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3社の出版社から「うちでは出せない」と断られた問題作・政治×家族エンタメ小説『ほくほくおいも党』がついに刊行されたので著者と編集者が語ります

こんにちは。デビュー2作目となる政治×家族エンタメ小説を3社の出版社から「うちでは出せない」と断られ、やっとこさ2年かけて刊行に至った新人作家です。
上村裕香(かみむら・ゆたか)といいます。24歳学生です。大学3年生の春に新潮社の「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞し、今年の4月に『救われてんじゃねえよ』(新潮社/1,540円税込)を出版しました!
『救われてんじゃねえよ』については東京文フリ前に大焦りで書いたこちらの記事でご紹介しています🤲

あと、最近デビュー作に寄せられた感想200件に全レスするnoteを書きました〜。よければチェックしてみてください!

4月にデビュー作が出たばかりですが、なんと3か月後に2冊目を刊行するという「どれだけ生き急いでるんですか!?」なペースで小説を書いています!(ちなみに年内にもう1冊出るよ!🏃‍♂️‍➡️🏃‍♂️‍➡️)

2冊目のタイトルはこちら!

ほくほくおいも党特設サイト

よく装丁・タイトルのほんわかした雰囲気と、ガッツリ政治エンタメな中身のギャップに驚かれる本作。まずタイトルについてご紹介しましょう。
「ほくほくおいも党」は主人公・千秋が出会うオンライン上の交流グループの名前です。そこに集まる人々はみんな左翼政党員や活動家の親を持つ『活動家二世』。「ほくほくしたおいものにおいが好きな人ならだれでも歓迎する(おいも、に限定するとおいもアレルギーの人は入れなくなっちゃいますからね)」というそのグループに参加する中で、千秋は自分と父との関係を見つめ直し、「自分の感情を表現できる、奪われない言葉を持つこと」について考えていきます。
この小説は政治・選挙小説であり、家族小説であり、対話についての小説なんです。
『ほくほくおいも党』特設サイトはこちら🍠

小学館さんのPodcast「本の窓」で担当編集の加古さんと出版の経緯や内容についてお話ししまして、今回はその内容をもとに『ほくほくおいも党』をご紹介していこうと思います!
音声でラジオ感覚で聞きたい!という方はこちらのリンクから🍠

担当編集者(以下、編集):ではまず、わたしのほうから小説の内容をご紹介しますね。
著者の上村(以下、上村):よろしくお願いします〜。
編集:本作は6話からなる連作短編集です。1話の『千秋と選挙』は高校3年生の千秋の視点から描かれる、左翼政党員のお父さんとその娘・千秋の物語。左翼政党員の父は、勝てない選挙に出続けて6年。兄の健二は父の出馬をきっかけにいじめられ引きこもりになり、千秋は政治と政党に没頭する父と話が噛み合わないことに悩んでいます。このすれ違う三人の家族を中心に、左翼政党員を親にもち風変わりな名前の自助サークル「ほくほくおいも党」に集う「活動家二世」たちを描く一冊です。
上村:です!
編集:2話『佐和子とうそつき』は、左翼政党に所属していた40代後半の女性・佐和子と元市議の母親の確執のお話。3話『和樹とファインダー』は、千秋の同級生である和樹が、高校の生徒会長選挙をドキュメンタリーとして撮影する中で「家族のありよう」を見つめる物語です。4話の『康太郎と雨』は震災のボランティアをきっかけに政治活動に出合う青年・康太郎(千秋の章で千秋を党に勧誘する岩崎さんの大学時代)のお話、5話の『健二とインターネット』は千秋の兄・健二が引きこもりになってから6年、SNSで左翼の人々を攻撃するような投稿をはじめて「ほくほくおいも党」に出合い……という話ですね。で、6話『千秋と投票日』が千秋の視点に戻って、父の選挙のいよいよ投票日、という物語になっています。
上村:います!

ここで、Podcastでは伝えきれなかった各話の内容を深掘り! それぞれ130字でまとめました🍠

〖 1話・千秋と選挙〗
主人公・千秋の父は左翼政党員で、選挙に出ては負け続け6敗目。兄は父の選挙が原因でいじめられ引きこもりに。18歳の誕生日に半強制的に入党届を書かせたり、三者面談で先生相手に論戦を仕掛けたりする父にはもうこりごり……。ある日、父のブログを荒らすアンチが登場し……?
1話は全文無料公開中🍠

〖 2話・佐和子とうそつき〗
佐和子は長年左翼政党の専従として働いてきた、熱心な党員。党のことは好き、でも同じく政党員だった母に対しての蟠りを拭えない佐和子は、先輩の誘いで「ほくほくおいも党」という党員や活動家の息子・娘が集まる互助コミュニティに参加するようになる。そこで千秋に出会い——。

〖 3話・和樹とファインダー〗
高校の生徒会長選挙の候補者のドキュメンタリー映像を撮ることになった高校生・和樹の物語。映画好きの彼は、これまで政治に深い関心はなかったものの、映像を撮る中で「それぞれの家族の多面性」や「政治ドキュメンタリー」に関心を持つようになる。

〖 4話・康太郎と雨〗
左翼政党の党員・岩崎さん(千秋を党に勧誘するひと!)の学生時代の物語。まだ党員になる前の岩崎さんは、震災の復興支援ボランティアに参加し、そこでの千秋の父親(豊田正)との出会いを通して、党に対して純粋な憧れを抱きはじめる——。

〖 5話・健二とインターネット〗
父の選挙が原因でいじめられ引きこもりになった千秋の兄・健二は、SNSで左翼政党を攻撃するような書き込みを続ける。アンチコメントがバズったとき、障がい者支援団体の不祥事を暴きSNSでネトウヨの神として崇められている白宮渡からDMが届いて……!?

〖 6話・千秋と投票日〗
いよいよ、父が出馬した知事選の投票日が近づき、千秋は兄・健二の不審な行動に気づいてしまう。もしかして、兄は父の最終演説でテロを起こすんじゃないか……。選挙戦最終日、駅前広場で演説する父を取り囲む人だかりの中には深くフードを被った健二の姿があった。

さて、Podcastに戻って。

Podcastの収録風景はこんな感じです。奥に写っているのは北海道チーズ蒸しパンのポシェット

編集:この小説を書こうと思ったきっかけはなんだったんですか?
上村:主人公の千秋は左翼政党員を父に持つ『活動家二世』の女の子ですよね。わたしが『活動家二世』という言葉を知ったのが大学三年生のときでした。ある編集者さんが、わたしが以前書いた左翼政党のお父さんと娘の小説を読んで会いにきてくださって、そのとき『実は私も活動家二世なんです』と言われて。『活動家二世ってなんですか。属性に名前がつくんですか』と驚いたのがはじまりでした。そして、ほかの活動家二世の方にお話をうかがうなかで「これは小説になるでえ!」と思って、書きはじめました。
編集:その編集者さんに会う以前から「左翼政党員の子ども」というテーマが上村さんの中にあって、「活動家二世」という言葉を得て、小説にしたということですよね。『ほくほくおいも党』は大学の卒業制作として書いた小説をもとに再構成した本ですが、3年生の冬に言葉に出会うまでは卒業制作の小説は別の題材で書こうと思っていたんですか?
上村:「左翼政党員の子ども」というのはずっと書きたかったテーマで、卒業制作でも書きたいと思っていて、でも書けずにいました。
編集:そもそも、そのテーマを書きたかったのはなぜですか?
上村わたしの父が左翼政党の専従者で、3年に1回ぐらい選挙に出てめちゃくちゃ日焼けしてるお父さんだったから、というのは強くあります。もちろん、小説はフィクションなので、父と小説の豊田父は全然ちがう人なんですが、『左翼政党員の父と娘』っていう関係性の面白さを小説で表現したいなというのはずっと思ってました。

卒業制作で作った文庫本と、学長賞の盾の前で✌️する上村

編集:この作品は、最初の段階から「一般書籍の形で商業出版したい」とおっしゃっていたと思うんですが、そこにはどんな思いが?
上村:え! え〜、小説出したい! 本出したい!
編集:本を出すなら、ちがう作品でもいいですよね。でも「この作品を」というのが強かったじゃないですか。ほかの出版社さんでは刊行が難しそう、みたいな話もあったと思うんですけど、それでも!というのは。
上村:そうですね。『活動家二世』って全然描かれてこなかった人の話だなと思っていて。一般に流通している大衆小説で『左翼政党員の娘・息子の話』って、たぶんないと思うんです。それってすごい、自分の中では価値のあるテーマだと思っていたので。あと、商業出版で『ほくほくおいも党』が書店に並んだときに、読者さんの反応を見てみたい!は、あったかもしれないです。いままでだれにも見つかってこなかったな、という感覚があるので。はやく見つけろや!と思ってます。
編集:そうね〜。これが公開されるころには刊行から1か月ぐらい経つ時期なので。
上村見つけてください!
編集:見つけてください! ここにあります!
上村:あります!

聞き返しながら、窪美澄さんに書いていただいた書評の締めの文も「ここに、あります」だったのを思い出しました。

物語の上っ面だけを撫でて、悲しい物語かと思われてしまうのはあまりに惜しい。悲劇のなかにくすっと笑える要素を入れ込んでいく様はこの小説でも健在だ。だって、『ほくほくおいも党』だもの。活きのいい、次世代を担う小説はどこにあるのか、という方におすすめします。ここに、あります。

「推してけ! 推してけ!」第56回 ◆『ほくほくおいも党』(上村裕香・著)

窪さんの書評、本当に素晴らしくて、本作を読んでいなくても刺さる、生きる上でお守りになる言葉ばかりなのでぜひ……🙏

最後に、ほかの出版社では断られたこの小説に、担当さんはなぜGOを出してくれたのか

編集:いま、政治をエンタメ小説として書くことがすごく難しい時代だと思っています。その中で、すごく挑戦的なことをしていますよね。でも、左翼政党員の父と娘の話、って「ひとつ屋根の下に暮らしている家族の話」でもある。そういう視点で物語を書いていけば、商業出版できる道もあるんじゃないかなと思って、小学館で本にしましょうとご提案しました。
上村:うんうん。
編集:ただ、それには家族小説としての広がりが必要だと思って、構成のご相談をしました。
上村:されました!
編集:そして、小学館のSTORY BOXというウェブ文芸誌で連載をしていただきました。その連載がSNSですごく話題になり、毎号圧倒的なアクセス数で。関心のある方にとってはとても熱量の高いテーマなんだなというのを感じました。

そう、実は卒業制作をもとに〜と言いつつ、視点人物は5倍、ページ数は2倍になっているのです。政治・選挙に興味がない若い世代にも興味を持ってもらえるように、と生徒会長選挙のドキュメンタリーを撮る高校生の章(和樹とファインダー)を入れたり、豊田父や豊田父の所属する政党にモヤッとしている人だけじゃなく純粋に豊田父の「正しさ」に憧れる大学生の章(康太郎と雨)を加筆したり。いっぱい工夫しました。
連載1話・2話がいっぱい読まれて、だんだん読者さん減っちゃう……というのは連載の宿命なんですが、ウェブ連載で1話だけ読んだよ〜という方、追ってたよ〜って方も(ゴロッとエピソードが変わってたりするので)単行本でも読んでいただけるとうれしいです!

また、Podcastでは連載中に考えていたことや、どんな人に本が届いてほしいかなどについて、より深くお話ししています。ぜひお聞きください!
あ、ちなみに『ほくいも』ではご縁がなかった出版社さんとも関係は良好で、ちがう作品の打ち合わせをバリバリしています💪 そちらのお知らせもいずれできれば💪

『ほくほくおいも党』は全国の書店でお求めいただけます。各ネット書店、オンラインストアでも販売中です。ほくほくおいも党、ほくほくおいも党をよろしくお願いします📢

書名  :ほくほくおいも党
著者  :上村裕香
出版社 :小学館
発売日 :2025年7月16日
定価  :1,870円(税込)
SBN-10   : ‎ 4093867607
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4093867603

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