見出し画像

抹茶デビュー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

初めてのお茶席体験お抹茶はふうふうすべきか否か戸惑う

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


陶器の展覧会に行ったら会場の真ん中にお茶席があった。明るいピンクの着物を着たお姉さんが優雅な手つきでお茶の準備をしている。

衝立にかけられた竹の花器にはミニひまわりを始めとした夏の花々。薄暗い会場の中でその一角が一際華やかな色を纏っている。


見るともなしに眺めていたらスタッフらしい着物のご婦人に声をかけられた。
「お茶を飲んでいかれませんか?」
「え、あの、作法とかわからないんですけど…」
同行の友人と顔を見合わせる。
「お茶とお菓子を召し上がっていただくだけですから大丈夫ですよ」
それならと3列ある長椅子の2列目に腰掛けた。

茶会が始まり前列の隙間からどうにかお姉さんの所作を見ようとするが断片的にしか見えない。柄杓でお湯を汲んでいるところばかりよく見える。
2列目だから仕方がないとあきらめる。

まず先にお菓子が配られた。
折られた白い紙の上に個包装の小さな塩もなか。ご丁寧に包装の口は切られておりすぐに中身が出せるようになっている。
「お菓子は配られた順番にすぐ召し上がっていただいていいですよ」と着物のご婦人が教えてくれた。

そのうち最初のお茶が出来上がる。
前列の左端の人がお茶碗をくるくると回して飲んだ。
この後7人のお客にお姉さんが一服ずつ点てるのかと思っていたら横の壁からお茶が次々と運ばれてきた。どうやら壁の向こうでも何人かのスタッフが同時に点てているらしい。

ついに自分にもお茶が運ばれてきた。
お辞儀をして受け取る。
前列の人たちを真似てお茶碗をくるくる回す。
飲む前に危うくフーフー息を吹きそうになる。
隣の友人に小さな声で
「…熱い?」
「程良いよ」
それで安心して吹かずに飲めた。

初めて飲んだお抹茶は柔らかい口当たりで想像よりずっと苦くなかった。何なら家でも飲もうかしらと思うほど美味しい。
いい体験をしたよねと友人と話しながら帰った。

帰宅後かばんの中の塩もなかの袋を処分した。
白い紙も捨てようとしたが何の気なしに開いてみると三日月や桜の花の可愛らしい透かし模様が入っていた。
それで捨てるのは止めた。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集