面白い造りの鉄鐔
ふと面白い構造をしていた鐔のことを思い出したのでメモを残しておきます。この鐔を拝見したのは約2か月ほど前の日刀保山梨県支部で、古拵がテーマの鑑賞会時。
江戸時代頃の拵に掛けられており、形状は竹ひごを編んだようなデザインの鉄鐔。驚くはその作り込み。




透かしは耳からも開けられており、これにより鐔の中に「空洞感」を感じる造りになっている。

しかし恐らく面側に配された透かしは、隣同士で透かし穴が繋がっておらず表裏でただ貫通しているだけに思われる。またここを繋げるのは耳側を除いて構造的にも恐らく出来ないのではないだろうか。
以下の写真で言えば、緑の位置から鏨で穴はあけられるが、赤の位置からは穴を開けるのは難しい。穴を開ける過程で歪んでしまいそうでもある。
しかしこの鐔を見ていると赤の部分も穴が開いているように錯覚する出来で、一見出来ないものを出来たように見せる技法は工夫が感じられて素晴らしいなと。


この鐔が型を用いられて作られた鋳物なのかそれとも鍛造により作られているのか。判断はなかなか難しいが構造的には両方作る事は出来そうでもある。
例えば鋳物であれば透かし部も含めて型で作り、最後表裏の細かな凹凸や耳からの透かしのみて手加工で行えば作れるはず。
鍛造であれば1枚の丸板を鍛錬して作り、そこに鏨で1つ1つ透かしを開けて模様を入れていくという気の遠くなるような作業をすることになる。
見た感じあまり鋳物という印象はなく、そう考えると鍛造で1点1点穴を開け、表面の竹ひごを編んだような意匠を鏨で作り上げたとでもいうのか?
だとしたらこの鐔の制作に一体どれだけの時間が掛かっているのだろう…。そんなことを考えながらこの鐔を見ているとなんだかとても凄い物に見えてくるのでした。
まぁしかし現代鐔工の故・成木一成氏も以下のような細かい意匠を鉄地で再現していますし、上手い方は鉄地でも意外にぱぱっと作ってしまうのでしょうか。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

