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アメリカのデジタルノマドの実態調査が示す「Future of Work(これからの働き方)」:今日のノート#517(2025-04-18)


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"私のために開けてくれない古いドアをノックし続けるつもりはない。私は自分のドアを作り、そのドアを通り抜けていく。"
(エイヴァ・デュヴァーネイ)

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Posted by Daniel Pink on Sunday, April 13, 2025

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#アメリカのデジタルノマドの実態調査が示す「Future of Work(これからの働き方)」

今や、仕事はオフィスだけでするものではなく、どこからでもできるということは、もう誰でも知っている。するかしないか、それを許すか許さなか、だけだ。

許さない企業は「RTO(オフィス勤務の義務化)」に走り、パンデミックでリモートワークの可能性を知ったワーカーをオフィスに連れ戻そうとして総スカンを食らっている。

しかし、テクノロジーの進化や非同期型ワークモデルの常態化で、ある特定の場所から離れることはかつてないほど容易になった。

企業に勤める人もワーケーションを受け入れ、出張を仕事のスケジュールに組み込むこともすれば、完全にリモートでデジタルノマドの仲間入りをする人もいる。

この傾向がもはやニッチではないことを、 MBO Partnersが「2024 State of Independence」として報告している。それによると、アメリカの労働者の実に11%が現在デジタルノマドであると認識しており、2019年以降147%という驚異的な増加を見せている。

まさに「Future of Work(これからの働き方)」を指し示す極めて刺激的な数字が並んでるので、このリポートを共有しておきたい。

まずは、ざっくりと要点をまとめておく。特に重要と思われる(全部重要なんだけど)ところは太字にした。

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デジタルノマドの現在地

2024年時点で米国のデジタルノマドは1,810万人に達し、就業人口の11%を占める。前年から4.7%増、2019年比では147%増という急拡大である。すでに「10人に1人」がノマド化したという事実は、従来の「例外的」な働き方が主流へ転換したことを示す。

増加の内訳とトレンド

コロナ禍が沈静化しRTO(出社回帰)が進んだにもかかわらず、独立系ノマド(グラフではIndependent Nomads)は2024年に20%増となり、企業に雇用されるノマド(グラフではTraditional Nomads)は5%減にとどまった。つまり会社員よりフリーランス型の伸びが加速している。またノマド人口の64%がフルタイム、36%がパートタイムで活動している。

(出典:MBO Partners)

世代構成の変化

構成比はZ世代26%、ミレニアル世代38%で、若年層が64%を占める。一方で55歳以上も14%存在し、年齢の裾野は着実に広がっている。若年層の伸長は今後の供給を支え、中高年層の参入はノマドが一過性ではなくライフステージ横断の選択肢となったことを示す。

(出典:MBO Partners)

仕事満足度と所得

ノマドの79%が「仕事に非常に満足」と回答し、年収満足度も79%に達する。年収分布は〈25,000ドル未満17%〉〈75,000ドル以上46%〉で二極化傾向があるが、生活コストの安い地域に移動して所得を最大化する「ジオアービトラージ」がその格差を相殺している。

スキル・学歴・AI活用

デジタルノマドの52%は学士以上、18%は大学院卒で、米国成人平均を上回る。AI使用率は79%(非ノマド60%)で、76%が「上級または中級ユーザー」と自己評価する。IT・クリエイティブ・教育・マーケ系が主職種で、デジタルスキルの高さがリモート可搬性と市場価値を支えている。

(出典:MBO Partners)

移動パターンの「Slomading」

2024年の訪問先平均は年6.6地点、滞在は各5.7週。移動速度を落とし深く滞在する「Slomad」(※)が増え、51%は来年「米国内のみで移動」と回答している。その理由には企業の出社要請や地政学リスクも絡むが、社会的接点の濃度や生産性向上が利点として挙げられる。

※Slomads=他のデジタルノマッドに比べ、ゆっくりとしたペースで場所を変え、訪れる場所も少ないデジタルノマッドのこと。

企業リスクと隠れノマド

ノマド社員の14%は勤務先に所在を知らせず、22%は上司の黙認下だが会社に正式ポリシーがない。合算36%が「企業の目に見えない」まま越境労働し、税務・労務・サイバーセキュリティなど複合的リスクを発生させる。企業はノマド受容ポリシー整備で人材確保とコンプライアンスを両立させる必要がある。

将来予備軍と外部環境

ノマド志望者は「必ずなる」2100万人、「なるかもしれない」4500万人に上る。実現率は7~9%だが、潜在母数は現在の2倍以上である。60を超える国・地域がデジタルノマドビザを導入し、保険・金融・住居・コミュニティを提供する「ノマド支援産業」も拡大中で、制度・市場双方が成長を後押しする。

社会・経済への示唆

  1. 都市間競争の活性化:ノマドは観光客より長期滞在し消費額も大きい。地方都市や島嶼部が誘致に動けば、空き物件活用と新規サービス雇用が生まれる。

  2. 労働市場の二層化:スキルを資本とする高所得ノマドと、低所得でもコスト最適化で生活できる層が並存する。結果として賃金は地理的に平均化し、一部オフィス職のコスト構造が再編される

  3. 企業組織の変容:場所非依存を前提にしたプロジェクト制やアウトカム評価が定着し、社内外のタレントプールが流動化する。ポリシー整備を怠る企業は、優秀層の流出と法的リスクの双方に直面する

  4. 公共政策の課題:税源の移動、インフラ負荷、住宅価格高騰への対策が必要になる一方、デジタルノマドビザは知識労働者の移民競争を緩和する手段となる。

結論

デジタルノマドは「旅行好きなフリーランサー」の域を超え、テクノロジーとリモートワークを梃子にした新しい労働階層として定着した。

高度スキルと地理的自由の結合は企業・自治体・社会制度に再設計を迫り、今後も緩やかにではあるが確実に影響範囲を拡大していく。

ノマド現象を単なる個人のライフスタイルではなく、働き方改革と地域経済戦略の両面で捉える視座が求められる。

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ここで駄弁を弄することは避けたいが、注目しておきたいのは、「年齢の裾野は着実に広がっている」というところ。

デジタルノマドというと若い層、Z世代の専売特許みたいに思ってる人もいるが、現実はそうではない。事実、ぼくももう孫もいるエエ歳だが平気でリモートワークしている。

それと、「AI使用率は79%(非ノマド60%)で、76%が上級または中級ユーザーと自己評価」のところ。AIはノマドに限らずすべてのひとりカンパニーの武器になる。これをうまく活用することで、ひとりでできることが爆発的に増える。

それと、「Slomads」という言葉は知らなかったが、あちこち忙しく移動するよりも、その地にしばらく滞在してローカルカルチャーに浸る、土地の人と交流する、そのことのほうが価値があるということだと思う。大賛成。移動することが目的ではない。

まあ、ノマドというか、今後、場所を選ばず仕事する人、つまりリモートワーカーが増えるのはもう当たり前のことであって、それに抗うことがいかにナンセンスであり、非現実的であり、来たるべき未来を否定しているかを、「RTO」にしがみついている経営者は思い知るべきだと思う。

ところで、これはアメリカの調査結果だが、これぐらい詳細なデータはもうそろそろ日本でも整備すべきではないかしらね。ちょっと調べたが、日本国内におけるデジタルノマドの実態を対象とした調査リポートの​多くは、主に外国人デジタルノマドの誘致に絡んだ類のものしか見当たらない。

PR TIMESのこのアンケート調査は参考になるかもしれないが、まだこの程度だ。

「2024 State of Independence」の結論にある通り、もはやデジタルノマドは「新しい労働階層」として厳然として存在している。そこを理解しない限り、企業も自治体も、いや社会全体が、この先の進むべき道を見誤る。

何にせよ、「ノマドの79%が仕事に非常に満足と回答し、年収満足度も79%」ということがすべてだ。この調査結果がこれからの働き方、「Future of Work」を明瞭に物語っているのは確かだと思う。

ということで、今日はこのへんで。

(トップ画像:MBO Partners)


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