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【YouTube】「風の丘を越えて」が日本語字幕つきで公開中 名作中の名作!

ますます充実「韓国映像資料院」無料映画


韓国映像資料院(KOFA)のYoutube公式チャンネル(Korean Classic Film)は、200以上の韓国映画を無料公開しています。

むろんYouTubeには、無許可でアップされてる映画は多いですが、このチャンネルの映画は、ほとんどがリストアされた高画質、かつ英語と韓国語などの字幕がついている公式版です。

日本未公開の名作や、なかには日本統治期の珍品などもあるから、わたしもそのいくつかを紹介してきました。


欠点は、日本語字幕つきが、ごく少数ということですね。

チャンネルが公式サイトで紹介している「日本語字幕がある映画」という再生リストに入っているのは6本のみで、うち2本は「日本では見られません」と表示されてしまいます。

「日本語字幕がある映画」リストに入っている日本統治期の名作「授業料」


ところが、この再生リストに載っていない「日本語字幕つき」映画は、ほかにもけっこうあるんです。


いま、この記事を書いているのは、イム・グォンテク監督の「風の丘を越えて/西便制」が、日本語字幕つきで公開されているのを発見したからですね。

これはニュースだ、と。

わたしは以前、このチャンネルの「日本語字幕つき」をいろいろ探したけど、そのときは、「風の丘を越えて/西便制」に日本語字幕はなかったと思う。

わたしの勘違いかもしれないけれど、この映画に日本語字幕がついたのは、たぶん最近です。このチャンネルは、べつに「日本語字幕つけました」とアナウンスしないから、わからないんですね。


名作中の名作「風の丘を越えて」


「風の丘を越えて/西便制」は、有名な映画とはいえ、いまは少し忘れられているかもしれない。

1993年の映画ですから、いわゆる韓国映画ブーム以前の作品。というか、この映画で、日本人がはじめて「韓国映画はすごい」と気づいたような映画ですね。

たいへん詳しい韓国映画の情報サイト「輝国山人の韓国映画」では、この映画について、以下のように書いています。


韓国で空前の大ヒット、日本でも全国で上映され、観客動員が10万人を超えた初の韓国映画になった


Wikipedia「風の丘を越えて/西便制」には、以下のようにあります。


映画は当初、限られた人々の関心を引くだけだと思われていたが、結局は興行上の記録を破り、ソウルだけで100万人以上の動員を記録した最初の韓国映画になった。パンソリをはじめとする韓国の伝統芸能に対する関心が高まり、「西便制シンドローム」と呼ばれる社会現象を引き起こした。カンヌ国際映画祭でも上映され、大鐘賞6部門と韓国映評賞6部門を受賞するなど、高い評価を得た。


 

「風の丘を越えて」日本版DVD


貧しい旅芸人親子の放浪を描いたこの映画、韓国の「恨(ハン)」という思想に一般の日本人が衝撃を受けた、最初の映画ではないでしょうか。

韓国独特の文化・思想を強烈に印象づけた映画ですが、撮影・演出も優れ、だれが見ても心に残る名作となっています。


この映画は日本でもヒットしたので、日本版DVDも出ました。レンタルビデオ屋でも見られましたが、いま中古DVDは、けっこうな高額になっていると思います。

それを、タダで見られるのですから、おすすめする次第です。わたしも見ましたが、想像以上に美しいリストア版でした。

なお、イム・グォンテク監督の作品は、「年齢制限」がついているものが多いですが、若干の(芸術的な)性描写があるからで、鑑賞をためらわせるほどのものではありません(かつてはNHKでも放映されていました)。

また、日本語字幕を出すためには、YouTubeの「設定」で、日本語を選ぶ必要があります。


「風の丘を越えて/西便制 リストア版」(Korean Classic Film)



イム・グォンテク監督作品リスト


ついでに、この韓国映像資料院(KOFA)のチャンネルで、現在見られるイム・グォンテク作品を、リストにしました。(おもに自分のために)

イム・グォンテク(林權澤 1936- )は、「パラサイト」のポン・ジュノ監督以前の世代では、もっとも米アカデミー賞に近かった監督でしょう。「酔画仙」でカンヌ映画祭監督賞受賞。ポン・ジュノと同時に、米アカデミーの選考委員になっています。

1997年には福岡アジア文化賞を受賞しています。


イム・グォンテク(福岡アジア文化賞サイトより)


生涯100本以上を撮った多作の監督ですが(いまも健在)、このリストの作品は映画賞を獲得した名作ぞろいです。「風の丘を越えて/西便制」以外でも、「チャッコ」「春香伝」は日本語字幕つきです。

といっても、わたしも見ていない映画があるのですが、「曼荼羅」「族譜」「祝祭」「太白山脈」あたりは、文句なしの傑作。

これらの映画も、ソフトで見るためには高額な「イム・グォンテク作品集」などを買うしかなかったのですから、タダで見られるだけでありがたいです。すべての映画に日本語字幕がつけられることを期待しています。


イム・グォンテクについては、前述の「輝国山人の韓国映画」の情報が詳しいです。以下のリストでも、受賞歴や紹介文で、このサイトのデータを参照、引用させていただきました。より詳しい情報は当該サイトを参照ください。

輝国山人の韓国映画 イム・グォンテク


イム・グォンテク監督作品リスト


豆満江よさらば Farewell Duman River (1962)

*監督デビュー作。日帝強制占領期間を背景に、満州独立軍が日本軍と激しい追撃戦を広げる(輝国山人)
第4回 1962年度 映画世界 人気賞 新人監督賞 受賞


往十里(ワンシムニ) My Hometown (1976)

*身分差のある恋愛に苦しむ男女の物語
メロドラマとアクション映画という商業的なジャンルの枠組みに寄り添ったが、作家意識を反映して故郷について語った作品(輝国山人)
1976 第12回 百想芸術大賞/作品賞、監督賞


族譜 The Family Pedigree (1978)

*梶山季之の同名小説が原作。日本統治期、創氏改名を拒否した地方の有力者家族と、日本人公務員の葛藤を描く
1978 第17回 大鐘賞映画祭/優秀作品賞、監督賞、男優主演賞(ハ・ミョンジュン)
1978 映画記者賞/作品賞、監督賞、男優主演賞(ハ・ミョンジュン)


チャッコ Jagko (1980)*日本語字幕アリ

*「チャッコ」と呼ばれた左翼ゲリラを追う警察官の執念を描く
当時、<優秀映画>選定用反共映画として作られたが、監督の個人史を投影し、監督自らが再び制作したい映画と言うほど愛情を持った映画(輝国山人)
1980 第19回 大鐘賞映画祭/優秀作品賞(反共部門)


曼荼羅 Mandara (1981)

*仏教の真理を求めてさまよう人間臭い破戒僧。衝撃の結末まで息詰まるような文学性がある
(監督が)国際的関心を集めることになった初めての作品(輝国山人)
1981 第20回 大鐘賞/監督賞、優秀作品賞、男優助演賞(チョン・ムソン)、編集賞(イ・ドウォン)、照明賞(チャ・ジョンナム)、脚色賞(イ・サンヒョン、ソン・ギルハン)、新人賞(チョン・ムソン)
1981 第31回 ベルリン映画祭/本戦進出 審査員特別賞
1982 第18回 韓国演劇映画芸術賞/男性演技賞(アン・ソンギ)、シナリオ賞、撮影賞
1982 第2回 映画評論家協会賞/男性演技賞(チョン・ムソン)、撮影賞


         

霧の村 Village of Haze (1982)

*土俗的な性の世界を描いた野心作
1983 第22回 大鐘賞/男優主演賞(アン・ソンギ)、撮影賞
1983 第19回 百想芸術大賞/作品賞、監督賞、男優主演賞(アン・ソンギ)
1984 第4回 映画評論家協会賞/男優主演賞(アン・ソンギ)


キルソドム Gilsotteum (Kilsodeum)(1985)

*朝鮮戦争で離散した家族の再会の困難と後遺症を描いた作品
1985 第24回 大鐘賞映画祭/優秀作品賞(反共部門)、女優主演賞(キム・ジミ)、音楽賞、美術賞
1986 第6回 映画評論家協会賞/監督賞
1986 第22回 百想芸術大賞/作品賞
1986 第22回 シカゴ国際映画祭/人類平和賞
1985 第36回 ベルリン国際映画祭 本戦進出


チケット Ticket (1986)

*バーを舞台に、カネと仕事に苦しむ女たちの人間模様を描く
1986 第25回 大鐘賞映画祭/監督賞、脚本賞、企画賞、新人演技賞(チョン・セヨン)
1987 第7回 映画評論家協会賞/最優秀作品賞、監督賞、女優主演賞(キム・ジミ)
1987 第23回 百想芸術大賞/女優主演賞(キム・ジミ)


ハラギャティ(波羅羯諦)Aje Aje Bara Aje (1989)

*タイトルは「般若心経」の一節。仏門と世俗のはざまに生きる比丘尼を描く
1989 第27回 大鐘賞/最優秀作品賞、女優主演賞(カン・スヨン)、助演男優賞(ハン・ジイル)、特別賞(ユン・インジャ)
1989 第25回 百想芸術大賞/新人演技賞(チン・ヨンミ)
1989 第9回 映画評論家協会賞/女性演技賞、新人演技賞(チン・ヨンミ)、音楽賞/録音賞
1989 第13回 モスクワ映画祭/最優秀主演女優賞(カン・スヨン)


将軍の息子 The General's Son (1990)

*朝鮮独立運動の英雄キム・ジュァジン(金佐鎮)将軍の息子キム・ドゥハンの日本人やくざとの武闘を描く。3部作の第1作
1990 第29回 大鐘賞/新人男優賞(パク・サンミン)、新人演技賞(シン・ヒョンジュン)
1991 第11回 青龍賞/新人男優賞(パク・サンミン)


風の丘を越えて/西便制 Sopyonje (Seopyeonje) Restoration Ver (1993) *日本語字幕アリ

1993 第31回 大鐘賞映画祭/最優秀作品賞、監督賞、新人女優賞(オ・ジョンヘ)、新人男優賞(キム・ギュチョル)、撮影賞、録音賞
1993 第14回 青龍映画賞/大賞、最優秀作品賞、撮影賞、男優主演賞(キム・ミョンゴン)、男優助演賞(アン・ビョンギョン)、新人女優賞(オ・ジョンヘ))、最多観客賞
1993 第13回 韓国映画評論家協会賞/作品賞、監督賞、男優主演賞(キム・ミョンゴン)、撮影賞、音楽賞、新人賞(オ・ジョンヘ)
1993 第4回 利川春史大賞映画祭/作品賞、監督賞、主演女優賞(オ・ジョンヘ)、技術1賞(美術:キム・ユジュン)、男子新顔演技賞(キム・ギュチョル)
1993 第1回 上海国際映画祭/最優秀監督賞、最優秀主演女優賞(オ・ジョンヘ)


太白(テベク)山脈 The Tae Baek Mountains (1994)

*全羅南道の田舎街を舞台に、朝鮮戦争前夜の右翼と左翼の戦いを描く
1994 第15回 青龍映画賞/作品賞(泰興映画)、男優助演賞(キム・ガプス)、女優助演賞(チョン・ギョンスン)
1995 第33回 大鐘賞映画祭/審査委員特別賞(泰興映画)、男優主演賞(キム・ガプス)、音楽賞(キム・スチョル)、助演女優賞(チョン・ギョンスン)
1995 第31回 百想芸術大賞/男子演技賞(キム・ガプス)
1995 第6回 利川春史大賞映画祭/最優秀作品賞、撮影賞、照明賞
1995 ベルリン国際映画祭 本戦進出


祝祭 Festival (1996)

*老母の葬儀をとおして家族の葛藤を描く
1996 第16回 韓国映画評論家協会賞/最優秀作品賞、男優演技賞(アン・ソンギ)
1997 第33回 百想芸術大賞/監督賞
1997 第17回 青龍映画賞/最優秀作品賞、監督賞


春香伝 Chunhyang (2000) *日本語字幕あり

*妓生の美しい娘(香春)と両班の息子の身分を越えた恋を描く。有名な李氏朝鮮時代の説話の映画化
2000 第20回 ハワイ国際映画祭/映画部門 最優秀作品賞
2000 第20回 韓国映画評論家協会賞/撮影賞(チャ・スンウォン)
2000 第36回 百想芸術大賞/大賞、監督賞
2000 第8回 春史羅雲奎映画芸術祭/企画賞、女優助演賞
2000 第14回 アジア太平洋映画祭/審査委員特別賞



<参考>



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