日本の伝統野菜がなくなり、外国の種が売られるようになる
伝統野菜は、収穫せずに花を咲かせ、種をつくり、その種を翌年にまく。そして同じ伝統野菜ができる。こうして伝統が続いてきた。
ところが、今売っている種は違う。できた種をまいても同じものができない作物が多い。例えばミニトマト。トマトやナスはすぐに芽が出るので、ミニトマトの種をまいてみる。芽を出し、ぐんぐん伸びて花を咲かせ実をつける。するとミニトマトとはちがう中型の大きな実ができる。黄色やピンクのミニトマトだったはずが、みんな赤いトマト色の実になる。これは企業が一代雑種を作って販売しているからだ。一回しかできない実なら、同じものがつくりたければ、またその企業から種を買わなければならない。その野菜が飽きられるまで、企業は種で儲けられるのだ。
今は、遺伝子組み換え作物やゲノム編集作物というものが作られている。農家ではつくられない種を企業は売っている。大きな実ができ、病気にもなりにくい作物は、毎年高い種を買わなければつくれない。企業は丸儲けだ。
2018年「種子法」が廃止された。
1952年に誕生した「種子法」では、「主要農作物であるコメや大豆、麦など野菜を除いた種子の安定的生産及び普及を促進するため」として、米の品種改良も国の管理下におかれ安い種が手に入り種類も多様になった。それが廃止され、日本の主要農作物である米の種も、今後は民間の高い種を買うことになるだろう。今でさえコシヒカリなど数種の米が中心に売られるが、それでも各自治体で新しい米の品種が作られている。それが、企業は採算重視なので、さらに同じ売れ筋の銘柄だけになりがちだ。野菜や果物だって同じものばかり並んでいる。だからこそ伝統野菜が見直されているのだろう。同じものばかりで多様性を失うと、病気などが蔓延すれば全滅する。
企業がほしいのは種子の開発データだ。「食をコントロールする者が人民を支配する」(キッシンジャー)といわれているそうだ。
遺伝子組み換え作物、ゲノム編集作物は農薬とセットで売られる。その作物にはきかないが他の作物にはきく農薬を使わせる。そうすれば、他の作物は自然と枯れてなくなり、人間につくられた一種類の作物だけになる。農薬が広がると、他の畑の他の作物も枯れるので、伝統野菜の自家増殖もできなくなる。
そんな農薬にはラウンドアップなどがある。除草剤だ。そしてそれに耐性を持つ遺伝子組み換え種子とセットで売られる。除草剤にも耐えられるようにつくったのが人工作物だ。
こんな世の中はどうなるのだろう。人工作物とセットの農薬が大規模農場で使われ続けていたアメリカではどんなことが起きているのか。
参考にしたのは十年前の記事ではあるが、アメリカでは12人に1人の子どもがアレルギーで、食物アレルギーで死ぬ子もいるという。アレルギーを持つ子の母であるゼン・ハニーカットはマムズ・アクロス・アメリカ運動を始めた。農薬と遺伝子組み換え食品に反対し、農薬と遺伝子組み換え食品からの覚醒を呼びかけている。
アメリカの食物アレルギー人口は1500万人、うち18歳以下が600万人。アメリカの食品の80%、加工食品の85%に遺伝子組み換え原料が含まれるという。遺伝子組み換え作物は、作物そのものに殺虫成分が含まれる。
遺伝子組み換え食品をやめ、オーガニック食材に変えると、なぜか子どものアレルギーが治った。小麦にも農薬がかかっているので、それもオーガニック食材に変えると体調が変わったという。そんな運動を続けるなかで、2018年、カリフォルニアの裁判で、グリホサート系除草剤でがんを発症したという提訴で企業に勝利した。運動の成果が出たわけだ。それに続いて次々提訴が起きたそうだ。
何もしなければ何も起きないが、何かをすれば、何かが変わることがある。
けれどわが日本では、遺伝子組み換え作物への危機感がまだまだ薄い。だから企業は、知らない間に日本に次々と遺伝子組み換え作物を入れてきている。
何かをしなければ日本が変えられる。何かをすれば日本のアレルギー人口が減るかもしれない。
堤未果さんの「日本が売られる」(幻冬舎新書2018年)を読んで、この記事になった。
堤未果さんの記事に触発されて書いた記事はこちらにも、
