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ミツバチが地球上から消えていく

 ミツバチは遠くの花を見つけると、巣に帰ってダンスをしながらその場所を仲間に教える。そして蜜を取りに行くが、そのときに花の受粉もしてくれる。花は蜂を呼ぶためにわざわざエネルギーを使い花を咲かせ蜜を作る。それによって花粉を運ばせている。互いに助け合って地球はまわっている。
 ところが、そのミツバチがどんどんいなくなっている。ミツバチの蜂群ほうぐん崩壊ほうかい症候群しょうこうぐんと呼ばれる。働きバチがいなくなってしまうのだ。巣の周りにはハチの死骸はない。それでも働きバチが消えてしまう。その原因は、農薬、寄生虫、ウイルス、環境の変化、ストレスなどが考えられるが、これだというものは発表されていない。
 その中で一番可能性が高いのが農薬だろう。ミツバチに農薬をかけているのではない。別の害虫対策として農薬を散布している。果実を食べるカメムシ対策、葉物野菜につく虫、米につくウンカなど、いろいろな用途で使われるのが、ニコチンに成分が似ているといわれるネオニコチノイド系農薬だ。
 ネオニコチノイド系農薬は昆虫の神経に作用し、神経細胞を興奮させ殺す。少ない量でも食欲、交尾、飛行などの行動が減少する。この農薬がミツバチの神経を犯し、巣に帰れなくして蜂群崩壊症候群を起こしていると考えられる。ミツバチが訪れる花にも農薬がしみこんでいるのだ。ミツバチは遠くの花まで飛んで行く。でも神経を犯されたミツバチは自分の巣へ帰れなくなってしまう。どこが自分の家かわからないまま道端で死んでいくのだろう。一匹二匹ではなく、大量にいろいろな場所で死んでいくのだろう。
 また、ネオニコチノイド系農薬は、水に溶けやすく、残留性も高いので、人体への影響も考えられる。そのため、世界ではネオニコチノイド系農薬を次々禁止にしている。農薬を作っているのはアメリカ企業が多いが、EUではその危険性が認識され、フランスでは全面禁止にし、他の国も一部を使用禁止にしている。アジアでも、韓国、台湾、中国ですら禁止され、アメリカの一部地域でも禁止する中、日本ではすべてのネオニコチノイド系農薬が使える。さらに2015年以降は残留基準を大幅に緩め、「ミツバチ大量死の原因は(農薬ではなく)ストレス」と国は言っている。

 紙の教科書から電子教科書に変えていこうとする日本は、電子教科書から紙の教科書にもどしている世界の流れとは違うことをしている。これはなぜだ。文科省の役人や国会議員がアホだというわけではないだろう。電子教科書にした方が儲かる人がいるからだろう。

 農薬も、禁止したら損をする人がいる。企業がある。日本はたいした反対運動も起きないから、世界で禁止される農薬をどんどん売ろう。他の国で売れないから日本で売ろう。農薬の基準も緩めさせよう。そう考えている人がいるのだろう。その片棒を担いでいる議員もいるだろう。

 日本の農業はどうなるのか。大丈夫。蜂がいなくなっても困らない。
 今は受粉を助けるためのロボットミツバチが研究されている。アメリカのロボビー(RoboBee)は一円玉くらいの大きさのロボットだ。こんなのが空を自由に飛ぶ。まるで近未来小説やマンガ、アニメの偵察ロボットのようなものが現実に開発されている。

 ロボットだからミツバチのように人を刺すこともない。けれどそれでいいのだろうか。農園の受粉はできるだろう。けれど自然の中には数限りない花が咲いている。そしてそれらの受粉にミツバチが役に立っている。そのミツバチが消えていく。ハチミツも取れなくなる。

 自然は複雑にからみあっており、互いに支えあうことによって進化してきた。有名な話では、米を食べるからとスズメを大量に殺戮したら、田んぼに害虫が増えて、逆に米の被害が増えてしまったというものがある。人間の頭やAIの考えでは及ばないのが自然の神秘だろう。

 いなくなることによって大きな影響がありそうなのがミツバチだ。
 声をあげなければならない。ミツバチが消えていかないようにすることが、人類にとって今必要なことだろう。



堤未果さんの「日本が売られる」(幻冬舎新書2018年)を読んで、へえ、へえと思ってこの記事になった。

 


堤未果さんから学んで書いた記事はこちらも、


 


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