【毎週ショートショートnote】お題:七夕の歩幅(404字)
田原にかさん主催の毎週ショートショートnoteに参加させて頂きます。
7月は恋愛月間らしく、お題は「七夕の歩幅」です。
縮んだ歩幅
母は歩くのがとても速かった。
両手に大きな買い物袋をぶら下げてもお構いなしだった。
幼い私は置いていかれないよう母に必死でついて行った。
ある年の七夕、母と商店街を歩いていた。
笹にたくさんの願い事が書かれた短冊がさげられていた。
私はゆっくりと短冊を見たかった。
でも、母は許してくれず、一気に買い物を済ませてあっという間に商店街を後にした。
ぷっくりと頬を膨らませ、母の後ろを歩いた。
翌日、私は1人で商店街に行き、願い事を書いた短冊をこっそりとさげた。
「お母さんが速く歩けなくなって欲しい」
何年経っても願いは叶わなかった。
いつの間にか、私も母になった。
雨の七夕、私は娘と年老いた母を連れて商店街に行った。
私と娘は母の歩幅に合わせて歩いていた。
商店街で雨に打たれる笹と短冊が視界に入った。
願いが叶ったのかも。
でも、少し違う。
雨だから、会えない二人が少し意地悪でもしたのだろうか。
三人の歩幅は、ぴったりとシンクロしていた。
前回のお題「作家ワールドカップ」の時に書いたショートショートです。
他にもショートショートを書いてます。
お時間がある時に読んでみてください。
