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タブはグローブのような手に

こちらを先に↑、お読みください。

良い射ち方、悪い射ち方、美しい射ち方、当たる射ち方、当たらない射ち方と、世の中にはいろいろな射ち方があるのですが、どんな射ち方であっても、弓とアーチャーが直接「接する」のは2ケ所だけです。
グリップとタブです。押し手と引き手というわけですが、今回は、引き手に握られている「タブ」の話です。ほとんどのアーチャーは、トップアーチャーのリムやハンドルは気にするのに、手の中に隠れた道具について考えることはありません。

あなたはどんなタブを使っていますか? 市販のタブですか。それをどこか「加工」して使っていますか? それとも、買ってきたタブをそのまま使っているのですか?
もう一方の接点「グリップ」のところでは、グリップに手を合わせるという大原則を話しました。グリップと手のひらは直接接して、間には何もありません。ところが「タブ」は違います。タブはストリングと手の間に挟まった道具です。ということは、手をストリングに合わせるのではなく、タブを手に合わせる工夫が必要になってきます。タブはグローブのように、手の一部にするのです。

10人のアーチャーがいれば、10の手のカタチがあり、10の弓の引き方があります。市販のタブがそのままあなたの手になればいいのですが、そんな幸運は稀なことは分かるはずです。となれば、タブをあなたの手のカタチ、引き方に合ったものに加工しなければなりません。

個人的な話ですが、もの心ついて50年、使ったタブは「3個」だけです。1970年代後半から使っていた、最初の「自作」タブがこれです。

「初期のウィルソンタブ」を加工したものです。アンカーパットはまだ金属製で、そのまま使っています。合成皮革の表革とフェルト生地の裏革は取り外して、コードバンの表革を針と糸で縫い付け、指通しのループも自作していました。

そして1970年代の終わり頃、アメリカのチャンピオンたちが、アンカーパットを付けるためにタブを自作しだします。それを見て自作したのが、この2つのタブです。樹脂製プレートは2000年ごろまで、金属製のプレートはその後20数年、今も使っているタブです。

上のタブ2つをよく見てください。そこでここからが、あなたがあなたの手に合ったタブを作るためのヒントです。

 1)タブの厚さ
非常に大事です。いろいろ試して、自分の手になる厚さを探さなければなりません。薄いと指が痛く、厚いとストリングの位置を感じられません。これを表面のコードバンの厚さだけで変えることは難しいので、「裏革」で調整をします。裏革は昔から起毛させた革を使ったものが多いのですが、この種の革は薄いため、昔2枚使ったこともありますが、しわが寄りやすく、水も吸いやすく、うまくいきませんでした。
そこで個人的には、もう少し厚く、水を吸いにくく、しわが寄らず、表革になじみ、何より長持ちする表革と同じコードバンを裏革にも使っています。コードバン2枚のタブです。もちろん使っていて、引いた時に指先の革の長さが同じになるように、裏革を長く作ります。

 2)プレートのカタチ
プレートのカタチは、ウィルソンタブ以前は非常に短かったのですが、初期のウィルソンタブはストリングを握らないように、手のひらに掛かるまで長く大きくなりました。そこでプレートはタブを握りすぎないような、そして握ったことが分かるように、手のひらに合ったカタチにサンドペーパーで削ります。

一番初期のウィルソンタブとその当時のタブ

もうひとつ、市販のプレートではできないかもしれませんが、指に掛かる部分のプレートは、できることなら3本の指それぞれ、ストリングが掛かる位置からプレートまでの長さは、同じで、短くしたいものです。そうすればストリングを同じ位置に掛けやすく、不要な部分の革が寄れたりすることがありません。

 3)革のカタチ
何より大事なのが、表革のカタチです。多くのアーチャーはタブを切るという考えがないようですが、市販のタブならなおさら切らなければなりません。新品のコードバンで良い革なら数本、良くない革でも数10本射って、表面を光に照らしてよく見てください。ストリングが擦った跡が見えるはずです。この擦っていない部分は切り落とします。ストリングが触っていないのですから、なくても平気です。最初の見分けが難しければ、毎日徐々にでいいので、少しずつ切って自分の手に合ったタブを作ります。ただしこの時も、裏革は長くし、フルドロー時に同じ長さになるように整えます。

新しい表革の表面には
ストリングが擦った跡が見えます。

 4)表革のスリット
これをするアーチャーも皆無ですが、騙されたと思って試してみてください。5本指の靴下です。
タブに手を添えて、中指と薬指の間に印を付けて線を引き、カッターで真っ直ぐ表革だけを切ります。裏革は切りません。新品でも使い古したタブでも問題はありません。特に新品の時にスリットを入れると、コードバンがよじれたり伸びるのを待つことなく、最初から3本の指がそれぞれしっかりとストリングをつかんでくれるので、すぐにでも試合で使えます。そしてスリットに合わせて、もう一度不要な部分は切り落とします。

新品の時に表革だけにスリットを入れます。

 5)トロのコードバン
最後にコードバンにもマグロと同じように「トロの部分」があるのを知っていますか。コードバンは馬の尻の革ですが、1頭から30センチ角くらいしか取れない部分で、最上級のコードバンです。
トロを市販のタブに使っていることは、まずありませんが、例えばこの写真のタブは5シーズン以上で10万射は射ったタブです。手入れは、濡れれば「ベビーパウダー」を振りかけるだけです。
50年で3個のタブと言っても、表革だけは数年に一度、傷んだ時に交換します。

そんなトロ革を入手できるかは別にして、革には使う「向き」があります。ハラ子のタブを逆向きで使えば、すぐに傷むことで想像できるはずです。向きも市販のタブではいい加減なものがありますが、革の表裏を光に当てて細かい線を見極め、毛の生えていた向きで使うことも大切です。

 6)オマケ
指を通すループですが、最近は布製が多いようですが、金属製の鎖(ボールチェーン)を使ってみるのはどうでしょう。キャバリアタブ以前は、チャンピオンはみんなこれでした。メリットは汗や特に雨天の試合でもループが伸びてきたりすることなく、いつも全く同じ位置にタブを保持できます。
1本でも切れることはありませんが、2本で使えば、指もあまり痛くなく、安心です。

そして、タブには必ず「名前」を書いておきましょう。50年で一度だけ、試合場でタブをなくしたことがあります。その時は名前のお陰で助かりました。

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亀井 孝のアーチェリーノート 貧しいアーチャーです。点数はお金で買えませんが、もしこの記事があなたのアーチェリーに幸運をもたらすと思われたら、チップをお送りください。 きっとあなたのアーチェリー人生は、素敵なものとなるでしょう。