短歌連作・小説『元社畜と養い主』

貴方は真面目すぎる人でした。心を病み会社を休み、社会から隔絶されたことにも落ち込んでいる様子でした。
「予定や行動記録のために携帯するノート」が手帳の定義なら、貴方が常に懐に入れていた長すぎる遺書は「手帳」なのでしょうね。
貴方は人に迷惑をかけまいとする人でした。
「手帳」には必要なことがすべて書いてあり、警察、家族、知人、誰の「手」も煩わせずに逝きました。
お土産にくれた有名な神社の御守り。
二人のハレの日にくれたボンボニエール。
一緒に住み始めた記念の揃いのマグカップ。
私はなぜか、いつも骨壷や骨覆を連想していました。
でも貴方とならいつか笑い話になる。
その折には美しい入れ物を贈りたい。
そう思っていたのに、貴方の贈り物に囲まれて今、一人美しい骨壷のカタログを読まされています。
最期の贈り物には貴方が入るのです。
<了>
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