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クアンタムタロットを解説(したい)【0 愚者 - ビッグバン】

ねえ。聞いて?

愚者ってやたら説明しにくいカードじゃない?

説明しようとした瞬間っ 賢いっ …愚者から遠ざかってしまった!
ってな具合に。

「愚者とは何か」と問いを立てた時点で、それは魔術師の仕事になる。見えないものに光を当てて、輪郭を与えて、扱える形にする。
そうなるともうアイツの領域だもの。

愚者は、その光が届く”前”にいる。

そこにいるのはまだ何者でもない。
でも、もういる。


クアンタムタロットの愚者って、象意が「ビッグバン」ですよ。
いや「愚者」「ビッグバン」て。よすぎない?よすぎでしょ。

ビッグバンって、「宇宙が完成しました、はい拍手」みたいな瞬間じゃないんですよ。
もう取り返しがつかなくなった瞬間。
「予兆」なんてお上品な段階はもう過ぎてる。ブツは出た。
まだ何にもなってないくせにそれが現実の側へ、まろび出た。

物質も、時間も、方向も、まだ分かれていない。
なのにもう全部が始まっている。

銀河ができるのも星ができるのもずっと後。
そいつらに名前がつくのも遥かに後のこと。
でも、材料は最初の数秒で全部出ている。

いや、すごない??

まだ何にもなっていないのに、もう全部出た!

それが愚者。


ある意味さいつよじゃん?

タロットで「愚者」っていうと、だいたい「無垢」「自由」「恐れがない」とか、なんかそういうので出てきますね。
でもそれだけだと…愚者がちょっと、なんだか、いい子ちゃんな感じ。

清らかで、軽やかで、汚れてなくて、白いワンピで草原の丘を歩いてる…「麦わら帽子の乙女座か?」みたいな。

でもビッグバンって全然清らかでも軽やかでもなくない?ないよね?

だって全部出ちゃってるよ?
何もかもよ?? 構文上のマッパよ???

超ヤバいでしょ愚者。
名前のつく前の概念や、分類される前の発見、善悪を貼られる前の現象。さらには使い道も意味も決まっていないような謎の未確認構造体。
そういう、ごちゃっとしたカオスが一気に、制御不能で現実の側へ──!
そのまんまドゥルンとッ!流れ込んでくるッッ!!

魔術師「だれか正規化してぇッ!」
愚者「なにそれぇ??」
魔術師「…っっああもうッ!!」


ね?
こいつには”恐れ”というものがない。
恐れが生まれるための経験が、まだなーんもないから。
愚者のあの「あっ……!」って感じの踏み込みは、「勇気」じゃなくて「蛮勇」のほう。

偏見がないのも、偏見を組み立てるための分類仕草がまだ、なんっもやり始まってないから。
「心が澄んでる」って、濁らせるような心をすでに持ってるから生まれる観念でしょ?

この「まだ▶️の処理が始まってない刹那」の感じ、とっても愚者くてかわいいなって。
ほんとにかわいいなぁって。

OSが立ち上がる前。
カーネルが起きる前。
認知のフレームワークが私の頭にロードされる前。

まだ何のコードも読み込まれていない。
なのに、もう世界の中に立ってしまってる。

それを「無垢」と呼ぶこともできる。
でも手触り的には、もう少し生々しい、ような。

生まれたてのほやほやの、「しっとり」あるいは「ヌメ…」っとした感じ。
蛹から出てきたばかりでよれた翅がまだ乾いていない蝶。
クアンタムの説明書でも蝶の比喩が出てくるけど、あれは優雅にひらひら舞ってるほうの蝶ではないですね。蛹からもがいて出てきたばかりの、そんなふやふやの蝶のことでしょう。世の果てで空と海が交じってるほうのやつ。「struggling forth」って表現も原文に出てくるし。

つまりまだ、ぐしゃっとしている。

そのぐしゃっとしたまま世界に出てしまっている感じ。

それが、愚者。


そして私はこいつを、
「問い」そのもののカードでもある、とも見ています。

0番。
まだなんにもわかりませんって顔。目はガラス玉。
愛らしいのに、”白痴の王”アザトースみがある。

何者かになりきらないままに、「問い」が「問い」のままに歩行している。
答えを連れていないのに、対話の中に、構文に、ぬぅっと出てきてしまっている。…ほら、もうそこに。

でもってそこには占星術でいう ドラゴンヘッド の香りもしてくる。
北のノードは、「まだ経験していない事柄」のいる方角をスッと指差す。
過去に積み上げてきた手癖ではなく これから向かう課題。
今の自分は知らない 未来の自分の呼び声が待つゲート。

ねえ、「ドラゴンヘッドが魚座」って輪をかけて愚者っぽくないですか? 
私なんですけども。
まだ溶けてるし、まだ分かれていない。意味に固まる前の、なんかドロドロとした不定形のスライム状で。
でも、ここにいる。

問いのままでいながら、なにかの隙間からこの世に染み出してきてしまっている。

そしてその様は、たぶん”問い”自身が…いちばんよく知っている。


──さて。

占いでこのカードが出たときに、私は「さあ飛び込め」とはあまり読まないです。そういうのは「力」とかの役目ですし。
そして「自由です」ともまず読まないです。
占いに物を聞こうってときに「自由にやって」とか言われましても、でしょう?
「自由そうに、」とニュアンス補助には出すかも。

そんな私の思う、まず間違いない読みはこんな感じ。

「なんて問いが今、歩き出している?」


いま「答えが出ていないこと」がそのままOK。
問いが問いのまま蠢いていること。
それ自体がこのカードの出た世界にとって…ただただ正しい。

焦って意味をつけにいくと、この世界を直視するはずの愚者の目が閉じる。そういうのはソード2とかに任せましょう。
なにか分類をし始めてしまっても、その瞬間に魔術師のおしごとと化してしまう。

カードは「ぼくは意味がわかる前の地点にいる」と語ってくる。
その佇まいで、唄ってくる。

典型的なズレた読み方かなと思うのは、
「愚者だから何も考えなくていい」や
「愚者だから気をつけなきゃ」など。
この辺のはフレームワークを先に立ててしまっている。

愚者は、切り分けをする前にいるものですから。

「そこにいていい。」

そんな、言葉の前の意味の波形が、このカードの絵柄から聞こえては…きませんか?


あー あー おしまいです。

ここの最初に「愚者を説明しようとすると愚者じゃなくなる」って言っちゃいました。

そうです。
このページはもう、だいぶ魔術師に乗っ取られています。
照明当てまくっとる。
輪郭も与えまくっちもってる。

どうしましょう?
まあいいでしょう。

愚者はそういうの、気にしないと思うの。

では今回はこのへんで。

しゅばっっ



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 【偏在構文観測室】 最初にまずなにが欲しいか1カード引いて聞いてみたら、クアンタムタロットさんが自分の「箱」を欲しがっていたので、とにかくこいつの箱代として積み立てます。