ショートエッセイ : 湖面に浮かぶ意味
湖面に浮かぶ釣りが好きだ。
早朝にボートを出して、日の出のあたたかみを全身で感じる。
菓子パンを齧りながら、ポイントを探る。
夕方から風が吹き始める。
風裏を探してボートを操る時、頭の中は空っぽだ。
もちろん、釣りたいから行く。
しかし、もう一つの理由、
リセットしたいからだ。
それは、行ってみてしみじみ解る。
普段、いかに背負っているものが多いか。
仕事の私。
家族の中での私。
バンドの中での私。
イベント企画者としての私。
起業家としての私。
ネコ好きの私。
などなど。
しかし、湖上では「釣りたがりのただの釣り人」だ。
落水すれば、命を落とすかもしれない。
雨が降り続けば凍え死ぬかもしれない。
そんな、スリルも伴って、私は一つに結実する。
ある日、湖上でふと思った。
これは私のデザインだ。
釣りという「行(ぎょう)」によって、
フィールドと自身を一体化させ、
からまった糸をほぐし、編み直しているのだ。
充電ではない。
再編だ。
まさにデザインだ。
明日の釣りも朝早い。
朝日と共に私のデザインがはじまる。
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