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容器の素材を変えるだけで、リサイクル負担金がゼロになる仕組みがある。

前回の記事で、ホルムズ海峡の封鎖によって包装資材の原料であるナフサが逼迫し、プラスチック系の容器や包材のコストが急騰している現実を書いた。

今回はその続編として、包装のコスト構造に埋め込まれた「もう一つの負担」について書く。容器包装リサイクル法の再商品化委託料金の話だ。

この仕組みを知っているかどうかで、包装コストの考え方が根本から変わる。

食品メーカーが「黙って払っている」年間コスト

食品メーカーや飲料メーカーが商品を販売するとき、容器や包装にプラスチックを使っていれば、容器包装リサイクル法に基づいて「再商品化委託料金」を支払う義務がある。これはリサイクル費用として日本容器包装リサイクル協会に支払うもので、使ったプラスチックの量に応じて毎年発生する。

プラスチック製容器包装の場合、直近の委託単価は1kgあたり数円程度だ。「たった数円」と思うかもしれないが、年間数百トンの容器を使う食品メーカーにとっては、年間数百万円の固定コストになる。しかも、この委託料金は容器を使い続ける限り、毎年、確実に発生する。

問題は、多くの経営者がこのコストを「法律で決まっているから仕方ない」と思い、そのまま払い続けていることだ。実は、容器の素材を変えるだけで、この負担を大幅に減らす、あるいはゼロにできる道がある。

バイオマス比率51%超で「負担金が消える」仕組み

容器包装リサイクル法には、あまり知られていないルールがある。

容器に使われている素材のうち、バイオマス由来の原料が重量比でおおむね51%を超えている場合、その容器は「プラスチック製容器包装」ではなく「その他の容器包装」に分類される。そして、この分類変更によって、再商品化委託料金の対象から外れる可能性がある。

つまり、容器の半分以上をバイオマス素材にすれば、プラスチックとしてのリサイクル負担金を払わなくてよくなる、ということだ。

これは「環境に配慮しています」というPRの話ではない。容器の原料構成を変えることで、法制度上のコスト分類そのものが変わるという、経営に直結する話だ。

石油が高くなるほど「逆転」が起きる構造

ここに、今のホルムズ海峡問題が重なると何が起きるか。

石油系樹脂の場合、コスト構造はこうなっている。原料のナフサ価格が上がれば樹脂の仕入れ値が上がる。その上に、容器リサイクル法の委託料金が乗る。つまり、原料費と制度コストの両方が石油価格に連動して上がっていく。

一方、バイオマス素材の場合はどうか。原料が木粉や農業廃材であれば、石油価格に連動しない。さらにバイオマス比率51%超をクリアしていれば、委託料金の負担も軽くなる、あるいはなくなる。

結果として、石油価格が高騰すればするほど、石油系容器とバイオマス系容器のトータルコスト差が開いていく。通常時には「バイオマスの方がちょっと高い」と見えていたものが、有事には「バイオマスの方が安い」に逆転する。

今がまさに、その逆転が目に見える形で起きているタイミングだ。

「数円の節約」ではなく「構造の選び直し」

念のために言っておくと、委託料金が年間数百万円減ったところで、それだけで事業の勝ち負けが決まるわけではない。包装コスト全体の中では一部にすぎない。

だが、この話の本質はそこではない。

容器包装リサイクル法の負担金は、石油系プラスチックを使い続けることに対する「構造的なペナルティ」のようなものだ。石油価格が上がるたびに原料費が上がり、その上にリサイクル負担金まで乗る。この二重構造に、何年も何十年も縛られ続けるのか。それとも、素材を切り替えることで構造そのものを変えるのか。

前回の記事で書いた通り、ホルムズ海峡の問題は「いつか戻るから耐える」を繰り返してきた結果だ。容器のコスト構造も同じことが言える。「今の樹脂で回っているから変えない」は、次の危機で同じ損失を繰り返すことを意味する。

おわりに

容器包装リサイクル法は、2000年の全面施行から四半世紀が経つ。制度ができた当時、バイオマス素材がここまで実用化される未来は想定されていなかっただろう。だが今、この制度の中に「石油依存から降りるための仕組み」が既に組み込まれている。

それを使うか使わないかは、法律の問題ではなく、経営判断の問題だ。

次回は、「農産物の容器はなぜ空で運ばれているのか」という包装業界のもう一つの構造問題について書く。

鍛冶屋直虎 製造業経営者。廃材を素材に変えるところから成形まで、一気通貫で課題解決する事業を経営しています。

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