つぶやき ~「幻」と「幼」ってなんで「糸」?~
ふと、目にした文章や事象を反芻している。そんなつぶやき。
前回のつぶやきはこちら。
「幻」という漢字の部首
「幻」という漢字。この漢字の部首は左の「いとがしら」です。待って、どこに糸要素があるのでしょうか。ここで「幻」の漢字の意味を調べてみました。
1. まぼろし。実在しないものが目に見えること。
2. いつわる。人の目をくらます。人をまどわす。
待って、調べても糸要素が感じられません。皆さん知っての通りの意味だと思います。もしかしたら私が思う「いとがしら」、深い意味があるのかもしれない。とても気になりました。
そこで一つ仮説を立ててみることに。
糸はほつれる。幻も同じようにほつれるように儚い。だからいとへん?
幻は現実ではなく実在しない、儚いもの。それを糸のほつれる様から想像したのでしょうか。
「幼」もいとがしら、あれ?
そんな仮説を立てたあと、「いとがしら」が使われている他の漢字も思い出しました。それは
幼
「幼い」や「幼児」などよく子供っぽいみたいな表現に使われる傾向があるこの漢字。あれ、別にこれ儚くないな。ほつれたら困るなこれ、そう思いました。早速、この漢字の意味を調べてみることに。
おさない。いとけない。また、おさなご。
いやそうですよね、やはり。ここで古文の和歌を思い出しました。
玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ぶることの よわりもぞする
我が命よ 絶えてしまうのなら絶えてしまえ。
このまま生きながらえると、耐え忍ぶ心が弱ってしまうから。
百人一首にも選出されているこの和歌。
この和歌の「玉の緒」を思い出して、ピンと浮かんだのです。
「玉の緒」は古文では「魂を体に繋いでおく緒」という意味で使われており、「絶え」「ながらへ」「よわり」が縁語として「緒」の状態を表しています。
私の恋心がバレてしまうくらいならば…恋心を忍んでいる間に、自分の命よ絶えてくれというなんとも激情溢れる和歌です。
ここから、私は「玉の緒」に着目しました。命を繋いでおく緒…それなりに太くなくては繋いでおけません。この緒は糸の集合体。糸一本だと弱い…そうです。
「緒」は「いとへん」
「幻」や「幼」は「いとがしら」
「いとがしら」のつく漢字は「いとへん」よりも儚くて弱い?
命をつなぐ緒は糸一本だと弱い…幼い子はか弱い…幻は儚い…イメージ的にいとがしらだと「弱い、儚い」意味があるのかもしれません。
「いとがしら」の意味
自分なりの仮説もぼんやり立ったので、いざ「いとがしら」について調べてみることに。

このいとがしらの由来は「象形文字」。糸の先端を表すことから、「小さい」「幼い」を表すようになったそう。幺は幼の原字だそうです。
原字とは、異体字の種類を表すこと。
異体字とは、標準の字体とは異なるが意味・発音が同じで通用できること。
そして幺を元にして「小さい」や「微か」という意味の漢字が作られているそうです。糸の先端はあるかないか、薄くて微かであることからこのような意味があるそうです。
あくまで、この漢字を作った人本人の意見でないため、一説として考えるほうが面白いです。
なんで幺?という問いの答え
そもそも、幺は「糸」ではなくて「糸の先端」という考え方でした。仮説のプロセスは異なるものの、すこし正解にかすってはいたのだなと。
「幼」はそもそも原字が幺であり、幺そのものに幼いという意味がありました。また、「幻」は幺がもつ「糸の先端のあるかないかという存在」として「実在しないもの、目に見えないもの」という意味を成すことができた、という結果でした。
漢字の部首一つでも、こんなに考えることができますね。
私の頭の中は、毎日こんなつぶやきばかりです。
頭の中で考えることって、しょうもないこと一つもないと思っています。
意味をつけるのは、結局自分なので。
考えることは、とてもたのしいです。
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