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「儲かる事業」を捨てた老舗経営者から学んだ、会社の“魂”の見つけ方。

 こんにちは、Kando Inspire Factory代表 中垣です。
 数年前、大学院で、何百年という歴史を持つ会社の経営者の方から、直接お話を伺う機会がありました。企業の平均寿命がどんどん短くなるこの時代に、永続する会社の秘密とは何か。その答えは、僕が想像していたものとは全く違う、生々しくも美しい「覚悟」の物語でした。

■ 「好きじゃないから、やめる」という衝撃
 その経営者は、先代から引き継いだ会社にあった、ある事業について語り始めました。それは、会社に安定した利益をもたらしている「儲かる事業」でした。しかし、彼はその事業を、いとも簡単に「やめた」と言いました。
 理由を尋ねられると、彼はこう答えたそうです。
 「だって、その事業が好きじゃなかったし、夢が描けなかったから」
 僕は頭を殴られたような衝撃を受けました。経営判断とは、数字やロジック、市場性で決まるものだと信じていたからです。しかし、彼の決断の根底にあったのは、「経営者自身が、その事業に魂を込められるか」という、あまりにも人間的な、しかし最も本質的な問いでした。
 儲かるから、という理由だけで、自分の心が躍らない事業に、社員の貴重な人生と会社の資源を投下し続けることはできない。その潔い決断に、僕は経営者の本当の「覚悟」を見た気がしました。

■ 「お客様第一」の、恐ろしい勘違い
 次に彼が語ったのは、自社ブランドを立ち上げた後の、ある「踊り場」での経験でした。順調に成長していた事業の売上が、なぜかピタリと止まってしまった。社内で議論を重ねる中で、彼はある「恐ろしい勘違い」に気づいたと言います。
 それは、「お客様第一」の“お客様”を、自分たちに直接お金を払ってくれる「特約店」や「販売代理店」のことだと思い込んでいたことでした。
 本当にその製品を使い、日々の暮らしの中で喜びや不満を感じているのは、その先にいる「生活者」です。その「本当のお客様」の顔を見失い、中間業者の方ばかりを向いて仕事をしていた。そのズレが、成長を鈍らせていたのです。
 僕はこの話を聞いて、自分も「お客様」という言葉を、安易に、そして無意識に、自分に都合の良い相手に置き換えていなかっただろうかと、深く反省させられました。

■ 「仕組み」で、会社に魂を吹き込む
 では、どうすれば会社は「魂」を持ち、社員は「本当のお客様」を向いて仕事ができるようになるのか。彼の答えは、やはりシンプルでした。
 「そうなるような“仕組み”を、徹底して作ることだ」と。
 例えば、彼の会社では、社員同士が互いの良い行いを共有し、称賛し合う「感動大賞」のような制度があるそうです。また、毎朝の朝礼で、自分たちの会社の理念や行動指針を全員で読み合わせる。トイレ掃除のような、一見、事業と関係ないような基本的なことを、役職関係なく全員で徹底する。
 一見、遠回りに見えるこれらの「仕組み」こそが、日々の業務の中で少しずつ会社の「魂」を磨き上げ、社員一人ひとりの意識を変え、組織に一体感と誇りを生み出していく。

■ あなたの会社の「魂」は何ですか?
 その経営者の方の講義から数年経った今でも、僕は時々自分に問いかけます。
 自分は今、魂を込められる仕事をしているか?
 自分が見ている「お客様」は、本当に最終的な価値を届けるべき相手か?
 そして、会社の魂を育むための、誠実な「仕組み」を作れているか?
 会社の永続を支えるのは、複雑な戦略や理論以上に、こうしたシンプルで、力強い問いと向き合い続ける覚悟なのかもしれません。
 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

私は現在、Kando Inspire Factoryという屋号で、企業の新規事業創出のお手伝いをしています。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひHPに遊びにきてください。
https://sites.google.com/view/kandoinspirefactory/
Kando Inspire Factory 代表 中垣

#68リーダーシップ開発Day

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