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書店とパチンコ店 どっちの減り方が大きいか

書店とパチンコ店。最近、どちらも閉店の情報が多い。

ふと思い立って、どっちの閉店が多いか、比べてみた。

表1 書店数とパチンコ店数の推移(2007〜2020)

        書店    パチンコ店
2007年  17098  12594
2008年  16342  11964
2009年  15765  11672
2010年  15314  11522
2011年  15061  11314
2012年  14696  11177
2013年  14241  10953
2014年  13943  10661
2015年  13488  10325
2016年  13041  10011
2017年  12526   9681
2018年  12026   9237
2019年  11446   8302
2020年  11024   8302


ほぼ同じ「半減期」


パッと見て、同じくらいの減り方に思える。どっちの減り方が大きいか、すぐにはわからない。

書店数のピークが何年だったか、ネットで調べたが、出てこなかった。出版の売り上げのピークは1996年あたりだったので、1999年の「22296店」あたりがピークと見ていいだろう。

パチンコ店のピークは、戦後すぐで、60000店近い時もあったらしい。しかし、近年では、やはり1990年代後半、1995年の「17631店」あたりらしい。

面白いのは、

書店
1999年 22296店 →  2020年 11024店
パチンコ店
1998年 16764店 →  2020年  8302店

と、どちらも20年ちょっとで半分になっていることだ。「半減期」は約20年である。

だから、店数ベースで見る限り、減り方はほぼ同じ、と言える。


売上ベースで見ると


これから、何が言えるのか。

もちろん、本当は、店舗面積とか、パチンコ台数とかを加味して比べるべきだが、ここでは大雑把な比較である。

マスメディアの人間は、活字文化に執着が強く、書店の閉店をセンチメンタルに語る傾向がある。

今回の調査を思いついたのは、三省堂の(一時)閉店に関する、典型的にクサい朝日新聞の記事を見たからだ。

本屋の話題は美談になりやすい、ということは、前にブログで書いた。

不公平だと思うのだ。書店と同じくらい、パチンコ店は減っているのに、新聞記者はそれを嘆いていくれない。美談にもしてくれない。

書店は「文化」だが、パチンコ店は「遊戯」、という区別、というか差別があるように思う。

しかし、遊戯だって文化だ。活字文化の衰退を嘆くなら、遊戯文化のそれも嘆いてほしい。


そもそも、出版業界とパチンコ業界の市場規模の差をご存知だろうか。

出版業界の売り上げはだいたい1兆5000億円、パチンコ業界は15兆円。パチンコ業は、出版業の10倍の規模なのである。

パチンコを見慣れない人には実感が湧かないかもしれないが、パチンコ客が、玉替え機に1万円札を次々に飲み込ませている光景を目撃すれば、納得するだろう。

だから、駅前からパチンコ店が1店消えるのは、書店10店が消えるくらいのインパクトがある。

かつてはパチンコ業界の売り上げはもっと大きく、出版業との差も大きかった。

表2 出版とパチンコの市場規模推移(2014〜2020)

         出版業      パチンコ業
       
2014年  1兆7209億   24兆5040億 (円)

2015年  1兆6722億   23兆2290億

2016年  1兆6618億   22兆7000億

2017年  1兆5916億   21兆4000億

2018年  1兆5400億   20兆7000億

2019年  1兆5432億   20兆

2020年  1兆6168億   14兆6000億



デジタル化の違い


表2でわかる通り、店数ベースで見るより、パチンコの売り上げが激減している。

書店とパチンコ店、2つの数字の意味合いには、根本的な違いがある。

書店は、出版業界の一部に過ぎない。それは、紙の本のリアル販売所である。その減少のかなりの部分をネット書店が補完している可能性がある(アマゾンが売上を公表しないのでわからないが、最大手の書店チェーン以上はあるのではないか)。

また、紙の本の売り上げは1990年代後半以降、一貫して減少しているが、近年は、リアル書店に依存しない、デジタル出版物(典型的にはデジタルコミック)の売り上げが急上昇している。

その結果、コロナでの巣ごもり需要もあり、ここ数年、出版界全体の売り上げは、下げ止まるどころか、増えている。

その点でも、リアル書店の減少をマスコミが嘆くのは的外れに思える。リアル書店の出版業への貢献度は、顕著に減っているからである。(しかし、既存メディアは、そのことにあまり触れず、デジタル出版の話題には冷淡である)

一方、パチンコ店は、パチンコ業界のすべてと言ってよい。パチンコへの需要は、パチンコ店においてほぼすべて消費されるのである。それゆえ、コロナの影響もより直接的だった。

パチンコをインターネットで楽しめるようになれるか、と言えば、いまのところは無理だろう。

だから、パチンコ業界の衰退の方がより深刻だ。


(いずれにせよ、どっちも頑張ってください。)

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