【S4|未来感の編集】問いを深める知──科学とデザインのあいだで #5
第5話|正しさを欲しがる知性──AIはなぜ問いを持てないのか
1.最適化される知
AIは、正しさを導くための知として設計されている。
大量のデータを参照し、確率を計算し、
もっとも妥当とされる答えを返す。
そこにあるのは、
選択肢の中から最適解を選び出すという構造だ。
AIは、「間違えない」ことを強く求められている。
2.問いのない世界
問いとは、不確実さを含んだまま立ち上がるものだ。
だがAIは、
不確実な状態をそのまま保持できない。
問いは、未定義で、未整理で、
評価しづらい。
AIにとって問いは、処理前のノイズに近い。
3.正しさが先に来る構造
AIは、問いを立ててから答えを探すのではない。
答えを出すために、問いを仮定する。
その結果、問いはつねに答えに従属する。
正しさが先にあり、問いは後から形を与えられる。
4.違和感を扱えない知性
人間が問いを持つとき、そこには違和感がある。
納得できない、説明しきれない、
どこか引っかかる。
その曖昧な感覚が、問いを生む。
AIは、その違和感を感じることができない。
違和感は、数値にならないからだ。
5.問いを残す役割
だからこそ、問いを残す役割は
人間に残されている。
AIが答えを磨くほど、
人間は問いを磨く必要がある。
デザインは、そのための実践だ。
正しさを急がず、
違和感をそのまま置く。
この連載では、AIと対立するためではなく、
AIと共に考えるために、問いを深める知のあり方を
探っていきたい。
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