【日々の政治解説17】高市首相のX投稿は「行政文書に該当しない」へのモヤモヤ
モヤモヤが消えないので、少し整理したい。
朝日新聞が7月7日に配信した、高市早苗首相のX(旧ツイッター)に関する記事についてである。記事の前文にはこう書かれている。
高市早苗首相が、自らの活動や政府見解について、X(旧ツイッター)での発信を増やしている。ただ個人のアカウントのため、投稿は公文書管理の対象外になる。アカウントや投稿を削除する場合のルールもなく、専門家は「首相による国民への発信は行政上の重要な記録だ」として、整理が必要だと指摘する。
朝日新聞の記事が投じた一石
高市氏が記者会見やぶら下がり取材に応じず、一方的にXで情報発信することのおかしさは、このnoteでも以前から指摘してきた。
高市氏は過去、公式サイト上で政治信条や政策などを記していた「コラム」をすべて削除した経緯がある。
将来、Xの投稿についても同じことが起きないとは言い切れない。だからこそ、首相の発信をどう記録として残すのかという問題を提起したこの記事には、大きな意義があると思う。
「行政文書ではない」という説明への疑問
ただ、7月7日の朝日新聞の記事では、一つ気になった記述があった。
「首相官邸の事務を担う内閣総務官室は『首相のXは、高市早苗衆院議員の事務所が運用するアカウント。内閣官房の運用ではなく、行政文書に該当しない』と説明する」
内閣総務官室はそう説明するが、果たしてそこまで言い切れるのだろうか。筆者には疑問が残る。
内閣法制局と争った「想定問答」の経験
そう考える理由がある。筆者はかつて、「行政文書に当たるかどうか」をめぐって、内閣法制局と争った経験があるからだ。
集団的自衛権の行使容認をめぐり、内閣法制局が国会答弁用に作成した「想定問答」について、筆者は情報公開法に基づき開示を請求した。しかし法制局は、「行政文書には当たらない」として不開示を決定した。
法制局の説明は、想定問答は答弁案のたたき台にすぎず、「完成しておらず、組織的に用いる文書ではない」というものだった。
納得できなかった筆者は、総務省の情報公開・個人情報保護審査会に不服を申し立てた。
審議の結果、想定問答は決裁手続きが進められ、法制局内で組織的に利用されていたと認定し、審査会は「行政文書」に当たると判断した。そして、「長官の最終決裁前だから行政文書ではない」「不採用になれば行政文書ではなくなる」とする法制局の説明を退け、開示を求める答申を出した。
その結果、法制局は想定問答の文書を開示した。
「組織的利用」があれば行政文書になり得る
この答申が重要なのは、「行政文書かどうか」は最終決裁の有無だけで決まるものではないという考え方を示した点にある。行政機関の内部で組織的に利用されていたのであれば、意思形成の途中段階の文書であっても行政文書となり得ることを明確にしたのである。
この点を踏まえると、今回の高市首相のXについても、「個人アカウントだから行政文書ではない」という内閣総務官室の説明だけで、問題が尽くされているとは言えないように思える。その理由を考えていきたい。
投稿文の作成プロセスに官邸は関与しているか
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