徳川美術館「国宝 源氏物語絵巻」展が3週間である理由
「国宝 源氏物語絵巻」展がはじまり、
最初の休館日となった2025年11月17日、
徳川美術館では開館90周年記念式典が行われました。
式典に出席されたご来賓の方々から、
数多くのご質問をいただきました。
そのなかに、
「なぜ「国宝源氏物語絵巻」は3週間しか展示しないの?」
とのご質問がありました。
せっかくなので、この場で
お答えを共有したいと思います。
なぜ3週間だけなのか?
― なぜ「国宝源氏物語絵巻」は3週間しか展示しないの?
― 混雑するんだったら、会期延長とかないの?
そうですよね。
来観者が多いなら、
会期を長くすればいい。
より多くの方に
落ち着いてご覧いただけるはずです。
ですが、
どれほど徳川美術館側が希望したとしても、
会期を延ばすことはできないんです。
国宝・重要文化財に指定された作品については
将来にわたって確実に保存するために
文化庁が明確な公開基準を定めています。
主な規定はこんな感じ。
① 公開回数は原則として年間2回以内、
公開日数は延べ60日以内。
② 上記より褪色・劣化の危険性が高いものは
延べ30日以内。
③ 展示の際の照度は原則として150ルクス以下。
つまり今回の展示約3週間が、
徳川美術館所蔵の「国宝源氏物語絵巻」に適用される公開可能日数の最大値なのです。
人が集まるから、見たい人がいるからと
安易に会期を延長することはできないのです。
今年は他館でも展示不可
今回の公開で、
徳川美術館所蔵の「国宝源氏物語絵巻」の
公開日数はすべて使い切ることになります。
同様に、五島美術館所蔵分も
本展のために公開日数を消費しています。
そのため五島美術館では、
自館の所蔵品であるにも関わらず、
今年は一切展示ができないのです。
さらに他館で開催される展覧会にも
出品することができません。
展覧会シーズン、
日本各地で多くの展覧会企画が行われていますが、早くからお申し入れいただいても、
日数制限により応じられないことも
少なくありません。
何年も前から
どの展示にどれだけ公開するのか
調整がつづきます。
そして場合によっては
一週間のみの公開という形に
なってしまうのです。
なぜ10年に一度なのか?
このようなことから
徳川美術館では「国宝源氏物語絵巻」全巻展示を10年に一度と定めています。
西暦でいえば末尾が「5」の年、
すなわち当館の開館周年と重なる年にのみ
実施する形になっています。
ちなみに徳川美術館の名品として知られる
国宝「初音の調度」も
同じ規定の下にあるので、
通常は第五展示室に
一点ずつ展示していますが、
今年はすでに全点公開を行なったので
以降は展示出来なくなっています。
いつご来館いただいても「初音の調度」の一点を見られるようにするか、
一度にまとめてご覧いただくか
その二択を迫られているのです。
このような理由で
徳川美術館の「国宝源氏物語絵巻」展は
10年に一度、そして3週間のみの開催となっています。
平日のほうが比較的ゆったり
ご覧いただけるようです。
10年に一度の特別な機会を、
ぜひお楽しみください。
尾張徳川家三代が揃いました
開館90周年記念式典の会場には
尾張徳川家の現当主(館長)、
次代当主、そのご子息の三代が揃いました。
徳川美術館では「初揃い」でした。
式典前に舞台の上で内々に
三代揃いの写真を撮影しましたが
感慨深い瞬間でした。
昭和10年(1935)11月10日の開館から90年、
そして、初代義直が名古屋城に入ってから来年で410年。
徳川美術館、そして尾張徳川家は
これからも歩み続けていきます。
引き続き、ご支援いただきたく、
よろしくお願い申し上げます。
先に書きました「国宝源氏物語絵巻」の記事はこちら。多くの方にお読みいただいているようです。心より御礼申し上げます。
こちらも追加してみました。待ち時間専用、ながながバージョンです。
