野川流“映画の行間”ーその9― ~愛したり愛されたりする事をやめ たら┅“夢も希望もないじゃない”~

「前に拾った娘はね、5ドルくれれば何でもするって言ったよ」
「どうして曲がるの┅私海に行きたいって言ったでしょ!」
「いいじゃないかそんなこと┅
私はヒッピーが好きでね┅」
「この前の娘は、乗せて2分で車から降りるって、おまけに20ド
ルくれないとレイプされたって警察に言うっていうから、望
み通りの事をしてやって車からほおり出してやったよ┅」
前の車で止まったこの車から飛び降りる、逃げる┅
「変態ジジイばかり┅
あんなのばかりで嫌になっちゃうわ┅」
ストーリー
裕福だが今は独り身で中年の日々を送る“フランク”はある日、ヒッピー同然の少女“ブリージー”を車に乗せることになる。仕方なく面倒をみるうちに自由で奔放なその魅力に引かれ始める。半同棲し楽しい時を過ごす二人だが、レストランで偶然出会った元妻にはなじられ、親友には羨ましがられた“フランク”は中年で独り身の自分としての分別を取り戻そうと┅。
レストランで偶然前妻に出会う。
「もう一杯頼んでくださらない┅」
フランクを見つけ近付く前妻
「しばらく、フランク┅」
「ポーラ┅」
「元気┅」
「ああ、君は┅」
「元気に気まってるじゃない┅」
「ほら、連れの人がしびれを切らしているよ┅」
「そう、ほっとけば良いの!
あのバカ私を愛してるんだって┅
フランク、私再婚しようと思っているの
でも決心がつかないの┅」
「そう、それはおめでとう」
「ふーんふふん、小切手受け取ったわ
貴方いつも約束の期日に遅れないのね┅
遅れてくれれば良いのに、
そしたら弁護士に言っていじめてやれるのに┅」
「どうぞ、ご勝手に┅」
「さぁ、もう行かなくっちゃ、
貴方になんかに会ってデートにけちがついたわ┅」
ブリージーを見る
「それから、貴女のお陰で吐きそうよ┅
ふーん、ずいぶん若いのね┅
はぁはははは、ごゆっくり┅」
友人とサウナの中で┅
「会った時から気付いていたけど、
ウキウキしてるな、気になってしょうがない
しゃべっちまいなよ!
「何が┅」
「お前の強さが羨ましいよ┅、何でも好きな事をやって
好きな人間と付き合って
他人の目は気にしない、それがお前だ
~まったく羨ましい~
今日も若い女の子を見たけどへそまで見えるスカート履いて
見ただけで若返るね┅
ところでー、あの娘とは長いのか?
「あの娘┅?」
「そう、夕べ連れて来たろ?
まったく┅俺もあんな娘と付き合いたいね
俺にはそんな勇気はないし┅な」
「勇気よりも重要なものが関係するんだ」
「ああ、セックスだろ!それとも愛か?
もう、俺みたいなじいさんを愛するもんか┅
せいぜいカモにされるのがオチだよ
それに一緒に出かけると言ったって
誘拐犯みたいになるだろう┅
俺は真剣なんだよ┅
今こそ最後の一花咲かせないと┅
一生後悔すると思って
その後なら、心臓発作でころっと逝くのも良いし、
おとなしく日向ぼっこしてても良い┅」
「ヒッチハイカーは拾わないことにしてるんだが┅」 から始まった半同棲生活も“ブリージー”を追い出してしまう┅
~ここからは映画のラストに触れています~
前にブリージーと歩いた海岸
今は犬を連れてフランク一人で散歩する。
自宅でいても一人。
突然夜中に病院からの電話がくる。
「腕の骨折、脳しんとう、切り傷が数ヶ所┅
ご主人は即死でした」
前6ヶ月間の交際相手が交通事故にあったと聞かされる。
ブリージーに別れを切り出して追い出したものの┅、
~フランクは迷っていた~
ブリージーを探し始める。
見つけたブリージーにフランクは┅
「さあ、帰ろうか」
「わ、た、し、さみしかったの┅」
「運が良ければ一年くらいは続くだろう┅」
「えっ!一年も┅」
ウィリアム・ホールデン
1918年4月17日~1981年11月12日 (享年63歳)
自宅で不慮の転倒事故によりこの世を去った。
ここで“フランク”を演じていた頃の年齢が54歳~55歳頃┅
今の私なんかよりも遥かに貫禄がある。カッコイイのだ。麗しのサブリナ、ピクニック、クリスマスツリー、最低の映画と絶賛された、世界崩壊の序曲でさえ彼はいつでも男前である。
こんな男前の人間になりたかったのに
なれた私はただのハゲジジイ。
私は最初の20年間をただ約3回半繰り返しただけの
何の経験も知識もない┅
チンチンに毛が生えただけの子供なのである。
平均寿命から見たら私は後3600日も費やせばおさらば出来る。
浮気だの┅、一花咲かせたいだの┅
そんなのは女房がいてくれるから存在するのだと思っている。
監督、クリント・イーストウッド
映画 愛のそよ風
1973、米公開、日本未公開
野川流“映画の行間”―第9話― 終わり。
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