となりのトップランカー #06 | 初めての本指名様
(先日のお客様を、以降「タナカ様(仮名)」とさせていただきます)
2度目の出勤から3日後の、次の出勤日前日のこと。
私のもとに、お店から一本の連絡が入りました。
「本指名です!
タナカ様から、210分コースでご予約をいただきました!」
3度目の出勤で、早くもいただいた「本指名」。
それも、風俗に通い慣れた目の肥えたお客様から、210分――つまり3時間半という破格のロングコースでのご指名でした。
私は素直な嬉しさを感じると同時に、大きな驚きと困惑に包まれました。
今の時代、この業界で安定して稼ぎ続けるには、いかに本指名を獲得できるかが重要だと言われています。
お店からも、
「お客様の特徴や話した内容をメモして、次に会った時に覚えていると喜ばれるよ」
とアドバイスを受けていました。
けれど、あのお客様――タナカ様が、
まさか戻ってくるとは思ってもみなかったのです。
タナカ様は、風俗に通える年齢になってから
今日まで、数え切れないほどの
経験を積んできたベテランです。
それゆえに、病気のリスクに対しては
潔癖なまでに敏感でした。
「同じ女の子とは二度遊ばない」
「長く働いている子は避ける」
といった独自の鉄則を、自分に課していたのです。
彼の潔癖さは、部屋での振る舞いにも現れていました。
私が到着するまで、
どこにも座らず、触れずに、立ったまま待つ。
衣服にホテルのものが触れることすら嫌い、
脱いだ服は部屋の隅ではなく、
必ず扉の角に引っ掛けて吊るす。
そんな彼が、新人である私を合格点とし、
さらに自らのルールを曲げてまで
再訪を決めてくれた。
それは一つの肯定ではありましたが、
同時に「3時間半」という未知の時間が、
私の肩に重くのしかかりました。
手持ちのタイマーは99分までしか
セットできません。
私は自分のスマホを使い、
終了時間をセットしました。
再会、そして……
当日。
再会したタナカ様は、どこか気恥ずかしそうに
私を見て、照れたように笑いました。
あまり表情を出す方ではありませんが、
そのはにかんだ笑顔は、
どこか可愛らしくありました。
タナカ様は私と年齢も近く、
穏やかで話しやすい男性です。
インコールを終えると、
タナカ様はいつものように淀みのない動作で
服を脱ぎました。
私もそれに合わせ、
早々に二人でシャワーへと向かいます。
3時間半という長丁場。
けれど、言葉で時間を埋めることはなさそうだと
直感しました。
タナカ様は、来店前に自宅でシャワーを
済ませてくるほど清潔を徹底していましたが、
それでも私に全身を委ねてくれました。
前回教わった通り、細かな部分まで
指先で丁寧に洗っていきます。
洗い終えた時、先にシャワーを出るタナカ様が
静かに口を開きました。
「口紅もしっかり落としてね」
一瞬、疑問が浮かびましたが、すぐに察しました。
(ああ、キスをする時に、色が移るのが嫌なんだな)
私はクレンジングを手に取り、
丁寧にリップを落としてからシャワー室を出ました。
真っ白なシーツの上、
昨日とは少しだけ違う空気の中で、
二度目の時間が始まろうとしていました。
・・・・
タナカ様は時間をきっちり守る方で、
タイマーが鳴ると同時に「シャワーに行こう」と
促してくださいました。
210分という長い時間の熱を帯び、
汗とそうではないものでまみれた全身を、
浴室で洗い流します。
その時、タナカ様がふと私に語りかけました。
「 」
私には、その言葉が業界において
どのような意味を持つのか、
どれほどのことなのかも分かりませんでした。
そのため、私はただ無難に、
「そうですか? ありがとうございます」
と、お礼を伝えました。
夜の華としての自分の価値に、
私自身が全くの無自覚だったのです。
初めての本指名料をいただき、
この日のお手当ては24,100円でした。
2026年4月1日
KANA
▼タナカ様とのお話の続きはこちら
▽タナカ様との出会いの記事はこちら
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執筆後記です。
210分という、長い長い戯れ。
そしてタナカ様の、浴室での言葉。
その真髄とは……。
※以下の記事には一部に性的な描写や、成人向けの表現を含みます。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。

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