見出し画像

『今際の国のアリス』シーズン1の圧倒的クオリティと、その影―腐臭・武器・聖痕・心理

今際の国のアリスのシーズン1の8エピソードを観たので、感想を書きます。原作読まずドラマだけを視聴したので、原作に書いてあることを不勉強な可能性があります。

シーズン1 エピソード1はこちら→ https://www.netflix.com/watch/81035908


結論

凄く面白い完成度、心理劇は少し気になる、武器の扱いは映像的リアリズム表現であり現実と違いそう、あとご遺体の腐臭の扱いが気になった、という感じです。

不満があるのではなく、ドラマ化したチームが予算や納期などの制約の中で優先順位を判断されたのだと思います。

お願い

ネタバレを含むかもしれません。これからご覧になられる方は、念の為自衛をお願いいたします。

気になった点

ある場所でのご遺体の扱いに関して

アリスが、ある組織で、裏切り者として処刑されたご遺体の山を見て、口と鼻を抑える場面があります。ショックを受け、叫んだり嘔吐することを防ごうと口をおさえたのかもしれないけれど、異臭・腐臭から鼻をおさえたのであれば(手で口元を覆ったから)、ゾンビみたいに変色して肌の色が変わっていても、人の形を保っており、ハエやウジは確認できないため、腐乱していないと思います。ここは、映像表現の限界か、そこまでこだわらなくてOKという判断かと思います。

友達を失う場面は、全身を表現した場面もあるけれど、友達の手など部分を描き想像させる演出でした。個人的には、上記シーンも想像させるよう、ご遺体の山自体もより情報を絞る方が作品の没入感が上がると感じました。

武器に関して

打撃系の格闘技経験のある方は、もっと細かく見ていると思います。まず、日本刀は切ったり刺したりするのは技術がいるので、作品の中の現実世界で訓練を受けていない(回想シーンでは、引きこもり、過激な思想に陥る様子があるだけ)入れ墨の男が、片手で抜刀するのは無茶があると思いました。

銃は映像的な説得力として正しいと思います。ただ、訓練を受けていない人々の命中精度が高すぎて、一撃で被害者の命を奪えるのは、銃の扱いが強すぎないか気になりました。

例えば、建物の屋上から動いている(走っている)人々の頭を一撃で(無駄玉の表現が無かった)狙撃しています。標的として小さいし、動いているから、撃ってから当てるまで「移動する誤差」を予想して撃つ必要があるので、プロのスナイパーでも難しいはずです。訓練を受けていないはずだから、気になります。

聖痕としての喪失

アリスはニートの設定です。FPSをしている場面と、ゲームに詳しいことはわかります。動体視力が高く、映像記憶的に、細部を思い出す力は理解出来ます。反面、原作にあると思うけど、彼が何に挫折し大学を中退し、ニートになったのかは、彼を理解出来ない父と弟が出てくる以外ヒントがありません。アリスの葛藤や生きにくさなど、彼を突き動かす「何か」は描かれず(原作にはあるのかも)、視聴者がアリスに感情移入しやすく解釈の余地を残しています。

異世界で追い込まれなくても、現実で追い込まれたら、能力を発揮できる青年に思います。また、高校時代の友人と関係性が切れないでいることも不思議です。

そんなアリスが、あるゲームで、一人しか生き残れないと理解した友人達が犠牲を受け入れアリスが生き残り、衝撃で生きる気力を失い、ウサギに助けられ友人の敵討ちをする・黒幕を見つけると再起します。これは物語の構造としてイニシエーションであり、試練を乗り越え「聖痕」を負って、主人公が覚醒することに分類出来るでしょう。

気になるのはエピソード8で某キャラに対してアリスが推理し、「オレもダチを見殺しにしたから分かる。その目はダチを殺した目だ」と指摘する場面があります。結果的に正しいのですが、アリスはゲーマーとして一流かもしれないけれど、ドットやポリゴンではない、血の通った人間の目からこれほど情報を読み取れる根拠がわかりません。警察・検事・裁判官は、「その目は」と言わないはずです。

ここはドラマの表現と説得力のため、脚本で、アリスの推論を簡潔にしたのかもしれません。ドラマとして楽しめますが、あれだけ考えられるのだから、より確かな根拠で論を組み立てる方がアリスの能力に向いています。反面、それでは特殊な訓練を必要とするから、直感でゆさぶりをかけることが必要なのかも。演出はリアルであることは手段で、目的ではないから。

素晴らしいこと

映像表現。質感もアングルも極めて洗練されています。おそらく色温度なども。圧倒的なリアリティ。気になったことは、クオリティが低ければ、予算の限界かな? と、気にしなかったと思う。

「アグニ」「ボーシヤ」「チシヤ」など、重要人物の描写の違い。終盤で、少し気になる点はあるけれど、カルト的な組織の崩壊として理解できるし、抽象的な超展開にはならずに物語を描いたと感じました。

腕力ではなく、考える力で極限状態を乗り切るヒーローであること。着眼点や短時間で結果を出せることなど資質に恵まれていますが、高度な観察と推論の範囲で理解でき、超能力は与えずに物語を展開したことが凄い。

そして、「嘘」「暴力」「極限状態」はエンタメの映像作品のための都合ではなく、虚構の中で現実の構造(理不尽さ・不条理・生存条件)を、見れば分かる形に「変換」する装置として機能しています。それはおそらく原作の重要な装置でもあるでしょう。

シーズン2,3も楽しみです。


補足

PCのブラウザよりは、スマートテレビなどの方がストリーミングに最適化されているので、快適さが違います。プロジェクターがいい方、スマートTVがいい方(40インチは例で、4Kではないです。その代わりお手頃)、Fira TV Stickで4Kコンテンツを楽しみたい方など、状況や価値観で変わると思います。10/10までプライム感謝祭なので、ブラウザやタブレット以外も試してみたい方は、チャンスだかもですね。

この記事を書いた人

部活動

現在のこのnoteのメインコンテンツ



いいなと思ったら応援しよう!

三澤直己 | カラストラガラ / Trgr | フォロバ100% ここまでお読み下さり感謝。各種SNSでのシェアも励みになります。非営利の取り組みが多いため、チップのご検討、助かります。

この記事が参加している募集