AI実験短編|巻き戻し(ChatGPT)
正解の果て
男は「自分が最後に送ったメッセージの送信直前」に戻る事ができた。十年前、本当に好きだった女性をSNSのおすすめ欄で偶然見つけ、使い時はここだと思った。
「突然ごめん。元気にしてた?」
「元気ですよ」 戻る。
「SNSで見かけて懐かしくなったよ」
「そうなんですね」 戻る。
十回。二十回。
少しずつ、会話が伸びるルートを探した。
「犬飼ってるんだね」なら一往復増える。
「写真の公園、あそこ好きだった」なら二往復。
そして四十二回目。初めて彼女が質問した。
「そういえば、結婚はしたんですか?」
男は震えた。
「結婚はしてないよ」
「そうなんですね」 終了。
「してない。君は?」
「しています」 終了。
どれも駄目だ。しかし、その中で一つだけ先へ進む道があった。男はその返事を選んだ。一週間。一か月。三か月。彼女が喜ぶ内容をひたすら探し、選び続けた。そして、ある夜、彼女からメッセージが来た。
「一つ聞いてもいいですか?」
男は送信前へ戻れない。まだ何も送っていないからだ。
「私、ずっと不思議だったんです。どうして毎回そんなに都合よく正解を選べるのか。嫌な話題は避けるし、喜ぶ話題が必ず出てくる。まるで何百回もやり直した人みたい」
ごまかすか、冗談にするか。どれを送っても、またやり直せる。だが次のメッセージを見て、終わったのだと理解した。
「だから怖いんです」
何度やり直してもそこから進む事ができない。
画面には、今でもその同じメッセージが表示され続けている。
▼続く
