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「伊藤史朗の幻」を40年ぶりに再読する

 いま世間を騒がせている日大・重量挙げ部監督の詐欺事件や元横綱の白鵬による「世界・相撲グランドスラム構想」などについて、スポーツライターの小林信也氏がテレビでコメントされていました。

 今までも、他の日大のスキャンダルや東京オリンピックなどでも的確なコメントをされていました。夏の甲子園での高校野球についても見直すべきだと、玉木正之氏との共著も上梓されています。

 僕は熱心なスポーツ観戦者ではありませんが、小林氏のコメントにはいつも耳を傾けています。そのきっかけとなったのが、1985年に発行された「伊藤史朗の幻」です。内容は、本の帯に要約されている通りです。装丁も凝っていました。

 1985年5月に発行され、僕が買った4刷版は同年11月に出ています。売れていたわけです。

 1960年に世界2輪グランプリ500ccクラスにBMWでプライベート参戦し、初戦のフランスGPで入賞。1961年から64年まで125ccクラスと250ccクラスへヤマハのワークスライダーとして参戦し、63年ベルギーGPの250ccで優勝。ヤマハ初の世界GP初優勝をもたらし、自身も年間ランキング3位と大健闘。プリンス自動車とも契約し、4輪レースに出る予定もあったそうです。

 しかし、65年に東京で銃刀法違反で逮捕。その後、アメリカに渡って沈黙を続けていたところを小林氏が連絡を取ることに成功し、信頼関係を築き、日本と往復しながら取材して著されました。

 明らかにされていなかった伊藤の軌跡と、それに寄り添いながら問いを発していく小林氏の想いが並びながら進行し、時に交錯していく様子がスリリングです。

 40年ぶりに読み直してみましたが、ノンフィクション作品としての面白さは変わりありませんでした。時間の経過を感じさせられるところもありますが、それを超越した感興も宿っていました。

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