売れないカフェの共通点。15年の経営で見えてきたこと
僕は15年、カフェを経営していました。
最初は兄弟3人で始めた、10坪の小さなお店。夢と勢いはありました。でも、3人分の給料を作ることができませんでした。
結果、僕と兄はそのお店を離れることになります。弟にお店を任せ、僕と兄はそれぞれ独立。僕が作ったのが、コーヒーとワッフルの26坪のお店です。
そこから11年。
長く続けてきた分、見えてきたことがあります。うまくいかないカフェには、驚くほど共通したパターンがある。
そして当時の僕も、そのほとんどに当てはまっていました。
これからお店を始める人に、僕みたいに遠回りをしてほしくない。だから、正直に書きます。
共通点 01
オーナーが疲弊する設計になっていた
長く続けられるお店と、続けられないお店。その差は、商品や集客だけではありません。
オーナー自身が疲弊しない設計になっているか、これも大事な要素だと思っています。
最初の10坪のお店では、キッチンとお客さんの間をカウンター一枚で区切っていました。お客さんが座ると、常に見られている状態。隠れる場がありませんでした。
オープンからクローズまで約11時間、気を抜けない、座れない、休めない。
当時は「接客業だから仕方ない」と思っていました。でも今ならはっきり言えます。それは仕方ないのではなく、設計の問題でした。
カフェは、続けることが一番難しい。
やる気がある最初の1年は、気合いで乗り越えられます。でも3年、5年、10年と続けるためには、オーナー自身が無理なく働ける環境が必要です。
自分が毎日、気持ちよく立てる場所になっているか。無理をしなくても回るオペレーションになっているか。
お店はお客さんのためだけでなく、自分のためでもあります。長く続けることが、一番の経営戦略だと思っています。
共通点 02
「おいしければ売れる」と思っていた
開業前、僕たちはコーヒーに本気でこだわっていました。
自家焙煎。新鮮な豆。そして、他には真似できないオリジナルブレンド。
「これだけのコーヒーを出せば、お客さんは来てくれる。」
そう信じていました。
でも正直に言うと、それが「みんなにとっておいしいか」は、自分でもわかっていませんでした。こだわっていたのは確かです。でも、それがお客さんに刺さるかどうかは、別の話でした。
オープンして、1〜2週間で気づきました。
お客さんが来ない。
味の問題ではない、と感じました。もっと根本的なことでした。
お客さんが、うちのお店で買う理由が弱かった。
近くに別のカフェがあれば、そちらに行く。わざわざ来てもらえるだけの「理由」が、まだ足りていなかった。
おいしいコーヒーは、最低条件です。でも、それだけでは選ばれない。
これからお店を始める人には、早めに考えてほしいことがあります。
「なぜ、お客さんはあなたのお店を選ぶのか。」
開業前に、この問いに答えられるかどうか。それだけで、ずいぶん変わると思います。
ちなみに「あのスターバックスでさえ、売っているのはコーヒーではなく"場所"だと言っています」
共通点 03
メニューが多すぎた
開業当初、2店舗目はコーヒーとワッフル、そしてケーキのお店でした。
品数が多い方が、お客さんに喜んでもらえると思っていました。でも実際は、増やした分だけ、負担も増えていきました。
材料の仕入れは、それぞれ別々に必要です。ワッフルの材料、ケーキの材料、管理するものが単純に倍になる。担当するスタッフも変わるので、人件費もかかる。
売上も、思っていたようにはいきませんでした。ワッフルとケーキを両方購入するお客さんは少なく、どちらかが残ってしまう日が続きました。
売れ残りは、そのままロスになります。
しばらくして、ケーキをやめました。コーヒーとワッフルに絞る決断をしました。
正直、勇気がいりました。でも、絞ってから運営はシンプルになり、看板商品が明確になりました。
メニューを増やすことは、お客さんへのサービスのように見えて、実は経営を複雑にすることでもあります。
開業するなら、最初から絞ることをおすすめします。増やすのは、後からでもできます。
共通点 04
目標売上と、生産量を一緒に考えていなかった
「もっと売りたい」と思うのは当然です。でも、売れたとして、作れますか?作り続けられますか?
これを開業前に真剣に考えていた人は、意外と少ないと思います。
最初の10坪のお店では、1kgの焙煎機でコーヒー豆を焼いていました。需要が増えるたびに、何度も何度も焙煎する必要がありました。設備の限界が、売上の限界でもあった。
2店舗目では、ワッフルを看板商品にしていました。1日に作れる限界は、約600個です。
600個売れたら、もちろん嬉しい。でも毎日600個を作り続けたら、どうなるか。体が持たない。スタッフも持たない。クタクタになって、長く続けられない。
「売れれば売れるほどいい」は、半分本当で、半分落とし穴です。
目標売上を決めたら、そこから逆算してほしいことがあります。その売上を達成するために、1日何個作る必要があるか。それを毎日続けられるオペレーションになっているか。
売上の夢と、現場の現実を、開業前にセットで考える。それだけで、長く続けられるお店に近づくと思います。
共通点 05
集客の仕組みを作っていなかった
最初のお店をオープンしたのは、2008年のことです。
当時の集客といえば、ブログとチラシ。できる範囲でやっていました。でも、正直なところ、効果は薄かったです。
今思えば、「宣伝した」ことと「お客さんが来る仕組みを作った」ことは、まったく別の話でした。チラシは撒いて終わり。ブログは書いて終わり。そこからお店に来てもらうまでの「導線」が、弱かった。
あれから15年近く経ちました。
2店舗目では、InstagramとLINE公式アカウントをよく使っていました。Instagramでお店の雰囲気や商品を発信して、新規のお客さんに知ってもらう。LINE公式では、来てくれたお客さんに登録してもらい、キャンペーンや新メニューの情報をお知らせする。
Instagramは「新しい人に知ってもらう」ためのツール。LINEは「また来てもらう」ためのツール。両方あって、はじめて仕組みになる。
ツールがあるのに、使わないのはもったいない。お客さんは、来たくても「知らなければ来られない」のです。開業前から、どうやってお客さんに来てもらうかを、具体的に考えておいてほしいと思います。
共通点 06
リピーターが来る仕組みを作っていなかった
「また来たい」と思ってもらうことと、「また来る」ことは、別の話です。
お客さんは忙しい。来たくても、きっかけがなければ足が向かない。だから、店側から「来る理由」を作り続ける必要があります。
ポイントカードも悪くはないですが、正直、弱いと思っています。財布の中に埋もれて、貯まる前に来なくなる。それだけでリピーターを作るのは難しい。
2店舗目で、これが効いた、と感じた方法があります。
LINE公式アカウントで、11時半頃に焼きたてパンの動画を送ったことがありました。
ねらいはシンプルです。お昼前でお腹が空いている時間帯に、焼きたてのパンが画面に届く。見た瞬間に、食べたくなる。
LINEはダイレクトメッセージなので、その時間帯に実際に見てくれる人が多い。結果、その日はたくさんのお客さんが来てくれました。
いつ、どんな気持ちのお客さんに、どんな情報を届けるか。それを考えるだけで、来店の数は変わります。
「いい商品を用意して待つ」だけでは、もったいない。
まとめ
知っていれば、防げる失敗がある
今回紹介した共通点は、すべて僕自身が経験したことです。
センスがなかったわけでも、努力が足りなかったわけでもありません。ただ、知らなかっただけ。
26坪のお店は、売上も悪くありませんでした。それでも開業当初は、たくさんの遠回りをしました。もし最初から知っていれば、もっと早く、もっと楽に、ここまで来られたと思っています。
僕が26坪のお店を閉めたのは、売上が理由ではありません。社会人になってからずっと飲食店一筋でやってきた。だから一度、別の世界も経験してみたかった。そういう理由でした。
そして今、また新しいお店を開こうとしています。
次は、この15年で学んだことを全部活かします。同じ失敗はしない。もっと長く、もっと自分らしく続けられるお店を作りたいと思っています。
これからカフェの開業を考えているあなたへ。
失敗は、知っていれば防げるものがあります。
この記事が、あなたの開業の一歩を少しだけ楽にできたなら、嬉しいです。
