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あなたのスタビライザーは何本?

「あなたのセンタースタビライザーは、何インチですか?」

実は1960年代までは、スタビライザーには「長さ制限」がありました。このルールは個人的には、今もあって欲しいと考えるルールのひとつです。
では、何インチまでの長さなら使えたのか。「自分の矢より長いスタビライザー」は使用できなかったのです。使っている矢を、弓の中心線に当てて、それより長いロッドは使えないというのです。当時そんな長いロッドを使うアーチャーはいなかったのですが、この方法だと、弓具検査でベアボウを輪に通すより簡単、正確に確認ができます。そしてそれ以上に、女子や子供、初心者が不必要に身の丈に合わない、長く重いロッドが使えなくなります。これは競技だけでなく、初心者指導やジュニア育成においても、成果を上げるはずです。
 
時を同じくして、もう一つスタビライザーには制約がありました。長さ制限と「本数制限」のルールです。スタビライザーは矢より短く、そして本数は、「4本以内」というのです。
「あなたが、今使っているスタビライザーの本数は何本ですか?」、答えられますか。ルールではロッドが付いていなくても、ウエイト1個でもスタビライザー1本と数えます。何本ですか?

1972 Munich Olympic Gold Medalist      1975 Interlaken World Champion
   John Williams              Darrell Pace

1972年のジョン・ウィリアムスのトリプルスタビライザーは「3本」。1975年のダレル・ペイスのVバーは「4本」です。

1977 Canberra World Champion
Rick Mckinney

では、この写真のスタビライザーは何本ありますか?「エクステンションバー」に水平なVバーを取り付けたセッティング、この枝分かれしたスタビライザーを何本と数えますか。3本?4本?1本??分かりますか?
ルール変更のきっかけとなったのが、1977年キャンベラ世界選手権でのリック・マッキニーの優勝でした。この枝分かれしたVバーのセッティングは「4本」と見なされ、その後「Mロッド」と呼ばれるのですが、この形状のお陰で本数制限が1980年に廃止されることになるのです。

1980 US National
Darrell Pace

本数制限が解除された1980年全米選手権、ダレル・ペイスは初めて「5本」スタビライザーのセッティングで挑みました。ところがそれは最初で最後でした。
 
このあと、選手が使うスタビライザーの本数が増えたかというと、増えていません。今のスタビライザーを見ても分かるとおり、理由はスタビライザーの役目が「固定」だけではなく、「コントロール性」にあるからです。10インチのロッドを誰もが使う状況において、アーチャーはみんな無意識に、不必要に負担が大きくなることを避けているのです。

2024 Paris Olympic Games
Brady Ellison

「固定」は、弓を動きにくくすることです。それは、重さ×長さで効いてきますが、同時に肩への負荷を表すものでもあります。単に重く、長いスタビライザーを使えば弓は動きませんが、それを支えるのは難しくなります。
「コントロール性」とは、逆に弓の動かしやすさです。瞬時にサイトピンをゴールドに運び、戻す能力であり、固定とコントロール性は反比例するものです。
スタビライザーの最良のセッティングとは、「重さ」と「コントロール性」のバランスなのです。アーチャーが支えコントロールできる負荷は決まっています。ロッドを長くして重りを軽くするか、重りを重くするなら、ロッドを短くする。スタビライザーを1本増やせば、全体の重さや長さは短くならなければ、弓は支えられないということです。

同じ効果なら軽い方が良い」と考えた時、アーチャーは最小限の負荷で、最も効率の良いスタビライザーのセッティングを探し当てるのです。
チャンピオンやトップアーチャーのマネをしても、同じようには当たりません。弓は自分が支え、自在にコントロールできる手の中の道具にならなければならないのです。


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亀井 孝のアーチェリーノート 貧しいアーチャーです。点数はお金で買えませんが、もしこの記事があなたのアーチェリーに幸運をもたらすと思われたら、チップをお送りください。 きっとあなたのアーチェリー人生は、素敵なものとなるでしょう。