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二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第七話 奇襲(3-4)

「あら、ミレーネがいくら王座はいらないと言ったって、そんなに簡単に私に転がりこんでくるものじゃないのよ。私のものだった王座があなたの誕生で遠のいたとき、手のひらを反したような人々の態度や陰口を見聞きして、私がどんなに屈辱を味わったか。絶対に忘れない。あなたがた全員を滅して、私は無罪の身でこの部屋を出るわ」

 気が触れたようにメルシアが高笑いをするのに耐えきれなくなった魔術師の一人が、有罪だと叫んだ。
「こんな審議は無駄だ! 審議の書に私は有罪と書いてサインする」
「私も有罪に賛成だ。こんな女に殺されてたまるか。大魔術師ハリアー、早く採決を!」
「有罪にすれば、この女の魔力は魔法陣に吸い取られて、王妃さまにかかった呪いも解けるはずだ」

 メルシアがハリアーに向き直り、薄ら笑いを浮かべた。
「王国の栄誉ある魔術審議官たちが、聞いて呆れるわ。大先生、あなたはどうする気?」
 魔術審議官の統率者の立場からいえば、審議の途中で感情的になり、有罪に直結する採決はできないと否定するべきだった。だが、深く眉間に皺を寄せたハリアーは答えた。採決を取りましょうと。

「あなたの身分が高かろうと、私の教え子だろうと、あなたが犯してきた罪と、これから犯そうとする殺人を見過ごすことはできません。みなも同意見でしょう」

 魔術師たちが、そうだと叫ぶ。激昂する魔術師たちの陰から、ミレーネはそっとメルシアを観察していた。
―――有罪になるというのに、あの余裕は何? わざと魔術師たちを怒らせて有罪にもっていこうとしているみたい。
 もし、魔術師たちが審議の書に有罪だと証明するサインをしたところで、メルシアが無実を願えば薬の効果が発揮されて無実になってしまう。でも、メルシアが願っていいのは同じ願いだけ。でなければ薬の持つ魔術が効かなくなるから。―――思い出すのよ。メルシアが授業の前にご馳走してくれたケーキを食べるとき、私は何を思いながら食べた?
 確かメルシアは、授業に気乗りしない私を励ましてくれた。

『次が魔術の授業だからって、そんなに落ち込まないの。これを食べれば元気が出るわ。魔術量が増えますようにと心から願ってごらんなさい。きっと今日こそはうまくいくわ』
―――そう、私は願った。魔術量が増えて、魔法がうまく使えますようにと。
 医術薬が入ったケーキを食べながら願ったのに、実際には魔術量は減り、魔法は失敗ばかり。
 昨日シュガーケーキを食べたときは、魔術のことを願わなかった。だからなのか、今日はハリアー大魔術師が魔法を使うときに光の粒子が見えたように感じた。 

―――そうだ、あれが願ったことになるのかも。
 メルシアが母と私のことを思って、有名な魔導士に「幸運のお守り」を作らせたと聞いて感謝を抱き、お守りには自分のことではなく、メルシアの幸運を祈ろうと思ったのだ。祈る文句を真剣に考えながら、そうなればいいと強く願っていた気がする。
『メルシアが幸せになりますように。彼女が頑張った分の良い評価を人々から得て、誰よりも幸せになりますように!』
 ミレーネは、魔法陣の中に囚われているメルシアを見ながら混乱した。
―――これはいったいどういうこと? メルシアは良い評価を得るどころか罵倒されて、犯罪者として裁かれようとしているわ。医術薬が不良品なのかしら? 


次のお話をお楽しみください(*´▽`*)
二人のプリンセス 愛と憎しみの魔法 第七話 奇襲(4-4)|風帆美千琉 (note.com)

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