Having someone to love – is a family.【1】
Having a place to go – is a home. Having someone to love – is a family. Having both – is a blessing. [Donna Hedges]
行く場所がある–それが家です。 愛する人を持つことーそれが家族です。 両方を持つことーそれが祝福です。
夫アルゴの誕生日。19歳になる直前、18歳で出会った彼も今年で40歳。驚。我々の過ごした日々というのはまさに疾風怒濤の日々。そんな彼のBig Dayをお祝いするために、1か月前から親族大集合のサプライズパーティが計画されていて、今回はそんなお話。
女の子の16歳、21歳(成人)を除いて、ゼロのつく年になる誕生日を盛大に祝う。これはアルゴ家族の伝統行事であり、おそらく多くのアメリカ家庭における祝い事なのだと思う。特にアルゴ家は、短命の人が多いため、40からのゼロのつく年は親族一同、大層な力の入れっぷりである。
そもそもアルゴは10人いるママのきょうだい(おじ、おば)の中で特別な存在である。詳細はコチラにあるが、アルゴが生まれる1年前にママのママが亡くなり、上は20代から下は7歳まで、子供たちだけの生活が始まった。翌年のクリスマス、アルゴの生まれる半年前に家が全焼。まだうんと若かったママ、おじ、おば達が絶望の中に生きていた時にこの世に生を受けたのが夫アルゴであり、生きていく希望の光的なそんな存在だったとおじが語っていた。
🎂🎂🎂🎂🎂🎂
夫アルゴと私は「今年は40の誕生日だけど、5月に院の卒業もあるし、卒業式が終わってからなんかパーティすればよくね?大都会の親族たち、色んなとこにいる友達とか呼んでさ」と話していた。そして、夫アルゴはすでにおばたちに「誕生日と卒業祝いまとめてで良いから」などと言いすでに高価なGraduation Ringをねだっているのだ。40になるくせに図々しい。
Graduation Ringとは、大学・院を卒業する際に、卒業した年度が刻まれている学校のシンボルマークの指輪で、学校によってはスクールカラーの石がはめ込まれている。誕生石を入れる人もいる。自分の名前だとか専攻だとか諸々の刻印オプションもある。スクールカラーとは、学校の色。スポーツのユニフォームや学校のサイトなんかでメインで使われる色。因みに私の働く大学のカラーは黄色と紫である。
少し話がそれるが、アメリカは先進国だというのにびっくりするくらい高校の卒業率が低く、大学進学率が低い。多くの人にとって「高校の卒業式」「大学の卒業式」というのは家族ぐるみの大イベントなのである。なのでこのGraduation Ringも学校卒業したぜ!的なステータスを示す意味合いもある。Accomplishment(成果)ってやつである。
🎂🎂🎂🎂🎂🎂
話をサプライズパーティに戻そう。近所に住むおばは、一ヵ月前から大層な張り切りようだった。最初に「叔母の家を会場にサプライズパーティをする」と別のおばと電話で話したその日から毎日、その件で電話があった。私は「まぁまだ1か月あるんだし、親族集合といっても大都会在住のおばたち4人がこちらに来てレストランにでも行くんだろうな」とのんびり構えていた。ゆーて、今回は私が計画人というわけでも、人を招くわけでもないのだ。あくまで、サポートである。あっという間に1週間前になってしまった。パーティは金曜日の夜だと聞かされていた。
月曜日。
こちらはイースターで、夫アルゴと近所のおばが働く学校は1週間の休暇中である。つまり夫アルゴがずっと家にいる。その上、現在、私は隔週で在宅⇔オフィス勤務なのだが、この週は在宅ワーク週間である。夫アルゴは「んふふ、ずっと一緒だねぇ」と喜んでいたが、私は身動きがとりづらいことこの上ない。
そんな中、近所に住むおばは、まずここから車で2時間ほどのところに住むおじ(兄)を迎えにいった。おじは、今年2月に、心臓発作を起こしており、元気なのだが車の運転は禁止されている。いわく「アルゴには、休暇の間、一緒に過ごしたいからって言うし!サプライズパーティだもの。うふうふ」などと浮かれていたが、ちょ…元気ゆーても心臓発作起こして2か月しか経ってないのに?!いや、今回は欠席がよろしいのでは?と言ってみたが、聞くはずもなかった。そもそも、このおばには90歳近い夫(痴呆もち)がおり、それだけでも面倒をみるのが大変だと日々、言っているのに……まぁいい、私の今回のミッションは「夫アルゴがサプライズに気づかないこと、そんな彼をパーティの日におばの家に連れていくこと」だけがミッションだと言われていたのだ。
火曜日。
で、おばさんたちは金曜日の何時頃にくるの?仕事が終わったら家に行くね、と近所のおばに電話をしたら「え、おばたちだけじゃなく、おじ家族、イトコ家族たち(3組)あと知ってる人とか友達もくるのよ!」と告知される。しかも「いとこ家族の一組はりんごちゃんちに泊めてね」ええええええええ。でたよ!でたよ!近所おばの計画性の無さと唐突さ。過去にもさんざんやられているのだから、私ももっと警戒すべきだったのだ。
とはいえ、お祝い事だし、お客をお迎えねばならない。私は家の掃除に取り掛かった。それなりに片付けてはいるが、4人のいとこ家族を迎えるための準備がいる。同時に、いとこ家族というのは我が家で生まれた子犬を引き取った家族でもあるので、その子に会えるというウキウキもあった。なんせ、3匹の中で一番最後に生まれたその子は、一番、小さくて、ふわふわで、いつも私たちにべったりの子だったのだ。うれしすぎて、思わず夫アルゴにミラ(子犬)に会えるよ!と言いそうになるが、ぐっと、がまん。そして、唐突に掃除だの始める私に疑いの目を向ける夫アルゴ。Spring Cleaningよ!とだけ言っておいた。ちなみにアメリカ人は年末ではなく、春先に大掃除をするので、Spring Cleaning.
水曜日。
おばからの電話で「家の片づけを手伝って」と言われる。彼女は片付けのできない、買い物中毒の人なので家はもので溢れかえっている。だがしかし、あなたは休暇中であろう。私は普通に毎日仕事をしている上に、家にはアルゴと犬たちがいるのである。しかもそんな時に限ってなぜが仕事がクソ忙しい。いけたら行くけど、今日はちょっと無理よ、と言えば叔母は拗ねる。そう、この人は54歳だが拗ねるのだ。
「で、最終的に何人くらいになりそうなの?」という私の言葉に「30人くらい?」
……ちょ、え?30人だ……と……
私の背景にはジョジョの「ドドドドドド」という太字が浮かんだ。「え、金曜の夜よね?今日さ、水曜日だけど。食事とか。この人数だとケータリングとか頼むのよね?」と聞く私に、おばは「姉(おば)たちが来たら考えるから、とにかく、今は掃除に来てくれ」
ちょ!何言ってんの!この人!正直なとこ、私は「とにかく当日に夫アルゴを会場に連れていくことだけがミッション」と言われていたので、他の手配は近所のおばと他のおばたちがやっているのだろうと思っていた。30人て結構な人数である。
そこで私は慌てて叔母の家に行くことにした。夫アルゴには「掃除を手伝えといわれたから行ってくる」といったものの「お前がそうやってなんでも彼女のために片付けるから、おばは全然、自分から片づけをしないんだよ。行くことねぇよ。今から犬たちの散歩いくぞ!」とイラついていた。ごもっとも。だが行くしかない。夫アルゴと犬たち(主に絶望のリンゴ🐶)を振り切っておば宅にいって、私は茫然とした。足の!踏み場も!ない!1階も2階も!
おばの家には、もので溢れていた。
1か月やぞ!1か月前から、しかも、自らこのサプライズパーティを計画し、会場を自分の家とし、30人もの人を呼び、さらに、この1週間は休暇だというのに。何なん、これ?!しかもパーティ用のなんの手配もやってねぇぇぇ!
慌てる私におばは「大丈夫、大丈夫!大体のものはこのでかい箱かゴミ袋に入れてガレージに置いとけばいいから!綺麗になるわよ、すぐ!」
……ほんなら、自分でやれや……私は心からそう思ったわけだが、文句を垂れるよりまず、片付けである。すぐに電話だの、フェイスブックだの、その辺に投げられていた購入品などにうつつを抜かすおばを横目に私は「あんたのものやろが!片付けろって!」とキレ散らかしたい気持ちをぐっと抑え、片っ端からじゃんじゃん箱だの、ごみ袋に色んなものをブチ込み、それらをガレージに運んだ。2時間半かけて、どうにか2階を片付け帰宅。「だから、あれだけ、使わないものは買うなって言ってるのに」と私は遠い目をした。大きな箱は4箱。超巨大ゴミ袋は、6袋にもなった。夫アルゴと犬たちはおかんむりであった。私だって怒りたいよ!もう!
木曜日。
「いよいよパーティは明日だが、ケータリングとかどうなっているのか?というか今日は1階を片付けに行くから。だが今日も仕事満載ゆえ、行けるのは6時過ぎになる」と電話をすると、おばは「え、パーティは土曜日よ!土曜日の4時」
金曜日て!!!金曜日の夜って言ったじゃん!1か月前から何度も!(叫)
怒る私におばは「よかったよね~1日増えた感じ?準備の時間が」なんで、人ごとなん?もうさ、誕生日くらい普通に、平穏に祝わせてくれよ。
「で、掃除はしたんか?1階の。料理の手配はどうなのだ?」と聞く私におばは「大丈夫!お姉ちゃんたちと話したし、あとは掃除だけ!」その言葉が信用できないとわかっていたが、仕事でクソ案件もあり、その日は結局、おばの家には行けなかった。
そんな中、別件ドラマが発生。
その日の夜、大都会に住むおばからアルゴ当てに電話がかかってきた。興奮気味に。私はてっきり、近所のおばのあまりの計画性のなさに、もうサプライズは無し、で、パーティ計画を暴露するための電話かと思いきや、全然違った。全然違うどころか、えらい爆弾が投げ込まれてしまったのだ……
アルゴは父親を知らないのだが、なんとおばの友達の友達的な人から連絡があり「もしかしたらアルゴは自分の息子かもしれない」とのこと。えええええええ。そんな!え、てか何で今の、このタイミングで?!送られてきた写真を見ると、似ているようにも見えるし、似ていないようにも見える。
アルゴ自身は「まぁ父といっても、人生に40年もいない人だから、今更、お父さんって言われてもどうしろって話だし、父親側の家族いわれても、実感もクソもないからな~。俺の家族はアンタとママのきょうだいたちの家族じゃん?」とあっさりしたもので、「とりあえずDNAテストの結果を待つ。んでもま、40という大きな節目にこんなことが起こるなんて、ちょっとびっくりだよね」と笑っていた。
その時は、笑ってはいたものの、その後、寡黙になり、むすっとしていたので色んなことを考えていたのだと思う。こういう時は、放置して、落ち着いてから話すのが良い。なのでそのまま、一人にしておいた。複雑な気持ちであるのは当然だ。だって40年間、会ったこともなく、存在すら知らなかった人がいきなり、お父さんかも、なんてそんなもん驚くに決まっている。まったく、驚きなんて、サプライズパーティだけで手いっぱいなのに、こんなサプライズ。
金曜日。
大都会からのおば達は前ノリで今日くると言っていた。近所のおばの「大丈夫」を信じていなかった私は、半休を取りたかったのだが、なんせ夫アルゴは家にいる。「4時に仕事終えるから、迎えにきて」そう叔母に言った。大都会からくる他のおば達は夜の7時くらいに到着するという。「どうしても家の掃除をしたいおばが私を拉致った」という体にして、再度、アルゴと犬たちを振り切り、おば宅に行く。
夫アルゴは前日の「もしかしたら父親」の件がひっかかっているのか。はたまた、院の課題でクラスの動画編集で亡くなった生徒さんの姿を見たせいもあるのか。多分、両方の理由で朝起きた時から沈んでいたので、そっとしておいた。
で。相変わらず、おば宅1階はカオス。料理の手配はなし。私は近所のアルゴが好きなイタリアン・デリに、直前だが30人分の料理をお願いできるか?と問い合わせ、そこにオーダー。おばはオロオロ、ウロウロするだけでちっとも役に立たないので「今はここ、私が払うから、あとで半分払ってね」と言い、料理手配は完了。そして、再度、掃除。強制的にじゃんじゃん進めていくしかない。
誕生日くらい普通に、平穏に祝わせてくれよ。と、切実に思っても、おばがすでに呼んでしまった人々は来るのである。
サプライズパーティゆえ、平日に私がおばの家に長時間滞在していたら、ばれてしまう。なのでこれらのことを3時間で終了。おばが計画を立ててからすぐにおばとチェックしていればよかったのだ、こんなことなら、ハナっから私とアルゴで計画通りに、5月にまとめて大宴会をするべきだったのだ。などなど。気持ちはもう「明日は2学期だけど、夏休みの宿題全然終わってない」あの時の気持ちである。
へとへとになって帰宅したら、何も知らないアルゴは落ち着いたのか、ニコニコしながら「ねぇねぇ俺の誕生日プレゼントだけど、この180ドルのカードセット買っていい?んで、誕生日はあのステーキハウスに行こうよ」(うきうき)
知らねぇよ!勝手にしなよ!!と言いそうになったがぐっとこらえた。連日の掃除、パーティの手配、仕事のクソ案件で私は大層、疲れているのだ。なのでもう正直、帰宅したらシャワーを浴び、すぐ寝てしまいたかった。
この時点でアルゴは、サプライズにまったく全然気づいておらず、おそらく自分の感情の浮き沈みにも無自覚で、さらにはもうすぐ誕生日、というウキウキモード。何が、カードじゃ!(怒)と正直、夫アルゴの能天気な言葉にムカっときたが、アルゴは背景を知らず、ようやく気持ちも落ち着いたようなので、ここで、ムキーッとなってはいけない。私は笑顔が引きつらぬよう、最大限の注意を払って、「1箱ならいいよ。誕生日だし。レストランはちょっと考えるよ」と答えた。
『ゆーて、今回は私が計画人というわけでも、人を招くわけでもないのだ。あくまで、サポートである』……そんな風に思った日もありました……
この時点で、私はもう二度と、サプライズパーティなどはしない。絶対にしない。参加するだけ!と心にきつく、固く、決心していた。
続く。
その2☟
近所に住むおばが過去にしでかしてくれた話。
夫アルゴの壮絶誕生話。
