優秀そうに見えた人が、実はボトルネックになっていた
プロジェクトを進めていると、ときどき不思議な感覚に出会います。
「この人、すごく優秀そうなのに、なぜかプロジェクトが前に進まない」
調べる力があり、ロジックも通っている。
リスクにも敏感で、指摘も的確に見える。
それなのに、会議は長引き、判断は先送りされ、
気づけば“時間だけが溶けていく”。
今日は、そんな違和感について整理してみたいと思います。
ある出来事
以前、こんな場面がありました。
顧客から提示されたWebページの内容について、
ソフトウェア開発者の方が強い違和感を持ち、
その表現の妥当性や法的根拠まで徹底的に調べ始めたのです。
一見すると、とても真面目で責任感のある行動に見えます。
ただ、その内容は
実装仕様に直接関係するものではなく、
本分(=本来の役割)でもなく、
法務レビューとして正式に依頼されているわけでもないものでした。
結果として何が起きたかというと、単純なことです。
その件でプロジェクトの進捗が2~3週間止まりました。
議論は深まりましたが、前には進まなかった。
そして、確実に「時間」は失われました。
なぜ違和感が残ったのか
問題は「指摘したこと」そのものではありません。
違和感の正体は、次の3点でした。
役割の越境
明らかに開発者の本分を超えた領域に踏み込んでいた判断権限の不在
正解を決める立場ではない人が、正解を探しにいった時間への無自覚
正しさを積み上げることで、前進が止まった
これは能力の問題ではありません。
プロジェクトの構造の問題です。
優秀そうに見えて、プロジェクトを詰まらせる
このタイプの人には、
「調べる力もある」「正論を言える」「リスクを言語化できる」
という力があります。
だから、とても優秀に見えるのですが、
プロジェクトで求められるのは、「推進をする技術」です。
どこを切り捨てるか
誰に判断を返すか
いつ前に進むか
正しさを足し算し続ける人は、
結果として誰も決められない状態を生みます。
これは「悪意」ではなく、「善意による煮詰まり」です。
プロジェクトで本当に価値になるもの
プロジェクトで評価されるのは、「正しさの総量」や「理論の美しさ」ではありません。
価値になるのは、
推進を止めないこと
求められた判断を素早く前に出すこと
進捗を保ち、期限を守ること
プロフェッショナルとは、すべてを正しくする人ではなく、
限られた時間の中で、「正しく切り捨てられる人」でもある必要があります。
誤解してほしくないのですが、
善意や責任感そのものを否定したいわけではないということです。
ただし、本分を外れた善意がプロジェクトの時間を奪うのであれば、
それはプロ意識ではなく、役割の逸脱です。
プロジェクトは、
「正しい人」が集まればうまくいくわけではありません。
「誰が、どこまで、いつ決めるか」
その設計があって、初めて前に進みます。
そして、その設計が正しく機能しているか
さらに、プロセスにおける違和感にPMが気づけることが、
プロジェクトを前に進める力なのだと思います。
今回は以上です。それではまた。
