【後編】「-14LUFS」という“縛り”を辞めた理由【サウンドクリエイターの小話】
こんにちは!サウンドクリエイターのKawです!
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私は作曲家、サウンドクリエイターを生業とする傍ら、オンラインによるDTMレッスン教室【かわべの音楽工房】を運営し、DTM講師としても活動しております。
私のプロフィールも含め、【かわべの音楽工房】オンラインDTMレッスン
につきましては、下記の記事をご覧いただけますと幸いです。
さて、前回に引き続き今回もまたDTMに関するお話を書かせていただきましょうか。
前回の記事では「私が今まで-14LUFSでマスタリングをしていた理由」についてのお話をさせていただきました。
その理由としては、主に音楽販売サービスへの登録用の楽曲である為であったわけですが、最近は「もうそんな事しなくて良くない?」と感じたんですよね。
では、それは何故なのか?
今回の記事ではその理由についてご説明してみようと思います。
ぜひぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。
【前回の記事はこちらから】
どうして今は-14LUFSを辞めたのか
それでは早速本題に入って行きましょう。
先に触れたように、前回の記事では私がマスタリングで-14LUFSに調整してきた理由について軽くお話してきましたが、ここからが後編です。
では、「どうして今は-14LUFSを辞めたのか」という事についてその理由をお話させていただきましょうか。
理由その①
先ずはその理由①について。
それは「それってそもそも音楽としてどうなの?」と感じた事です。
これは、予てから懸念していたことでもあるのですが、-14LUFSで調整していた理由の一つに、音楽販売サービスの存在があるというお話は、前回の記事でご紹介した通りです。
その音楽販売サービスのユーザー、つまり購入者の方々の主な使用用途がYouTube動画での使用が多い(と言われている)との事なので、それなら予めこちらで登録・販売する段階から、YouTubeの仕様に合わせ-14LUFSとしておこう、といった魂胆でした。
ただし、制作した楽曲どれもこれもLUFSの数値を均一にさせようとしてくると、曲によってはどうしても“無理”が生じてきてしまうんですよね。
例えば、前半がとても静かで、後半は大きな音量で盛り上がるオーケストラ曲を-14LUFSに調整しようとしてみるとします。
こういった場合、前半はそもそもの音量が小さいわけですから、どうしても音量が大きくなる後半で音圧を稼ぐ必要が出てきますよね。
そうすると、後半は過剰にリミッターが掛かったようなパツパツなサウンドとなってしまい、息苦しさを感じてしまうことになります。
かといって、静かな前半の音量を上げてしまう事になると、それはそれでせっかくのダイナミクスの変化による表現効果が薄れてしまいますよね。
私の場合、近年は比較的上記の例のような楽曲を制作する機会が増えていますので、これまでは多少の犠牲は考慮しつつ何とか-14LUFSに添えるよう調整してきましたが、それではむしろその楽曲の表現を潰してしまっているように感じる事が多くなってきました。
「そこまでして-14LUFSに合わせる必要があるか?」という事を感じてきたわけですね。
理由その②
では次はその理由②をお話しましょう。
それは「-14LUFSは本当にユーザー(購入者)にとって親切か?」といった疑問を感じた事です。
先ほどの項目でもお話した通りですが、私が-14LUFSに調整した理由としては、音楽販売サービスにて楽曲を登録・販売するのであれば、そのユーザーの使用用途として最も多い(と言われている)YouTubeの仕様に合わせて登録しておけば、購入者にとって親切だろう、という思いによるものであったというのは前回の記事でもお話させていただきました。
ですが「それって本当に親切なのか?」と疑問に感じてきたんですよね。
販売されている楽曲を購入し、自身の制作する動画などへ落とし込む作業の中では、その楽曲の音量は固定されているとは限りませんよね。
音声がBGMだけの動画ならいざ知らず、一般的に目にする動画であれば、他にも音声は入ってきますし、各々の音量も調整される事が普通でしょう。
ましてや、テレビCMや広告動画などでは、編集による音量変化が特に顕著だと感じています。
上限ギリギリまでBGMの音量(音圧)を大きくしつつ、ナレーションが入ればとたんにBGMの音量は引っ込む。
そのような調整となっているCMや広告動画は決して珍しくありませんよね。
上記はあくまで極端な例ではありますが、このようにそもそもその楽曲を制作するこちら側で-14LUFSとしておくメリットはあまりないのではないか?と感じてきたんですよね。
そして、同時にそれは「別にユーザー(購入者)にとって特に親切でもないんじゃないのか?」と思い至ったわけです。
実際に、私が販売させていただいているものをテレビでご使用いただけたりしているようなんですが、ネット動画の場合とは打って変わり、テレビでの使用であればもはや-14LUFSに調整した恩恵などほぼないのではないでしょうかね?
また、そういった考えで現在では-14LUFSに揃えるという事は辞め、その楽曲各々に合った数値でマスタリングをし、販売サービスへ登録・販売するようになったんですが、それによる売り上げの変化はあったのかというと、特になかったんですよね。
この事からも、-14LUFSに調整しておく事がユーザー(購入者)にとって親切となるだろうという考えは、私が勝手にそう思っていただけで、実際にはそうだろうとそうでなかろうと、多くのユーザーにとってそれは特に関係がないだろう、という事が判明したわけなんですね。
理由その③
さて、次はその理由③です。
それは「楽曲が配信されているサービスはひとつではないのに-14LUFSにする必要があるのか?」という点ですね。
こちらも前回の記事で、これまで私が-14LUFSとしていた理由の一つとして、各種音楽配信サービスにて私の楽曲が配信される事を見越して、という狙いがあっての事だというお話をさせていただきました。
音楽販売サービスにて販売している楽曲の中から申請し採用となれば、同サービスのコンピレーションアルバムとして収録され、各種音楽配信サービスにて楽曲を配信してもらう事もできますので、私はそういった形で楽曲を配信させていただいているわけですが、だからこそ本当に-14LUFSに統一する理由があるのか?という疑問を感じるようになってきたんですよね。
-14LUFSが主流であるとはいえ、実際には音楽配信サービスはいくつもあるわけですからね。
因みに、手元の資料を基に同販売サービスのコンピレーションアルバムを配信している各配信サービスのラウドネスノーマライゼーション値を確認してみると、やはり-14LUFS以外の数値のサービスもある事が判明しました。
尚且つ、少なくともコンピレーションアルバムでの配信の場合では、その配信先であるサービスをこちらで選択する事はできませんので、予めそれぞれの配信サービスに沿ったLUFSへ調整する事も事実上は不可能だと言えます。
これらの事からも、理由①のように多少なりとも表現効果を犠牲にしてまで配信サービスの為だけに-14LUFSに調整しても、それすら大したメリットすらもないのではないか?と感じたわけですね。
後編の最後に
さて、今回は「私が-14LUFSを辞めた理由」について、その主な三つの理由をそれぞれお話させていただきました。
前回の記事でお話させていただいたように「-14LUFSにしていた理由」というのも、それなりにわけがあってそうしていたのですが、とは言え結局それらは大して功を奏していなかったという事になりますね。
幸いな事に、今回のお話で重要になっている音楽販売サービスに於ける楽曲の売り上げは、LUFSの数値に関わらず特に多くな変化はなく、相変わらずお買い上げいただけ続けているようですので、ここに影響が表れなかったのは助かりました。
ただし、制作のご依頼に於いては納品データのラウドネス値を予め指定される場合ありますので、またそういったシチュエーションに遭遇した時の為にも、日常的に「狙ったLUFSに揃えれる技術」はこれからも継続して練習し続けて行こうかな、とも感じていますね。
また、前回・今回と書かせていただいた記事の内容はあくまで私個人の意見ではありますので、そこはあしからず。
とは言え、今回の記事をお読みいただいたDTMerの方にとって、何かしらの参考にでもなっていましたら幸いです。
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