となりのトップランカー #05 | 初めましてのお作法
無事(?)入店初日のお仕事を終え、
胸に秘めた思いはありながらも、
「できる」と判断した私。
翌日も、淡々と出勤しました。
昨日のことが、全くショックではなかった
と言えば、嘘になります。
けれどそれよりも、たった数時間で
約2万円を稼いだことが誇らしく思えました。
今日の分のご予約は、すでにいただいていました。
昨日と同じようにプレイバックを持って、
ホテルへ向かいます。
二日目に出会ったこのお客様が、
私のこの後の歩みを大きく変える存在
となりました。
初めましてのお作法 〜お客様の教え〜
その方は、30代の男性でした。
私がホテルの部屋に入ると、
迷うことなく服を脱ぎ始めます。
露わになったそのお身体には、
たくさんのお絵かきが施されていました。
一見すると身構えてしまいそうな光景ですが、
決して威圧感があるわけではありません。
言葉遣いは優しく、
どこか温厚そうな空気を纏った方でした。
私も促されるように服を脱ぎ、
まずは二人でシャワーへと向かいました。
昨日よりは、少しだけ慣れたのでしょうか。
お客様が静かに立っていてくださることもあり、
滞りなく洗体を進めることができました。
一通り終えてシャワーで流そうとした時、
お客様が口を開きました。
「お姉さん、すごく丁寧に洗ってくれるけど、
ココはもうちょっとしっかり洗った方がいい。
中までしっかりな」
そう言って、ご自分のものを洗い直しながら、
お手本を見せてくれました。
この方もまた、私がまだ二日目の
未経験者であることをお店から
聞いていたそうです。
その所作には、不慣れな私を導くような
親切さが滲んでいました。
その方は週に三度はお店を利用するという、
遊び慣れた方でした。
親の会社に「時間通り出勤すること」だけを
規律とし、お給料をもらっているのだそうです。
出勤すれば、今日遊ぶ女の子探し。
家も買ってもらい、家族には十分な生活費を渡し、
残ったお金で遊ぶ。
そんな生活なのだと自ら語りました。
けれど、その頻度とは裏腹に、
病気に対して人一倍の警戒心を
抱いていらっしゃいます。
それはかつて、ご自分の不注意から
奥様に病気を移してしまったことが
あるのだそうです。
奥様との夜の生活を
何より大切にしているからこそ、
二度と同じ過ちを繰り返さないために、
その方は「同じ女性を二度と呼ばない」という
鉄則を自らに課していました。
入店したての私を選んだのも、
何より「リスクが低い」という、
合理的な判断の結果だったのです。
シャワーを終え、促されるままに
真っ白なシーツが広がるベッドへと向かいました。
その方は、驚くほど丁寧に私に触れました。
病気への警戒心から、
唇を重ねることはほとんどありません。
私が触れる時も、どこをどう触ればいいのか、
丁寧に教えてくれました。
反応してもらえることが、純粋に嬉しくて。
互いに夢中になり、
不意に、一段先に踏み込みそうになった時ーー
「初めましてで、そこまでしなくていい」
そう言って、お客様は私を制止しました。
アフターシャワーを終え、
身支度を整えた後のことでした。
その方は静かに、諭すような口調で
私に告げました。
「俺にとって、こういう時間は
生き甲斐みたいなものなんだ。
だから、病気にも人一倍気をつけてる。
でも、客の全員がそうじゃない。
お姉さんもちゃんと客を選ばないと、
俺みたいな気をつけてる奴まで遊べなくなるから。
全員の要望に応える必要なんてないし、
言いにくいこともちゃんと言わなきゃダメだよ」
昨日当たり前のように行われた、夜の世界の闇。
それによって、投げやりになりかけていた心を
見透かされたような気がして、
私は反省しました。
そして別れ際、お客様はこう言い残しました。
「また来るよ」
この時の私は、この言葉を
社交辞令だと思いました。
同じ女性を二度と呼ばないと、
最初に言っていたから。
嘘でもそう言われたことが嬉しく、
私は笑顔で「ありがとうございました」と言って、
その背中を見送りました。
この日のお仕事は、この一本だけ。
お手当は、15,000円でした。
2026年3月29日
KANA
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執筆後記です。
戯れの詳細と、お客様の言葉について、
今の私が思うこと……
※以下の記事には一部に性的な描写や、成人向けの表現を含みます。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

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