にみんなの誕生日をカレンダーに書いておいた。19時ごろに電話をしたら、旅行にいっていると。楽しそうでなにより。

ボケたと落ち込んでた、次の年の対処がさすが。

⚪︎月⚪︎日:明日はかほちゃんが来る。なにが食べたいか聞いたら漬物とのこと。午前中に青菜漬けときゅうりのビール漬けを出して切っておく。あとはゼンマイを煮る。

寝る前の数十分、祖母は自分のことを想ってくれている。気まぐれでかけた電話から、いろいろと思案してくれる。

ばーちゃんが寂しくなるのは、だいたい20時過ぎ。日記を書いている時間。

日記を書くのを辞めて欲しくない理由は多々ある。理学療法士の目線で言えば、たとえば、「認知症予防」とかそういうことだ。

しかし、厳密にはそうではない。

あの3年日記は、ばーちゃんの記録であると同時に、わたしが想われている記録でもある。

電話をしたこと、遊びに行く予定、誕生日、好きな漬物。あの数行のなかに、わたしの生活が確かに置かれている。

どんなに仕事でいやなことがあっても、不安で逃げ出したくなっても、わたしが動ける背景には、この祖母をはじめとした家族の存在が本当に大きい。自分がどんな境遇にいても、いつだって想ってくれている。いつだってそうだ。

「誰かに思い出されている」ことで、今日を生きていける、ということがある。少なくとも、わたしには。

だから、日記を書くのを辞めて、その時間がなくなることが、なんと言うか不安なのだ。

私:「えー、日記、やめないでよー。日記って色々いいらしいよ。私も書いているし、〇〇さん(祖母の友達)も書いているって言ってたよ。」

祖母:「でも書くことねぇしよー。字もなんだか、ガタガタなってきたし。情けなくなるんだ。」

私:「いつも宅配便の宛名みてるけど、きれいだよばーちゃんの字。だからやめないでよ。」

祖母:「毎日書いてること、おんなじだべ。」

私:「とにかく、やめないでね。」

最終的に懇願←

昨日もきっと書いていると思う。そうわかるのは、なんとなく、祖母の存在をどこかで感じるからである。(スピとかではなくね)

そして、季節ごとに贈ってくれる果物の伝票の文字の力強さで、なんとなく「文字を書き続けてくれているかどうか」がわかる。

いつも、それを見て、密かにほっとしている自分がいる。

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長島佳歩|理学療法士 最後まで読んでくださりありがとうございます^^! チップはいりませんので、良いと思った記事は、ぜひシェアしていただけると大変喜びます笑 理学療法士として、体のこと、心のこと、高齢者介護のこと、はたまた趣味の海外のくらしのことなど、体験からの学びをシェアしていきますね^^

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