【YouTube無料】「鞍馬天狗と勝海舟」 偉人(早川雪洲)が偉人(勝海舟)を演じている映画。偉人パワーがすごい
【概要】
鞍馬天狗と勝海舟
【配信期間】
2026/6/5(金)13:00~2026/6/19(金)12:59
【解説】
1886年6月10日生まれ、
1913年にハリウッドで映画デビューし、
アメリカと日本で活躍した
稀代のハリウッドスター・早川雪洲の
生誕140年を記念した特別配信。
新東宝ではこの作品と
1954年に公開した『日本敗れず』の2作品に出演。
【あらすじ】
内戦の拡大を防ぐために、
長州戦争で敗れた幕府の使者として、
勝海舟(早川雪洲)が長州へ出向く。
しかし、戦国時代の再来を望む不穏浪士や
長州と幕府の共倒れを図る薩摩の過激藩士、
和睦を是としない新撰組が行く手に待ち構えていた。
鞍馬天狗(嵐寛寿郎)は日本の平和のため、
勝海舟を守って戦うことに。
【スタッフ・キャスト】
原作/大佛次郎 脚本/高橋博 監督/池田冨保
主な出演/嵐寛寿郎、早川雪洲、岡譲二
三浦光子、丹下キヨ子、小笠原弘
1953年公開 73分 モノクロ・スタンダード
本編
【稀代のハリウッドスター・早川雪洲生誕140年・2週間限定無料配信】鞍馬天狗と勝海舟(新東宝【公式】チャンネル)
【評価】
(ネタバレなし)
6月10日が、早川雪洲生誕140年の日なんですね。
1886(明治19)年、千葉県生まれ。本名、早川金太郎。
それを記念した無料公開。(6月19日まで)
早川雪洲って、今考えれば、とんでもないスゲー人生を送った人ですね。
ハリウッド最初の日本人スターで。
ハリウッドで日本人で最初にスターになった人、という意味ではなく。
ハリウッドの最初のスターの一人が日本人、早川雪洲だった。
チャップリンと並び称された。喜劇のチャップリン、悲劇のセッシュー、と言われた。
白人女性たちのセックスシンボルになった。
ハリウッドに城のような豪邸を持ち、召使いを何人も抱え、何百人も入るようなボールルームでパーティーを開き、白人女優たちと浮き名を流し、ゴルフ三昧で・・。
もう今や誰も真似できない、白人スターでも黒人スターでも真似できないような、典型的ハリウッドスターの豪奢な生活を送った。まだアメリカで日本人に偏見があった戦前に。
しかも、ハリウッド映画だけでなく、ニューヨークのブロードウェーにも出たし、ヨーロッパでも映画や劇場で好評を博した。その間に俳優組合を立ち上げたり、自分の興行会社を作ったり・・。
日本人のイメージを改善する努力もしてます。
ほんと、信じられない人物だ。もうこんな日本人は出てこない。真田広之の10倍すごい。


でも、今や、ほとんど忘れられてしまった。アメリカでも、日本でも。
この映画では、勝海舟を演じているけど、勝海舟がなんぼ偉くても、早川雪洲のほうが偉いんじゃないか、と思わせる。
映画の中で、勝海舟が「お前らの了見は狭い。世界を知らない」みたいなことを言うと、それは勝海舟本人が言うより、早川雪洲の言葉として説得力があるもん。
勝海舟は、胆力がある人物だったんだろうが、早川雪洲ほど胆力があったかはわからない。
早川雪洲は、アメリカで、白人に対して、まったく物怖じしない男だった。だから成功した。
勝海舟も何度も暗殺されかけたかしらんが、雪洲も、日米両国で何度も殺されかけている。人種的偏見その他で。
その胆力はこの映画でも健在で、徳川慶喜が出てこようが、西郷隆盛が出てこようが、鞍馬天狗が出てこようが、勝海舟を演じる早川雪洲がいちばんどっしり落ち着いていて、この男には敵わない、と自然に思わせる。
鞍馬天狗を演じる嵐寛寿郎が、雪洲の前では小物に見える。申し訳ないけど、それは国内スターと国際スターの、格の違いというものだろう。
刺客が襲ってきても、眉ひとつ動かさない。
というか、ほとんど表情を出さない。派手な演技をしない。
日本語も、英語なまりだし。
バカなんじゃないか、と思えるかもしれないが、それが早川雪洲だ。
早川雪洲が忘れられたのは、彼が出た無数の映画(サイレント期からトーキー初期の映画)が、今では顧みられないからだろう。
唯一、この映画の数年後に公開された「戦場にかける橋」でアカデミー助演男優賞候補になり、それでかろうじて記憶されていると思う。
全盛期の雪洲を同時代に見たアメリカ人たちは、すでにこの世にいない。日本人は、全盛期を過ぎた雪洲しか知らず、それを同時代に見た人たちも、そろそろこの世にいなくなりつつある。
生きている人の、誰の人生にも影響を与えていなければ、忘れられていくしかない。雪洲の後、日本人初のアカデミー賞をとった梅木美代志(ナンシー梅木)と同様に。
日米の両方で活躍したが、その両国の歴史のはざまで、歴史書から抜け落ちていく。
でも、そういうのも、映画スターっぽくていいかもしれない。流れ星のような光芒だ。
この映画では、脇役として出てくる近衞十四郎も見ものだ。
戦前からのベテランでしたが、この時点で、まだ端役あつかいだったんですね。
でも、脇役ながら、口跡のあざやかさ、殺陣のうまさなど、この映画でも群を抜いていて、こいつ何者だと思わせる。
彼は、この映画から10年ほどたち、50歳近くなってから、テレビの「素浪人 月影兵庫」(1965〜)で大人気となる。
それを私は子供の頃見ていて、大好きだった。私にとって、時代劇といえば近衞十四郎だ。
でも、もう年だったから、テレビでの全盛期は短かった。松方弘樹、目黒祐樹のお父さんね。
近衞十四郎ですら、もう忘れられかけてるかもしれない。
時の流れというのを、2重にも3重にも感じる映画でした。
<参考>
