核軍拡の時代に逆戻りするのか?(IISSの記事)
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今回紹介する記事は、英国国際戦略研究所(IISS)が2025年11月5日に発表した、中国やロシアによる核軍拡とアメリカの対欧に関するものである。内容は、エジプトがイスラエルからの天然ガス輸入量拡大に関する合意に調印したことを受け、エジプトのエネルギー事情や中東政治の状況を概観するものである。今後の安全保障環境を考える参考として、本記事の概要を紹介させていただく。
↓リンク先(A return to nuclear testing in an unstable age?)
https://www.iiss.org/online-analysis/online-analysis/2025/11/a-return-to-nuclear-testing-in-an-unstable-age/
1.本記事の内容について
・2025年10月30日、トランプ大統領は核兵器の実験を即時再開するよう国防総省に指示したと、トゥルースソーシャルに投稿したことにより、安全保障環境の不安定化を懸念する声が上がっている。21世紀に入って核実験を行った国は北朝鮮のみであり、これ以前は1998年のインドとパキスタン、1996年に中国とフランス、1990年にソ連が崩壊前に行っている。
・トランプ大統領の発言は、米中会談直後のことである。この会談において、2024年7月以降停止されていた台湾への武器輸出制限が議題に上がったが、アメリカ側は中国が幾何級数的に核兵器の軍拡を行っていることについて警戒しており、このような評価を背景として核実験が取り沙汰されていると見るべきなのである。2020年以降の国防総省の評価によると、2030年までには核弾頭が1000にまで拡大すると予測されている。これら増強された核兵器は大陸断弾道ミサイルに搭載される見込みであり、中国北部に約350基の新たなミサイル発射基地が建造中である。
・アメリカの戦略核兵器は2010年のSTART条約により大きく規制されており、核弾頭は1550までに設定されている。本条約は2026年2月に失効する見込みではあるが、ロシア側は少なくとも1年間は条約の制限を継続する意思を表明しており、アメリカもこの動きに追随すると見られている。ただ中露が接近する中、これら2つの核保有国に対峙するアメリカは、これまでとは異なる対応が必要になるのである。
・ロシアは2018年以降、核兵器の更新を推進しており、大陸間弾道ミサイルや巡航ミサイル、核システムを更新し、アメリカのミサイル防衛をかいくぐろうとしている。ブレヴェスニクやポセイドンなどの2つのシステムは冷戦期にはあり得なかったものであり、近年中国、インド、パキスタンなどにも配備されていることを考えても、核兵器を巡る状況は大きく変化している。
・トランプ1次政権時代にも核兵器の強化が検討されており、2020年の議会では1000万ドルの核実験評価に関する予算計上も審議されていたが、最終的には可決しなかった。アメリカがフルスペックでの核実験を再開することはなさそうだが、36か月以内に核実験を行う能力は保有し続けている。ただ実験がすべてではなく、コンピューターによるシミュレーションで補完することが可能であることから、この能力は抑止力として機能するだろう。
・近年は核兵器の核心が著しく、脅威がかつてなく高まっていると言える。トランプ大統領のSNSの発言は、この不透明な時代を象徴するものであり、核実験の再開で更に安全保障環境派不安定になり、米中露の核軍拡競争に拍車をかけるだろう。
2.本記事についての感想
核兵器というと日本にとっては縁遠い話のように思えるが、日本は核兵器を保有していないものの、中国、ロシア、北朝鮮という核保有国に囲まれており、アメリカの核シェアなくして国防はあり得ない状況であることから、核兵器を巡る状況は日本の安全保障に直結する問題である。
日本は特に保守界隈を中心として高市政権に熱狂しているが、世界の安全保障状況は緊迫しており、決して楽観できる状況ではない。矢継ぎ早に政策を推進する高市政権は頼もしいものの、岸田、石破政権で浪費した時間を取り戻すにはまだまだ足りていない。今回のような情報を得ることで、安全保障に対する意識を高めることが重要である。
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