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レビュー|さぁ、いらっしゃい。 「夢のチョコレート工場」で悪夢を見るのだよ

ロアルド・ダールの『チャーリーとチョコレート工場』を映画化した『夢のチョコレート工場』(Willy Wonka & the Chocolate Factory)。

1971年公開だから、50年以上も前の映画かぁ。

50年って長くない? 今年生まれたばかりの赤ちゃんが50歳の中年になって、その未来から現在を振り返ってるぐらいに古い。

ジーン・ワイルダー主演で、原作者のロアルド・ダール自身が脚本を手がけたこの映画。当時の日本では未公開だったけれど、これがなんだかすんごい映画!

無理にジャンル分けするなら、ファンタジーに分類されることになるんだろうけど、それって絶対ウソ!

ホンワカとした音楽に騙されちゃだめ! これはホラー映画ですよ、ファンタジーホラー! あれっ? つーことはファンタジーってことなの?

これね、前半はフツーの映画なのよ。ウォンカさんの謎のチョコレート工場を見学できるゴールデン・チケットが世界中で、5枚だけチョコレートに封印されていることが発表されて、世界中がチケット探しに騒然となる。

英国女王陛下がチョコレートの箱をセリ落としたりして、結構コメディタッチの場面が続くわけ。

そんで主役の貧乏少年チャーリーは拾った金で買ったチョコレートで見事にチケットをゲット! ”拾ったモノはオレのモノ”という心温まるメッセージを観客に送るのであった。

ところがウォンカさんが登場してからは画面に狂気が宿る!

チョコレート工場を見学する間に、チャーリーを除く4人の子供達は次々とウォンカ氏の罠にかかって悲惨な方法で消えていく。

デブ少年なんて明らかにウォンカさんに川に蹴り落とされてるし。
これ、原作だと最後に子供達が無事に工場から出て行く場面があるんだけど、この映画にはそれがない。

だから「消えた子供はそのまま帰らぬ人になってしまった」という解釈だってできる…っていうか、フツーに観たらそうとしか思えない! 

食いしん坊のデブ少年は切り刻まれてお菓子に加工され、ガム好きバイオレットは脹らんで破裂し、わがままベルーガは焼却炉で焼かれ、生意気少年ティービーは踏み潰される…全員死亡!

だってこの映画のタイトルは原作の"Charlie and the Chocolate Factory"じゃなくて、"Willy Wonka & the Chocolate Factory"なんだから原作と別物だってノープロブレム!

子供達が消える度に踊り狂うのは、ピグミー族をモデルにしたウンパルンパ

ウンパルンパ役の役者達は、全員がリトルピープルで、オレンジ色の顔に緑色の髪、白い眉毛というヤバすぎるメイクをしている。

不気味さをナチュラルに漂わせて、ホラーとしての舞台装置も完璧だ。ウンパルンパが歌って踊るシーンでは側転が全然できてないけど、そんなこと監督はお構いなし!

ところで原作者のロアルド・ダールが最初に書いてきた脚本は原作と殆ど同じで、そのまま映画にするはムリがあったという。

そこで脚本家デヴィッド・セルツァーの手によって30~40%が書き直されることになった。つまり原作と異なる部分は彼の手によるものだと考えられるわけ。

デヴィッド・セルツァーは、5年後に首チョンパ場面で有名なホラー映画『オーメン』の脚本を手がける人物。

『オーメン』で登場人物が順番に惨殺されていく展開は、まさにこの映画から発想したんじゃないかと思えるほど!

ちなみに脚本を書き直されたロアルド・ダールは、この映画を嫌っていたという。

もちろん主演のジーン・ワイルダーだって負けていない。3年後に怪作『ヤング・フランケンシュタイン』で、フランケンシュタイン博士の孫を演じるんだから、狂気の演技は筋金入りだ。この映画のウォンカさんはどうみても変人どころじゃなくて狂人だからね。

チョコレートの川を船で下ってトンネルをくぐる場面ではウォンカ氏の狂気オーラが全開! トンネル内の壁にはサイケな光が点滅して、”顔の上を虫が這う”など何の脈絡もなくグロテスクな映像が映し出される。

おまけにウォンカ氏が、イっちゃった表情で不気味な歌を歌いだすんだから、ビビった観客達の小便チビリは必至!

オムツがとれたばかりの子供は死ぬほど後悔し、オムツを趣味とする大人はチビリついでに脱糞するであろう!

映画館はクサくてたまんないっすよ!


観客にゆだねられた恐怖のイマジネーションは、ラストシーンでも終わらない。エレベーターで、空に打ち上げられるウォンカさんとチャーリーとジジイ。チャーリーはこの後、どうなるのか?

あの狂人ウォンカさんが、チョコレート工場をチャーリーに譲るだって? 

そんなのデタラメに決まってるじゃん。


「期待させてから、失望を与える方が残酷」なことを、ウォンカさんは知っているのだ。最後まで残ったチャーリーには、他の子供達よりも、さらに残酷な運命が待っているに違いない。

きっと変な薬を飲まされて、ウンパルンパにされて、一生を奴隷のように工場で働かされるんだ! そうだよそうだよソーキそば!

工場見学は、ウンパルンパにする子供を、選ぶための試験だったんだ。

薬を飲まされてるから、ウンパルンパは顔色が悪いんだ!

それとも、もっと残酷なことが待っているのか…。

こっわ! いずれにせよ、この恐怖は、役者自身にもトラウマをもたらしたに違いない。

いや、トラウマならまだいい。撮影現場でホントに切り刻まれたり、破裂してなきゃいいんだけど…

その後、この役者たち見かけないし。



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ケイメイ 最後までお読みいただきありがとうございました。チップしちゃおうかなと思ったら、迷わなくていいんです。私がそっと背中を押しますからね!