「傷を負った男性性」のロール・モデルとしてのブラック・ジャック。
あいかわらず藤田直哉「フェミニズムでは救われない男たちのための男性学」第11回「オタク文化の可能性――「男性性」を肯定し、誇るためのロールモデル」について考えている。
長い連載のこの回では、「日本の敗戦によって傷を負った敗者の文化」としてのオタク文化が取り上げられ、その「両性具有的」な性格が分析される。
この場合の「傷」とは、いわゆるトラウマ(精神的外傷)のことを指しているのでもあろうし、もっと直接的に肉体的、物理的な負傷のことを意味しているのでもあるだろう。
非常に示唆に富み、よく考え抜かれた論考であることはわかるのだが、どうもいまひとつ共感し切れないことは前回も記した。
理屈の方向性としては正しいほうを向いているとは思う。しかし、率直にいってしまえば、やはりいかにも「きれいごと」めいているのである。
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